「面白いモノも沢山ありますし、面白くないモノも沢山あります！」ラノベは面白いのかと聞く理比斗に葉桜は答えた。
このセリフを聞いてスネークマンショーを思い出すのはアラカン以上。音楽評論家の鼎談コントに「いいものもある、だけど悪いものもある」っていうのがあったんです。
筧理比斗の容姿は悪くないはずだが、なぜか「こいつ、女殴ってそうな男だな」と周りから思われていて、高校に入っても友人知人はほとんどいない。品行方正のはずなのに、どうしても軽薄で冷徹でナルシストでヤリチンで自分勝手というイメージをもたれてしまうのだ。
そんなとき、たまたま公園で出会ったクラスメイトの古川葉桜の相談に乗っていたら、それまでは三つ編みメガネだった文学少女が翌日にはめがねを外して、髪をほどき、スカートを短くして登校してきた。しかも、言うに事欠いて 「理比斗くんのおかげでオトナになれました！」などとクラスで宣言してしまったのだ……。
周囲の勝手なイメージに苦しんでいた２人が出会い、本当の自分を知ってくれている相手がいるなら他人の評価なんかどうでも良いよねと開き直るまでの物語。理比斗と同じく、葉桜の文学少女の姿も周囲のイメージに合わせただけだったのだ。本当の彼女は意外にも早食いの大食漢だし、そんなに清楚でもないのだ。
「人の心はグラデーションだからね。好きとか、嫌いとか、誰しもがキッチリと決断できるような単純な問題じゃないんだ」
文学少女のファンだった七三分けメガネこと財前正一は、それでも理比斗と友達になりたいと宣言した。
そして偵察を兼ねた遊園地デートは淀路野パンクパーク。急行で１時間半、さらにバスで20分で到着する、建物もアトラクションもキャラもすごく凝った良いデザインなのに人気が出なくてお客がいないテーマパークって志摩スペイン村かい？ アンティークな雰囲気の歯車いっぱいな公園って、歯車党の秘密基地か！……などとストーリー外で愉しんでしまいました。
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