付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ヴァレリアン~千の惑星の救世主(吹き替え版)」監督:リュック・ベッソン

2018-04-14 | 宇宙・スペースオペラ
 映画『ヴァレリアン』が期待以上に面白かったので、IMAXで再見し、さらに「沢城みゆきのローレリーヌが聞きたい」という妻のリクエストで日本語吹き替え版にもプチ遠征。深夜に車を走らせて車で1時間ほどの劇場のレイトショーへ。
 予想通り、客は少ない。というか、この時間の入館者そのものが少ないよね。ともかく、120席ほどのミニシアターに3人。いっそ2人だけなら勝手に発声可能上映会もできたのに……と思わないでもない。

 ローレリーヌははかわい格好良かった。ヴァレリアンはイケメンヒーロー声……って、あたりまえか。ゆりやんとかアルフィーは気になるほど悪くはなかったけれど特筆するほどでなく、ただドーガン=ダギーズの挨拶が「長寿と繁栄を」ではなく、ありきたりのご機嫌伺いになっていたのが残念。メイキングとかではローレリーヌのバルカンサイン付きもあったくらいで期待してたのに。
 あとは4DXだけど、あれ、身体がガタガタになって整体に通うはめになるんで鬼門なんだ。

【ヴァレリアン~千の惑星の救世主】【リュック・ベッソン】【ピエール・クリスタン】【ジャン=クロード・メジエール】【Valerian & Laureline】【超体感型ギャラクシー・アドベンチャー】【デイン・デハーン】【カーラ・デルヴィーニュ】【イーサン・ホーク】【ルトガー・ハウアー】【アンドロイド兵】【情報屋】【三位一体】【バディー・ムービー】【AR】【シートベルト着用】【デヴィッド・ボウイ】【Space Oddity】【バンド・デシネ】【長寿と繁栄を】【日野聡】【沢城みゆき】【大塚明夫】【富田耕生】【関俊彦】【水島裕】【ゆりやんレトリィバァ】【THE ALFEE】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「トカゲといっしょ(2)」 岩舘野良猫

2018-04-13 | 異世界転移・召喚
「ここでの戦は国内の経済を活性化する立派な公共事業なのです」
 ブラズニア公の戦争観。

 異世界に紛れ込んでしまったハザマは、話の流れで行き場のない攫われてきた娘たちの面倒を見る羽目になってしまい、洞窟衆と呼ばれる徒党を立ち上げることになる。
 盗賊の捕虜にされていた商人や職人の力を借りて、宿場町ドン・デラに商会を開く傍ら、エルフの技術で通信網の整備に着手したハザマだったが、近々勃発するであろう戦争について双方の勢力から加勢を申し込まれてしまう。どちらを受けても断っても角が立つ状況に、開き直ったハザマは、とんでもない作戦を実行に移すことにした……。

 ヒロイン・ポジにつけそうな美女美少女がいっぱい出てくるのに、結局ヒロインの座が空位のまま、そのうちトカゲすらタイトルを見返さないと存在を忘れそうになりますが……面白いは面白いんです。個人の武勇やヒロインの可愛さではなく、ひたすら内政と外交の面白さ難しさを堪能する話になっちゃってます。
 その分、カラーイラストの肌色比率はむちゃくちゃ高いですよね。

【トカゲといっしょ(2)】【岩舘野良猫】【ぴず】【モンスター文庫】【新感覚ダークファンタジー】【小説家になろう】【マッチポンプ】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「リリオン(カボチャ頭のランタン)」

2018-04-12 | 雑談・覚え書き
○リリオン 「カボチャ頭のランタン」mm(ダッシュエックス文庫)

 その世界の迷宮特区には、別の空間につながる何百もの迷宮が口を開け、それを攻略することが基幹産業となっていた。深い穴の底に起重機を使った昇降機で送り出される探索者たちだが、未帰還になる者も少なくない。
 ランタンは迷宮に挑む探索者の中でも珍しいソロで潜る探索者。どこか別の世界から落ちてきて、記憶もこぼれているため、自分の年齢もはっきりしない黒髪の少年だが、その腕には侮りがたいものがある。今日も自分のねぐらに棲み着いていたゴロツキ探索者の一団を返り討ちにしている。
 だが、そんなゴロツキたちの置き土産の処分に、さすがのランタンも戸惑った。彼らが運び屋として使っていた奴隷少女だ……。

「だってランタンの言うことよくわからないわっ! きれいにしないと、なんでごはん食べられないのよっ!?」

 この物語のヒロインは、奴隷として使われていた巨人族のクォーターのリリオン。巨人の血が混じっているので、小柄で華奢なランタンより頭2つ分は大きい長身で痩せぎす、見た目は大人の女性。でも本当はまだ9歳。感謝の言葉も疑問の問いかけも、「ありがとう、ございます」「やったあ!」「ねえ、どうして?」と何のてらいもなく素直に言葉にします。表紙イラストの美女は誰なんだ?と1冊読み終わっても迷うくらい。
 身体は大人・頭脳は幼女なので、無垢で無知で無恥で小心。飢える生活が続いていたせいもあって、食べるの大好き。魔物の肉だって食べたい、食べたい。でも戦わせれば、体格に物を言わせてランタンの身長ほどの大剣を振り回して大暴れします。

 キャラとしてのタイプは違うけれど、「ファファード&グレイマウザー」みたいなテイストの、しっかり書き込まれて面白い正統派のファンタジー。小柄ながら大きな戦鎚を振り回して戦う少年ランタンと、巨幼女リリオンという、デコボコ・パワーヒッター・コンビによる迷宮探索譚です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「AGE OF HEROES」 マーベル展

2018-04-11 | 超能力・超人・サイボーグ
 3月から名古屋市科学館で開催されていたマーベル展「時代が創造したヒーローの世界」を3日目くらいに見てきました。
 アメリカのヒーローコミックの二本柱の1つ、マーベルコミックの歴史と現在を語っていくという企画で、当時のコミック誌や原画から最近の映画で使用されたコスチュームの展示までがぎっしり。
 図録も充実していて、展示してあったマーベルの社史や解説からイラストまで概ね収録。ただし、コスチュームやフィギュアの写真は載っていないし、ゆでたまごや内藤泰弘、麻宮騎亜らが描いたヴァリアントカバー(表紙のみ特装版のイラスト)の展示もあったけれど、それに寄せた作者コメントまでは収録されていないので、日本のマンガ家やアニメーターたちのマーベルヒーローたちへの熱い思いを読みたい人は展示室で頑張って目を通しましょう。内藤泰弘やゆでたまごあたりは「この人がいつも描いてるマンガそのまんま!」という感想しか出てきません。違和感なさ過ぎ(*´∀`*)
 それから、映画の権利関係もあって、X-MENとデッドプールさんの扱いは控えめとなってます。なんというか、アイアンマン推しです。そして場所が科学館というだけあって、展示の最後にプラズマとかスーツの素材による違いとかをレクチャーをしてくれる科学コーナーがあるのも特色です。

【AGE OF HEROES】【マーベル展】【名古屋市科学館】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「アイリス(VRMMOをカネの力で無双する)」

2018-04-10 | 雑談・覚え書き
○アイリス 「VRMMOをカネの力で無双する」鰤/牙(HJ文庫)

 ついに実用化されたバーチャルリアリティMMORPG「ナローファンタジー・オンライン」にエントリーしたのは、世界的な大企業グループの御曹司である石蕗一朗。彼はゲームに興味があったわけではなく、ハトコの中学生に頼まれてゲームプレイの手伝いをするためにすぎなかったのだが、やる以上は手を抜かないのが一朗だ。多忙な彼はゲームに時間をかけることができないので、それを課金で補った。「お金は僕の才能の一端だからね」と課金アイテムに湯水のごとくお金を使ってアバターのイチローをがんがん強化していった……。

 『富豪刑事』とか『銀河おさわがせ中隊』とか『俺の空 刑事編』とか『薬師寺涼子の怪奇事件簿』とか『大富豪同心』とか、金の力で押し進む主人公の話で、そんな課金無双系主人公に目を付けられてしまったのがアイリス。
 プレイヤーはデザイナー志望の専門学校生で、「ナローファンタジー・オンライン」でも錬金術師として生産職をほそぼそやってました。センスは良くないし、技量も高くない。けれどもデザイナーになる夢は諦められない。でも努力の方向が間違っている気がしますし、まともに努力したところで秘められた才能が開花するようには見えません。
 けれど、センスの有無や技量のレベルと趣味に合うかどうかは別問題。イチローはそんなアイリスの作品が気に入ってしまい、あれよあれよという間に囲い込まれてしまいます。彼の装備をすべて自分好みにオーダーメイドするために、オリジナルデザインの防具やアクセサリーを生産するための拠点が設立され、テクニックもセンスもないのにすべて任されてしまった少女の悲喜劇。動き出すと課金チートで無双してしまう主人公に代わって、ゲームの中で七転八倒することになります。

 キャラがチートでプレイヤーが大人で、そのままでは話が単調になりかねないところを、永遠に未完の大器っぽいアイリスが、無謀にも身の丈に合わない世界に放り込まれながら、その場の勢いでケンカを買い、ちょっと開き直って毒舌を吐き始めることで話が生き生きと動き出します。付いた呼び名が「邪神アイリス」。
 とはいえ、その本領が発揮されるのは後日譚で外伝の『アイリッシュ・スナイパー』なので、こちらも書籍化して欲しいものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「ナナキ(雷帝のメイド)」

2018-04-09 | 雑談・覚え書き
○ナナキ 「雷帝のメイド」なこはる(アース・スターノベル)

 帝国最強の力を持つ“五帝”の一員であったナナキだったが、いきなりの予言によって帝国の敵とされてしまう。
 雷帝ナナキは正義のためには戦わない。己の誇りのために戦うのだ。敵となるなら何百人でも何千人でも死ねば良い。襲いかかる帝国騎士を皆殺しにして逃走するナナキは、街角で雇い人にも事欠く貧乏貴族ゼアン・アルフレイドにメイドとして拾われた。
 かくして、単身で神をも倒す帝国最強にして最悪の美少女が、貧乏貴族のメイドに転職して、その力を掃除洗濯に発揮しながら、誇りのために敵対する相手を片っ端から瞬殺していきます。

 戦士としては無敵で、メイドとしては万能ながら、サバイバル生活をしていた幼少期から戦い続きの現在に到るまでの生活の結果として喰えれば良いの味オンチにして食の常識知らず。厨房への立ち入り禁止をくらいながらも、主やお客様に“彼女が”美味しいと思う食材を饗したくてウズウズしているのです。
 最強最悪の戦士がメイドとしても有能なポンコツぶりを発揮するアクションコメディな冒険ファンタジー。

 地の文の騒々しさでは『乙女ゲーム世界で戦闘職を極めます』に匹敵しますので、これに馴染めるかどうかが好き嫌いの分かれ目かも知れません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「ユキト(その無限の先へ)」

2018-04-08 | 雑談・覚え書き
○ユキ20% 「その無限の先へ」二ツ樹五輪(MFブックス)

 渡辺綱ことツナが転生した異世界は地球の中世レベルの文明だけれど、チート能力なんてないし、リアルな中世準拠なので生活は厳しく苦しい。それに、この世界で転生者は珍しくはない。50人に1人は転生者なのだ。けれど、誰もが現代日本からというわけではない。江戸時代から、欧米から、聞いたこともない別の世界から……。
 そんなツナが迷宮都市の噂を耳にした。そこにはダンジョンがあり、それを探索する冒険者が職業として成立しているらしい。そんなあやふやな噂を耳にして旅立ったツナは、迷宮都市に向かう馬車で1人の美少女と乗り合わせたが、彼女もまた日本からの転生者だった……という、ローグライクな不思議のダンジョンに挑む異世界転生バトルコメディ。
 ただ、ツナが出会った少女ユキトは男の娘。前世は女性だったのだ。もう14年も男の身体で生きてきたけれど、まだ前世の記憶を引きずって慣れていない。何でも願いが叶うという迷宮都市なら、もしかしたら女性になれる方法があるかもしれない……。

「だって、ショートケーキなんだよっ! 苺なんだよ! 男の子には分からないかもしれないけれど、甘いものはまた違うんだよ」
「お前、男、オーケー?」

 迷宮都市でツナは少しずつ頼りになる仲間や友人を増やしていきます。性格は温厚にして腕の立つ武闘家、唯一の欠点はドMのド変態というだけのサージェス。出遅れたちびっ子魔女のリリカ。獣人ガウル。オークに陵辱されたい願望がある女騎士ティリア。ツナの前世の後輩で今はハーフエルフで良い笑顔がムカつくトマトことミユミ。ロリ吸血鬼の魔王リーゼロッテ。さらに書籍版には未登場のノーブラ巨乳に白衣の金髪少女、マッド・サイエンティストのラディーネ等々……。
 あとになるほど奇人変人が増えていくような気がしますが、やはりヒロインといえば身体は男だけれど、あくまで女と言い張るユキト、後にユキ20%でしょう。
 パワーは不足しているけれど身軽で器用、手数の勝負でなりふりかまわず汚い手だって使います。最近ではクリアハンドで手が増え始めましたが、初っぱながウンコ爆弾ですからね。イベントを盛り上げるときは盛り上げるけれど、自分に害が及びそうな予感がするときには自然にフェードアウトするのも上手いようです。
 しかも、料理上手で無駄に女子力高く、通称「兎さん」。髪のくせ毛がウサギの耳のようで、イラストでは最初から髪留めでウサギの耳にしてるようです。逃げ足の速さはまさにウサギ。
 ツナといつもコンビを組んでいますが、恋愛感情というよりは名コンビ、もしくは迷コンビ。チームで挑む話ですけれど、ツナとユキのバディ・ストーリーとしても読めると思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「阿部将翁(異世界から帰ったら江戸なのである)」

2018-04-07 | 雑談・覚え書き
○阿部将翁 「異世界から帰ったら江戸なのである」左高例(エンターブレイン)

 今時は異世界転生・転移ものはいろいろあって、書店のライトノベル新刊の半分がそうじゃないかという気がするけれど、そのお約束パターンを1回転半ひねったのが、この話。
 ロシア領海でカニ密漁船にバイトで乗り込んでいた九郞は、銃撃してくる巡視艇から逃走する最中に冬の海に転落。気がつけば異世界にいた。そこで傭兵やったり、冒険者になってダンジョン探索したり、騎士になったり、波瀾万丈の人生を送った果てに魔女や魔王に関わって95歳にて指名手配犯。逃走中にそのまま元の世界に帰還できたけれど、戻った先は日本は日本でも享保年間、東京ではなく江戸なのである。
 かくして、身体は少年、精神は老人の九郞は、知り合った蕎麦屋に居候しながら“なんでも屋”として生計を立て始めたのだが、周囲は彼のことを「細くて長くてモノを縛るのに使うもの」のように見るのだった……。

 ウェブ連載分も序盤の3巻にて無念の打ち切り。メインキャラが出そろい始めて、これからというときなので、肝練り大好き薩摩武士とか、同心二十四衆とか、有象無象のチョンガー忍者たちとかほとんど出番がなく、ここから残念キャラが増えて、九郞のヒモっぷりに磨きがかかるんだよ?
 そういうわけで活躍しているヒロインも蕎麦屋の看板娘のお房か、巨乳未亡人で妖怪画家の鳥山石燕(アル中)くらい。ただ、書籍版ではなくウェブ版準拠なら、キツネ面をかぶった本草学者の阿部将翁をイチオシしたいところです。

「いえね、頭を打って目が覚めないってんで……ちょいと頭骨に穴を開けて挫傷していないか確認しようと」
「明らかに江戸でやっていい文明レベルの医療ではないよな、それ」

 九郞たちが困っていると薬箪笥を担いでひょっこり登場。怪しげな薬やら医術やらでお役立ちの薬屋ですが、その正体は不明。1000年生きているとも噂され、その目撃談は全国各地にあり、男とも女とも童とも老人とも言われる謎の存在なのです。書籍版ではもっぱらきつね目の男の姿で登場しますが、やがて妖艶な美女やらこまっしゃくれた童女などさまざまな姿でしれっと現れ、九郞を翻弄していきます。イメージボイスは石田彰あたり。
 この将翁の変わりっぷりも、この作品後半の魅力の1つです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ヴァレリアン~千の惑星の救世主」監督:リュック・ベッソン

2018-04-06 | 宇宙・スペースオペラ
 1975年にアポロとソユーズがドッキングし、人類の宇宙開発の新たな歴史が始まった。
 人類が建造した宇宙ステーションはさまざまな国、さまざまな星の人々を迎え入れながらどんどん巨大化し、ついには深宇宙の彼方へと旅立つこととなった。
 それからおよそ760年。アルファ宇宙ステーションは多種多彩な種族が共存する千の惑星の都市と呼ばれるようになっていた……

……というところから始まる、『スター・ウォーズ』にも影響を与えたというフランスの人気コミックを原作にしたスペースオペラ映画。チャラい連邦捜査官のヴァレリアン少佐と、いつもしかめっ面なローレリーヌ軍曹が撃って走って暴れ回ります。ひとことでいうと「不機嫌そうな太眉の美人が気にくわない相手を殴って殴って殴って殴って蹴り倒して殴ってボコにして、手が痛そうに顔をしかめる」映画。
 興行的には振るわないらしく、公開6日目に観に行こうとしたら上映館はそれなりにあるものの上映回数は1日1回夕方5時からとか、とても公開1週間目の作品とは思えない扱い。さらになんとかレイトショーを見つけて出かけても、120席の小さなスクリーンでションボリ。ただ、見終えた感想は家族そろって「最高っ!」だったので、これは宣伝が悪いと思う。実際に観に行った人の感想も「観るストロングゼロ」とか「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが小津安二郎映画に見える」というものなので推して知るべし。我が家の感想は「スターウォーズ+ズートピア」というあたりに落ち着きそう。
 まだスターウォーズがシリーズではない単発の映画として劇場公開されていた頃(登場人物がみんな幸せになって話が終わっていた頃)、そこで繰り広げられるセンス・オブ・ワンダーにあふれた冒険活劇の映像に魅入られたものだけれど、その気持ちをあらためて思い出したね。色彩設計はいかにもフランスのアートコミックだし、ストーリーはすっきり一本道でノンストップなアクションムービーだけれども、そこがいい。辛いこと、悲しいことがあっても立ち止まらず、まず次の一歩を踏み出す勇気が心地よい。
 とりあえず、行ける時間帯にIMAX上映しているところを見つけたので、大画面と大音量でもう1回観てきます。

 観てきました。やっぱ、大画面で大音量だよね!
 シリーズ化したスター・ウォーズが失った痛快娯楽活劇を見つけました。(2018/04/07)

【ヴァレリアン~千の惑星の救世主】【リュック・ベッソン】【ピエール・クリスタン】【ジャン=クロード・メジエール】【Valerian & Laureline】【超体感型ギャラクシー・アドベンチャー】【デイン・デハーン】【カーラ・デルヴィーニュ】【イーサン・ホーク】【ルトガー・ハウアー】【アンドロイド兵】【情報屋】【三位一体】【バディー・ムービー】【AR】【シートベルト着用】【デヴィッド・ボウイ】【Space Oddity】【バンド・デシネ】【長寿と繁栄を】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「久遠かぐや(ほうかごのロケッティア)」

2018-04-05 | 雑談・覚え書き
○久遠かぐや 「ほうかごのロケッティア」大樹連司(ガガガ文庫)

 イトカ島は太平洋上の孤島だが、ちゃんと日本の領土で都立の実業高校も私立高校もある。
 その私立イトカ島学園高等学校に転校してきた美少女・久遠かぐやは、なぜか褐葉貴人の過去を知っていた。中学時代はイジメを受けながら電波の飛びまくったハガキをラジオ番組に投稿し続けていた褐葉は、遙か太平洋上の孤島で高校デビュー。大財閥創始者の孫娘である翠の手下となって、クラスの安定と進学率の向上をめざして陰からクラスを動かしていた。
 そんな褐葉にかぐやは、自分のケータイ電話を宇宙に飛ばす手伝いをしろと命じた。ケータイの中には地球人の情報を集めに来た宇宙人が入っているというのだ……。

 いるのかいないのか不明な宇宙人から始まって、南海の孤島でロケット花火のような農民ロケットを改良して、衛星軌道に届くロケットを開発することになった高校生たちの物語。行く手に立ちふさがる社会秩序の壁(法令とか校則とか)や技術的障害を、知恵と勇気(無鉄砲さ)で乗り越えて前代未聞の挑戦に挑む高校生たちと、彼らを背後から支える大人たちという良きジュブナイルの構造であり、同時にネットや学校内でのいじめとかの問題にも切り込み、さらには民間による宇宙開発も先取りした意欲作です。
 さて、このかぐやの正体は、かつての天才シンガー“クドリャフカ”。深夜ラジオでオタク嫌いとうっかり発言してしまったことから大炎上し、メンヘって引きこもったあげく、そのまま芸能界から消えてしまった神秘的な歌声の持ち主。褐葉はそのきっかけになった投稿ハガキの書き手であり、彼もまた事件が原因で自殺未遂を起こしている、いわば互いに引け目を感じている関係ながら、それでも虚勢を張り合って駆け引きを繰り広げます。
 ロケット開発の修羅場は屈指の名シーン。良い意味でも悪い意味でもプロジェクトX。PM大事! 翠のおにぎり、サイコー。

「オタクって2種類いるのね。役に立つオタクと立たないオタク」

 褐葉いわく“電波デレ”。ケータイの中にデータとして存在しているという宇宙人の言うことだけは、よく聞くんですよね。イマジナリー・フレンドに甘過ぎと思われてますが、それにつきあう褐葉や仲間たちもかなり甘いと思います。
 長い黒髪の美少女で、幻の天才シンガーで、でも口が悪くて、感性はオヤジで、なにより自分のことが大好きで、ケータイの中の宇宙人に話しかけている変わり者。開発現場の修羅場っぷりと、かぐやや翠のツンデレっぷりをしっかり堪能するのが幸せなのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「ジブリール(マージナル・オペレーション)」

2018-04-04 | 雑談・覚え書き
○ジブリール 「マージナル・オペレーション」芝村裕吏(星海社フィクションズ)

 勤めていたデザイン会社が倒産してしまった青年アラタが、新しい職を探している内に民間軍事会社に就職してしまい、気がつけば戦乱の中央アジアでオペレーターとして、年端もいかない少年少女の兵士たちを戦場に送り出す仕事についていた。彼は多くの少年兵たちを指揮し、厳父と慕われ、イヌワシと崇められ、そして周囲からは伝説の傭兵にして悪名高いテロリスト“子供使い”と呼ばれるようになります。
 平和な世界では見出されないまま埋没していた才能が、本人の意に反して戦場という非日常空間において開花し、それによって兵隊になるしか生きる道のなかった少年少女が救われていくことになる英雄譚。

 ジブリールはアラタが指揮することになったタジキスタン人部隊の少女で、族長の孫娘ながら人身御供としてアメリカ陣営に送り出されていました。アラタの指揮で自分や仲間の少年少女たちが戦場から生還できるようになるに従って、尊敬を通り越してアラタを崇拝するに至ります。いずれは彼の第一夫人になりたいと願っているのに感情を表に出すのが苦手なこともあり、肝心のアラタからは単に「思春期の子供の扱いは難しい」と思われているだけなのが悩み。
 主人公アラタ視点で見れば、彼女は可愛くて戦っても強いけれど、扱いが難しい我が子。読者視点では一途で献身的でけなげなヒロイン。けれども第三者視点で客観的に見ると、単に「非常に焼き餅焼きで怖い女」に過ぎず、周囲からは「抜き身のナイフのような目に、暗い憎しみを讃えた女の人」「彼女の強さは技量ではない。狂信と気迫だ」とか評されてますが、気がついていないのはアラタだけというのがポイントです。ちょっとすぐに人を殺したがりすぎますよね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「三ツ橋初美(鬼切り夜鳥子)」

2018-04-03 | 雑談・覚え書き
○三ツ橋初美 「鬼切り夜鳥子」桝田省治(スニーカー文庫)

 元気が取り柄の全国レベルのスプリンター、女子高生の桂木駒子に平安時代の陰陽師の霊が取り憑いた。
 校舎の工事で塚が壊されて封じていた鬼が逃げ出したため、それを退治するために蘇り、子孫である駒子に取り憑いたのだと陰陽師の夜鳥子は言う。しかし、夜鳥子の戦いはその身に入れ墨のカタチで潜ませている8つの式神を使役するというもの。事情を偶然知ってしまった幼馴染みの久遠久らの助けを借り、駒子と夜鳥子は高校に潜伏した鬼、物の怪を退治すべく動き出すのだが、式神が眠っている時は身体中に大蜘蛛やら百足やらの魔物の入れ墨が浮き出てしまい、夏だというのに半袖シャツを着ることもできない。しかも、式神が現出するときには服が邪魔になるので脱がねばならないのだ。
 かくして時には半裸、時には全裸で放課後の校舎内を駒子は走り回ることになる……という、セーラー服の陰陽師バトル。
 作者がゲームデザイナーということもあって、著者・桝田省治デザインの『俺の屍を越えてゆけ』などと共通する設定やキャラクターもあり、ゲームをしていてもニヤリとさせられるし、読んでいても「これがあれか!」という発見もあって楽しいのです。

 さてさて、この作品のヒロインというとやはりポニーテイルに薄い胸、毎回何かと脱ぐ羽目に陥る桂木駒子なんだけれど、押しとしては最初の事件の被害者Aとして登場し、やがて駒子の友人となったクラスの学級委員でお好み焼き屋の看板娘、三ツ橋初美を挙げたいと思います。
 最初は単なる「生き物好きで頭の良い学級委員。おっとりした性格でしゃべり方がとろく、いつも楽しげに笑っている」というキャラだったのですが、その頭の良さは「Gカップのバストには第2第3の頭脳が詰まっている」と言われるまでとなり、「アレレ? オヤオヤ? 何かヘンですね?」と、参謀ポジションどころか最終巻では名探偵ポジションまで確保してしまいます。基本的におっとりしているくせに行き過ぎキャラ。「生き物好き」も単に猫とか犬とか好き……にとどまらず、式神やら物の怪まで「すべてをカワイイ」のひとことでくくってしまい、いきなりの身に覚えのない処女受胎さえ「私、妊娠したみたいなんですよぉ」のひとことで報告してしまう大物です。なんてこうなったかわからないけど、「産めば、わかりますよ」と実証主義でいくあたり、才媛というよりマッドなのです。

 ただ、本文中でもイラストでも眼鏡をかけている描写がなかったにもかかわらず、なぜか読者が「委員長だから眼鏡キャラ」と思い込んでいたようで、このあたりはmixiの鬼切り夜鳥子コミュに詳しいのだけれど、それに応えて2巻では“これといった理由も無く”眼鏡をかけてみせ、4巻では伊達メガネで表紙を飾ってしまいます。
 彼女が主役のスピンオフを読みたいよね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「千寿ムラマサ(エロマンガ先生)」

2018-04-02 | 雑談・覚え書き
○千寿ムラマサ 「エロマンガ先生」伏見つかさ(電撃文庫)

 高校生の和泉マサムネは中学でデビューしたラノベ作家。保護者不在で義妹の紗霧と事実上の二人暮らしだけれど、妹は引きこもりで顔を見たのは1年前の一度きり。ところがひょんなことから、彼の作品を担当しているイラストレーターの『エロマンガ先生』の正体が彼女らしいと分かってしまい……というところから始まる、才能はあるけれど自分の世界にこもって扱いづらい義妹とそれに惚れ込んでしまった真面目な兄のドタバタ。ラブコメディにして、ライトノベル作家やイラストレイターらがいかに作品に向き合うかについてメタフィクション的に語った創作論。

 この話のメインヒロインは3人で、本命は紛れもなく紗霧なんですが、残る2人が本当に男前なんですよ。美人だし、才能も金もあるし、性格は良いし、一途だし。
 作品がヒット続きの売れっ子で実家もお金持ちな山田エルフ先生は、普段は締め切り前に逃避しちゃうし生活能力もアレだけど、創作に関しては厳しくて「一世一代の勝負に負けたら、三日三晩泣きわめいて、床を転がり回ってもだえ苦しんで、周囲に当たり散らして落ち込んで、めいっぱい悔しがって……それから、ニヤリと笑って再挑戦しなさい」と男前、そして乙女。
 もう1人の千寿ムラマサ先生も、「いまキミがやるべきは、哀れに消沈し、泣くことではない。すみやかに立ち上がり、考えることだ。そして、行動することだ」と創作に関しては鬼です。
 そもそも千寿ムラマサは和泉マサムネのライバル……少なくともマサムネはそう思ってました。彼よりも先輩で、彼が書こうとしているのと同じような話を書き、しかも彼よりもヒットしていて、彼の作品の刊行を妨害し、彼の作品を駄作と切って捨てて叩き潰すと言い始めます。完全に悪役ライバルです。
 でも、千寿ムラマサこそ誰よりも古いマサムネのファンで、フォロワーで、彼の作品以外に面白い本なんてない。それが読めなくなったから自分で自分が面白い小説を書こうとしただけだったのです。すべてが明らかになったとき、彼女は「我が恋心に、恥ずべきことなど欠片もなし!」と開き直ってデレ期に突入。鈍感主人公でも無視できないように、正面から直球勝負で気持ちをぶつけ続けます。ムラマサ先輩ちょろすぎ。
 マサムネが彼女以外の女性に告白し、受け入れられた時も、素直に祝福を贈りつつも、1つの言葉を残します。

「作者には完結した作品に鍵をかける権利がある--幸せなまま時を止める権利がある。ハッピーエンドで終わった作品の登場人物は、作者が続きを書くまで幸福なままだろうとも」

 逆に言えば、現実ではいつか恋が冷めることだってあるだろうと、自分には別に諦めるつもりがないことを宣言しているのです。
 このあきらめの悪さ、『機動警察パトレイバー』アーリーデイズOVAの6話「二課の一番長い日」で、決起したクーデターが失敗したときの甲斐冽輝の「2人から始めてここまで準備するのに20年。生きてりゃ、もう1回くらいやれるさ」とまだまだやれるとうそぶく姿を彷彿とさせて大好きです。男前だなあ……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

らのべヒロイン列伝「宝田舞(異世界修学旅行)」

2018-04-01 | 雑談・覚え書き
○宝田舞 「異世界修学旅行」岡本タクヤ(ガガガ文庫)

 修学旅行中の緑ヶ丘高校の列に落雷が直撃。気がつけば、2年1組の教師生徒は異世界に吹き飛ばされていた。
 異世界の迷い子となった修学旅行生を保護したのは王女プリシラ。彼女によれば、こういう事故で異世界に飛ばされるというようなことは100年に1回くらいはあり、「異世界からあらわれし者が世界を救う伝説」も伝わっているらしい。しかし、彼らにチートな能力が与えられたということもなく、この世界の魔王も先週「押し込み強盗に金品を奪われた上に殺害された」ということで世界の危機もない。ただ、来てしまった以上、衣食住の面倒は国が見てくれるというので、沢木浩介たちは修学旅行の続きをやろうと、ちりぢりばらばらになったクラスメイトを集めながら物見遊山に旅立つのだった……。

 超能力や魔法ではないけれど、部活や趣味で培った特技が異能レベルに達している生徒たちの学園ものということで、蓬莱学園とかコータローとか好きな人にはお勧めな、岡本タクヤの異世界漫遊記です。
 クラス丸ごとということでヒロイン候補は多く、現代日本文化に詳しすぎる「趣味は課税」な王女プリシラとか、サイコパスからクリームパンまですべてを完璧に演じきる天才演劇少女「千の背後霊を持つ少女」川中島真弓とか、キャラ作りが迷走している剣客少女・和泉刀香とかいろいろおりますが、ここで1人挙げるというなら文芸部の宝田舞でしょう。人付き合いの悪い文学少女で、それまでクラスでも目立たない少女でしたが、異世界に来ると周囲に喧嘩を売りまくって悪目立ちし始めます。

「あっ、あっ、そこのテーブルの形状が19世紀フランスっ! 壁の鏡の装飾が16世紀イタリアっ! ぐあっ、インチキっ、考証不足っ! 偽ファンタジー! くされライトファンタジーっ!」

 彼女は文学少女。古今東西のファンタジー文学などを読みあさってきた彼女には、この人名がイギリス読みとかドイツ語読みとかてんでばらばらだし、家具や建物の様式が年代ごちゃごちゃだし、なんとなく設定が緩く見える“中世ファンタジー異世界”のリアリティのなさが我慢ならなかったのです。
 かくしてクラスメイトと袂を分かって単独行動で消え去る厄介さんですが、結局彼女がいちばんこの世界に馴染んでしまい、白馬を駆りながら修学旅行生一行とは別の場所で波乱に富んだ冒険を繰り広げているらしいという話が伝わってくるようになります。
 人呼んで「ハイファンタジー宝田」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする