付け焼き刃の覚え書き

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「魔術師クノンは見えている6」 南野海風

2024-09-18 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「偉大なる神は時代の流れもちゃんと読んでいるはずです」
 神が魔王と戦うために与えた力であっても、時代が変わったのだからもっと自由に使えと聖女レイエスはいう。無表情で、悪びれることなく、神の教えや意思を独自解釈して聖なる魔法を好き勝手使うことを正当化していくあたり、レイエスもまた典型的な魔術師なのだ。

 クォーツ家の令嬢であり、まだ12歳のセララフィラにとって、魔術を学びながら生活費や使用人の給金まで稼ぐのは至難の業だ。正直、食べるものにも事欠き、今にも倒れそうだった。
 そして、友人であるジオエリオン皇子から従妹のセララフィラの面倒をできるだけ見ていて欲しいと頼まれていながら、研究にかまけて彼女のことをすっかり忘れ果てていたのにクノンが思い出したのは、彼女が金策の相談に訪れてからだ。
 まったく紳士として恥ずかしいことであった……。

 クノンが頼まれていた後輩についてやっと思いだし、彼女の金策に協力して魔建具のアイデアをポンと提供するところから始まるジタバタ篇。高位貴族の姫であるセララフィラが入学後2ヶ月足らずで魔術師の世界に染まっていく様子が描かれていきますが、その一方で聖女も見た目は変わらないまま中身がすっかり堕ちてしまった様子が断片的に語られます。みんなたくましいのだ。
 併録はゼオンリーとアイオンの出会いを描いた小篇。

【魔術師クノンは見えている6】【南野海風】【Laruha】【カドカワBOOKS】【盲目の天才の魔術探求・二年生編】
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