付け焼き刃の覚え書き

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「そうだ。奴隷を冒険者にしよう」 HATI

2024-02-02 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「冒険者は当たれば儲かる。
 奴隷にやらせれば更に儲かる」


 少女アズは口減らしで親に売られた少女だ。それを金貨50枚で買い取ったのは道具屋の主人だ。
 道具屋は金が大好きなごうつくばりだが、金の使い方は知っている。購入した奴隷に冒険者をやらせれば、稼ぎはまるまる主人のものだが、そのために必要な投資はいとわない。まだ短剣を持つのもやっとなアズのために軽量化の魔法がかかった剣と軽装鎧も購入した。他のビギナーより優れた装備を与えられたおかげでアズは日々を生きのび、最初は赤字だった仕事も次第に黒字になり始める。だが、やはりソロでは狩った獲物の運搬も不自由でいろいろ都合が悪いと次の奴隷、教会の資金繰りのために身売りしたらしいシスター崩れの司祭エルザを購入。さらには戦場で捕虜となり、国が負けたことで奴隷になった貴族の娘アレクシア・テンタキルも購入と少し収支改善は遠のいたがそれも計算のうちと割り切っている。
 我慢ならないのは、太陽神教の坊主どもが領主の息子に取り入って以来、税金がどんどん上がるし、寄付を強要されるようになったことだ……。

 副業としての金儲けで「奴隷による冒険者稼業」に乗り出した道具屋の主人が、きちんと投資育成していくうちに奴隷がどんどん規格外に強くなり、それにともなって創世王教と太陽神教という神と悪魔の戦いみたいな神話レベルの戦いやらに巻き込まれていく物語。主人は常に店で店員を指揮して商売して銭勘定しているのがポイント。わざわざ奴隷を使っているのに自ら迷宮に挑むような馬鹿な真似はしないのです。もちろん女奴隷ばかり購入していても「そんな金にならないことをして何になる?」と肉体関係は持ちません。
 イラストも巧いし丁寧。表紙イラストが構図的にバランスが悪そうで気になっていたけれど、ちゃんとかわいい少女たちの森歩きから憎々しいおっさんのアップ、魔物同士の戦いまで作品のここぞというシーンを描いていて面白いです。この先が楽しみです。

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