付け焼き刃の覚え書き

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「雑賀のいくさ姫」 天野純希

2022-05-15 | 時代・歴史・武侠小説
 イスパニアの騎士(イダルゴ)の家に生まれたジョアンは、話に聞く東洋の神秘、黄金の、そしてサムライの国に憧れて船出するのだが、乗り込んだ船に叛乱が起き、嵐に遭い、なんとか日本にまで辿り着いたが座礁したところを海賊に襲われ捕虜となってしまう。サムライの国どころか蛮族の国であった。
 その海賊の元締めこそが紀伊雑賀のいくさ姫、鶴である。鶴はジョアンをひとまず奴隷扱いすることとして、鹵獲したカラベル船を修復して「戦姫丸」とし、南洋交易に旅立つのだが……。

 じゃじゃ馬娘と今ひとつ勇気を持てない騎士志願が主従で挑む大航海。やがて判明するのは、明国の支援で海賊が軍船500艘の大船団を組んで戦乱の九州に侵攻する計画を進めていること。それを阻止すべく各地の大名が盟約を結んで対抗することにしたのだが、生き馬の目を抜く乱世で恩讐を超えて手を結ぶことが出来るのか……というのが中盤まで。後半は島津、毛利を中心に雑賀、村上、大友と西国大名や水軍衆が南蛮交易路を護るべく大集結。海賊ファイトが繰り広げられます。

「まったく、こんなところで戦をしている場合ではないのだがなあ」
 小早川隆景は「安芸丸」の戦場でぼやいた。国元で信長の西進に備えねばならぬのに……。

 日本史でも巴御前、など、戦うヒロイン的な存在がときおりピックアップされますが、これもその1つ。三島村上の水軍にいたとされる「鶴姫伝説」、海賊姫ものですね。『村上水軍の娘』とか『村上水軍の神姫』とか『瀬戸内のジャンヌ・ダルク』とかの本があって、日本テレビ年末時代劇スペシャルにて後藤久美子主演で『鶴姫伝奇』のタイトルでドラマ化されたそうですが、どれも視てない。読んでない。意外な盲点。新島八重とか井伊直虎とか定期に女性主役の大河ドラマが出てきますので、そのうちやるかもしれませんね。

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コメント
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