「冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた 」 門司柿家

「休日とは、わたしがトルネラに帰ってお父さんに甘やかされている状態の事を言う……」
　だから、アンジェリンにはいつまで経っても休日が来ない。

　うだつの上がらないＥランク冒険者のベルグリフは、魔物に足を食いちぎられたのを契機に引退。故郷のトルネラ村へ戻ったベルグリフは森で拾った赤ん坊を育てることにした。
　それから年月は流れ、捨子の赤ん坊アンジェリンは成長して美少女となり、尊敬する父親と同じ冒険者になろうとオルフェンの都へと旅だった……まではいいのだが、アンジェリンはアッという間にギルド最高≪Ｓランク≫の称号を獲得。さらには、父親のことを「そう、泣く子も黙る“赤鬼”のベルグリフ。それがわたしのお父さん」と言い張るものだから、ベルグリフは引退したスゴ腕冒険者ということになってしまったのだ……。

　お父さん大好きなＳランク冒険者“黒髪の戦乙女”アンジェリンが、故郷に帰ろうとするたびに事件が起こり、お父さんに会えない！と逆上しながら魔物討伐に奔走する一方、娘の父親自慢が降りかかって父親が途方に暮れるファンタジーコメディ。でも、ドタバタではなく、中学校の図書館あたりで末永く読み継がれて欲しいファンタジー。

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