付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

★もやもやラノベ論

2022-08-15 | 雑談・覚え書き
 いろんなライトノベル論を読んだけれど、たいていどれもモヤッとするのは持論に合わせてライトノベルを定義してるから。
 結局、ラノベの名前を借りてジュブナイル論とか少年小説とか現代文学を語りたいだけやん?ってのが多いんですね。そもそも、ライトノベルという言葉は自然発生ではなく「マンガ絵やアニメ絵を装丁に多用した少年少女向けの小説」という存在が先に生まれ、それを定義するために決められた言葉なのです。それを「業界で統一した定義は無い」とか「世間一般に知られていない」と無視して、勝手な定義で少年小説論とかジュブナイル論を語るからおかしくなるんじゃないでしょうか。たとえば複数研究者の共著で章ごとに定義が違う(少女小説が入ったり入っていなかったり)とか、そもそもアニメ絵・マンガ絵のあるなしは関係ないとか、出版社のレーベルで限定したり、誰が判断するのか内容を1冊ずつ吟味して「これはラノベ、これは非ラノベ」と判断し始めたり……。

 ライトノベルという言葉がジャンルを定義するものではなく、パッケージのスタイルの差ということについては前にも実例を交えてだらだら書いているのだけれど、つまりライトノベルについて社会学的にだか文学的に研究して語りたい人の大半が、いろいろごちゃまぜにしてるんじゃないかと思うのです。
 簡単に言えば、「マンガ絵でパッケージされる小説のジャンルの範囲拡大(少年少女向けのジュブナイルから伝奇小説・サラリーマン小説まで)と、対象とされる世代の変遷(ティーンエイジャーからアラフォーまで)」と「少年少女向け小説(ヤングアダルト・ジュヴナイル・児童文学)のテーマや文体の変遷」と「ウェブ媒体(小説家になろう・カクヨムから携帯小説まで)で発表される作品個々の評価と人気の傾向」はそれぞれ分けて論じなきゃ論旨が迷走するだろうというのがいろいろ読んできた感想です。
コメント
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