「ナイツ＆マジック １」 天酒之瓢

　騎士の国フレメヴィーラ王国は、国内に魔獣が多数棲息し、それに対抗するために幻晶騎士、つまり巨大ロボットを操る騎操士の育成に力が注がれていた。
　しかし、今年の新入生エルネスティ・エチェバルリアは異色だった。
　小柄な体躯、少年ながら少女のような愛くるしい顔をしていながら、魔法の理論でも実技でも既に上級魔法を使いこなす実力を持ち、対人戦闘でも頭一つ飛び抜け、今は学科の枠を超えて幻晶騎士の設計基礎を学び始めていた。
　だが、エルが人並み外れた才能を発揮できるのには理由があった。彼には前世の記憶があったのだ。どこか別の世界、デスマーチを切り抜ける優秀なプログラマー・倉田翼、28歳で事故死したメカオタクの記憶である……。

　メカオタクの第２の人生が巨大ロボットと共に始まった……という、異世界転生もの。前世のプログラマー特性を活かし、魔法術式をプログラム言語と同様に理解して組み立てて処理していくことで人に先んじて研鑽を積んでいくことになります。「魔法」を「不思議な呪文」ではなく「ロジックの組み合わせ」と解釈するのはハロルド・シェイのシリーズあたりからなんだろうけれど、ここで銃剣ならぬ銃杖が登場するのが自分のツボ。大好きだ。
　初等部の新入生なのに、わくわくしながら中等部の設計基礎コースを受講する姿に萌え。男なのが残念。
　自分たちにとっては「普通」なのに、世間一般からはそう思われないあたりは一種のギャップによる笑い。こういうのも好き。

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