付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「美人の姉が嫌がったのでどう見ても姿絵が白豚の次期伯爵に嫁ぎましたところ」 真波潜

2023-07-04 | 本屋・図書館・愛書家
 ノートン子爵家の次女であるミモザは、読書と手芸が趣味で地味な引きこもりで人見知り。家庭内での発言権もなく、姉のカサブランカに来た結婚話も豚みたいな相手が気に入らないとごねたことから身代わり同然で伯爵家に嫁ぐことになった。
 ところが結婚相手の次期伯爵は絵姿とは似ても似つかぬ美形で、しかも美人の姉の身代わりの地味な妹なのになんだか大歓迎されていて……。

 ウェブ小説は作家が好き勝手に書ける、読者の反応がダイレクトに伝わりやすいせいなのか、面白いと思ったところや評判の良いところにいくらでも筆を費やしたがる傾向があって、ときには過ぎたるは……って思うことはあります。追放ものの「ざまぁ展開」が増量されがちなのがその典型。痛快なのはいいけれど、それだけで終わりという話も少なくなく、たとえるなら、水戸黄門の印籠シーンとか遠山桜とか大岡騒ぎとか必殺シーンで40分って感じの展開。やはりほどほどのバランスというものがあるんじゃないかな。
 そういう意味で、この話は良い塩梅にバランスが取れている良作。
 「本来の能力や成果を不当に低く評価されている主人公が、それまで所属していた組織から離れることで正当な評価を受けて幸せになり、主人公を貶めていた相手は因果応報で報いを受ける」というパターンを、テンポ良く、バランス良く、面白く読ませてくれます。

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