「僕がプロデュースする４人の軽音女子」 生島いつつ

　備糸市にあるロックカフェ店主の菱神大和は、元はインディーズバンド『クラウディソニック』のメンバーだったが、メジャーデビュー目前でバンドは解散。今は祖父の店を継いで、おっさんばかりの常連客相手に商売している24歳。ところが、そんな大和のところに高校時代の軽音楽部の恩師から電話がかかってきた。新入生の１人に彼の店を教えたというのだ。
　やって来たのは元気な美少女、雲雀古都。『クラウディソニック』のファンで、憧れて同じ高校に入ったものの部員が居なくなって廃部だという。それで元クラウディソニックのＹＡＭＡＴＯこと軽音部ＯＢの大和に音楽を教えてもらえないかと飛び込んで来たのだ。
　今さら女子高生に音楽を教えるなんて面倒くさい。断るつもりで「じゃぁ、バンドメンバーをまともに集められたらな」と言ったのだが、そんなことでこの娘が止められるはずもなかった。
　後のダイヤモンドハーレム伝説の始まりである……。

　メジャーデビュー目前まで行きながら、果たせず挫折した元ロックミュージシャンの前に軽音をやりたいという女子高生が飛び込んできて……という、青春音楽小説。活き活きとした女の子たちのバンド活動と、屈折した青年との交流を軸に進む、少女たちの３年間。
　芸能アイドルものにありそうな障害はちゃんと立ちふさがるし、親兄弟は必ずしも音楽活動に理解がある人ばかりじゃないし、質の悪い業界人やら通りすがりもいて、世の中そんなに順風満帆じゃないし、善人ばかりでもありません。特に若くてかわいい女の子の集団だったら、舐めてかかって悪さをしようとする人間だって、いくらでもいます。
　それでも、少女４人ががっちり（いろんな方向で）まとまっているので、まさにバンド名通りのダイヤモンドハーレム。だから、安心して彼女たちの波瀾万丈なライブ人生を追いかけていけます。あと、こんな美少女４人のダイヤモンドハーレムにがっつり取り込まれた大和が、決して聖人君子ではないけれど、奔放な彼女らに対して節度ある姿勢で指導者兼プロデューサー稼業に徹する姿勢が見事。つまり節度あるゲス。だから、安心して最後まで読んで良いよ……の416話完結。。

　架空の都市が舞台で都心がどうのとかいうから、最初は東京近郊の話かと思ったら茶臼山に埋めるだの三河湾に沈めるとかいう話になって……愛知県じゃん。すると、あそこのライブハウスはカゴヤハウスかも。

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