
<使者>ジェイダスの言葉。
砦族の少女タリアは13歳の誕生日に強制的に結婚させられそうになる。辺境の国境地帯に住む砦族にとってはあたりまえのことだった。女性は低い身分のまま一夫多妻の家族制度に組み込まれるしかないのだ。
しかし、それを嫌って飛び出したタリアは不思議な白馬に出会う。
帰る場所を失い、行くべき所もないタリアは、白馬をせめて所有者のもとに戻そうと、馬に連れられるように旅に出る。
だが白馬こそは<共に歩むもの>、王国を治める女王の使者にして代理人である<使者>とペアを組む伝説の生き物だった。彼女は<共に歩むもの>ローランによって、新たな<使者>、そして<女王補佐>として見いだされたのだ……。
以前に現代教養文庫から刊行されていたヴァルデマール年代記の長編第一作の新訳版。他のシリーズを刊行している創元ではなく、中央公論社からの出版でございます。うーん、シリーズで背表紙がそろわない……。
でも現代教養文庫版では<神馬>とされていたのが<共に歩むもの>、<使徒>が<使者>になるなど、個人名や用語は創元版準拠。イラストも、これはこれで味があるなあ……。
内容としては周囲の無理解と抑圧の中で生きてきた少女が己の居場所と仲間を見いだすまでという、マキャフリィのパーンの竜騎士シリーズなら『竪琴師ノ工舎』三部作あたりの位置づけ。気軽に読めて面白い1冊。他のヴァルデマール年代記を先に読んでいる身としては、まだ幼いわがまま娘のエルスペスやいたずら小僧のスキッフらの姿にニヤリとしたり。『ヴァルデマールの絆』のおよそ15年後の物語です。(2012/05/17改稿)
【女王の矢】【ヴァルデマールの使者】【マーセデス・ラッキー】【鳥子】【C.NOVELSファンタジア】【学院】【パートナー】【宮廷】【抑圧からの解放】【秘められた才能の開花】【居場所の発見】
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