付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「辻斬り」 池波正太郎

2025-01-31 | 時代・歴史・武侠小説
「大治郎よ。江戸はひろい。わけのわからぬことがいろいろと起こるものだよ」
 小兵衛が大治郎にそう語ったが、その直後に道場に入門希望者が現れた。

 男装の武芸者、佐々木三冬は田沼老中の妾腹の子であるが、自分より弱い男には興味が無いと持ち込まれる縁談をすべて破談に持ち込んでいる。そんな三冬は小兵衛に思慕の情を抱いて夜な夜な悶々としているが、まさか小兵衛と同居している自分と同い年のおはるが彼の妻であるとは気がついてもいないのだった……。

 剣の道に生きるからこそ勝った相手に恨まれて復讐を画策されることもあるし、道場破りが闇討ちに遭って闇に葬られることもあります。そんな単純な勧善懲悪では解決できない事件の数々に巻き込まれる小兵衛と大治郎の物語で、意外と2人揃って何かすることって少ないですね。小兵衛がこっそり後始末に回ることも少なくないのは、経験と人脈の差です。
 小兵衛って、強くて、人脈が広くて、金も自由に使えて、戦ってヨシ、情報収集してヨシとほとんどワンマンアーミーで、ただフルで活躍しないのは若い嫁とイチャイチャしている方が愉しいからなんですよ。
 大治郎に春は来るのか?

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