付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「鴨川ホルモー」 万城目学

2009-05-18 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 『ウルトラQ』世代は「万城目」と書いてあったら「まんじょうめ」と読んでしまうわけですが、こちらは「まきめ」が正解でした。なるほど。

「できそうな気がして、やってみたらできた」
 楠木ふみの言葉。金言名言ではありませんが、その作品の中でキャラクターを浮かび上がらせる名台詞かも。このキャラはこのひとことに集約されると思います。
 読み始めると奇声と奇態の連続に、これは映画で観たら面白い!と直感。そうだ、映画化して公開しているはずだ!!と近所の映画館の予定を調べたら、その日で終わりだったという結末。いや、車で1時間も走れば、深夜11時過ぎからの回でやっているところがあったけれど、そこまでして見に行く気力はありませんでした……。

 一千年の昔より京都には正史には残らない謎の競技が存在していた。そして、現在それを受け継いでいるのは、京都の東西南北にそれぞれ位置している4つの大学のサークルであった。
 サークル勧誘を利用してあちらこちらでタダ酒を飲み歩いていた主人公は、「京大青竜会」なる怪しげなサークルの飲み会に参加したことから、この「ホルモー」という不思議な競技に参加することになるのだが、それは各チーム1000匹の式神を使役する合戦だった……。

 安倍晴明もこんな格好で式神を操っていたんだとしたら笑えます。何千ものオニを式神として戦わせる話というと夢枕獏のような伝奇バイオレンスにもポケモンバトルにもなりそうなんですが、ちょっと不思議な青春恋愛ストーリーにしたてているあたりがミソ。やっぱ女は怖いね。
 森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』なんかとも雰囲気が似ています。どちらも京大奇譚のせいでしょうか。作者も書かれていることも違っていても、同じ世界の話というイメージがぬぐえません。

 でも、そうか。映画版の楠木ふみは栗山千明で振付けはパパイヤ鈴木かあ……観たかったなあ……。

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