付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「電波女と青春男2」 入間人間

2009-05-25 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「これからはね、鏡を毎日見る生活をしなさい。そうしたら貴女は、もっとたくさんの人に好きになって貰えるから」
 女々さんから娘への言葉。

 布団にぐるぐるくるまったままの電波系ダメ人間の生活から脱したように見えるものの、本人の対人能力に疑問が多々ある上に周囲も電波女としか見ないから、エリオの社会復帰は前途多難。
 その頃、街では野良犬や野良猫が消えるという事件が起きていた……。

 クラスメイトのミッキーが巧く効いているみたい。
 どっちかというと、言動がとんでもない登場人物ばかりなだけに、彼女のような“悪意はないけれど「君子危うきに近寄らず」”というキャラがいるので、話全体が飛んでいかずに済む。かといって、彼女みたいにあたりまえの行動をする人やバイトの面接担当者みたいな人ばかり出てきては重苦しい話になってしまうわけで、良い塩梅になってます。なんにせよ、社会復帰は遠いけれど、第一歩を踏み出したのは大きな前進。『この一歩は小さいが、引きこもりにとっては偉大な一歩である』ってか?

「馬鹿でも考えれば何か思いつくよ。馬鹿の考えは損得を抜きにすれば大抵正しい。何しろ単純だからねえ」
 駄菓子屋の田村さんの言葉。

 今回は章ごとに視点が変わっていますけれど、その切替が若干解りづらく、何回か誰の視点か迷いました。不満はそれくらい。
 ペットボトルロケットは、世に広まり始めた頃はけっこう打ち上げてました。真冬の田圃で水しぶきを浴びながら飛翔するロケットを何度も見送ったものです。やらなくなったのは、いつ頃からかなあ。
 普及し始め、学校教育に取り上げるところが出てきたあたりかな。
 ペットボトル・ロケットは、1つ1つ試行錯誤で最善の設定を見つける「科学の心」が面白さの要だったのに、教育っぽくなると途端に「空気を送り込む空気入れを押す回数」とか「羽の枚数と形状」とかレギュレーションで画一化して縛ろうというイベント主催者が出てきて、しらけたのでした。みんなで同じ形状、同じ設定で同じように飛ばすって、飛距離の差は工作精度と風向きの運だけじゃん。そんな社会主義ロケットなんかいらないよ!
 この話のロケットは思い思いに打ち上げられていて、最初の頃のワクワク感が伝わってきました。愉しいんだよね。

【電波女と青春男】【入間人間】【ブリキ】【耳をすませば】【キャトルミューティレーション】【ペットボトルロケット】【E.T.】

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