many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

オリアンダーと100センチに出る

2011-12-23 22:24:18 | 馬が好き
きょうは、毎年恒例、美浦トレセン乗馬苑に集うみなさんが参加する、乗馬大会。
祝日なんで、子どもたちも学生も社会人も、参加できたと思います。
競技は、部班の初級と中級、障害の100センチ、70センチ、40センチ(クロス)。
参加したいひといっぱいいたと思うけど、指導する先生たちが、うまく割り振ってくれたようです。

んで、私は、100センチに参戦。
おととし、怖いもん知らずで言われるままに100センチ。去年は、難しいこといろいろおぼえて、おのれの分もわきまえて、60センチ。
ことしは、どーしよーかなーと思いつつも、悔いの残らないように、100センチにエントリーさせてもらった。
難しいことも分かったうえで、ことしはここで勝ちたいと思った。

11月からは、まじめに練習してたんだけど、おもしろがって“頭頸の伸展”のマネゴトばかりしてて、あまり障害の練習はしてない。まあ「飛ぶのは馬」だし、とは思ってたんで。
しかし、三日前の練習が散々だったんで、ちょっと自信がなくなってきた。
高さは「飛ぶのは馬」なんで、どーにかなるだろーと。メーター飛べない馬を使うわけないし、だいたい私がその馬の飛ぶ高さを引き上げられるわけぢゃないし。
問題は、オクサー。
もう、アタマんなかに、自分が下のぞきこむorあせって障害の向こうのぞきこむ、先飛びする、馬の肩のうえ乗っちゃう、馬ビタ止まり、人だけ前放り出される、障害のうえに落馬・横木か支柱激突、…って、イメージが、強固にできあがっちゃってる。
(これは冗談ぢゃなくて、2008年10月に札幌でやっちゃったことに由来している。)
悩んでると余計事態が悪化するんで、水曜木曜は寝ても覚めても、イメージトレーニング。(人間、目をつぶって考えることにロクなことはないので、目を見開いて考えましょう。)
幅のあるオクサーを、ちょっと遠くから踏み切って、越えてくシーンを想像する。踏切と着地のときを想像すると身体が硬くなるんで、そこは深く考えない。
空中、障害の真上、飛越の頂点で、馬が頸をのばして、肢を縮めてるようなとこで、馬の背のうえで馬の動きを邪魔しないように乗ってる自分を、主にイメージする。
腕は馬についていくし、前傾して背中が水平に近くなっちゃってもいいや、馬と一体となってく感じ。馬の背に張り付いて、ジャマしないの、馬のランドセルになれ。ポーンと上に飛び上がる瞬間ぢゃなくて、前に大きく動いて飛び越えてくとこをイメージ。
なんども繰り返してたら、当日の朝は、どーやら、「さー、飛ぶぞぉ。飛ぶ!」って精神状態に至った。
ひさしぶりの白キュロット(試合では練習よりなぜか落馬率が高いため、札幌の土とか馬事公苑の土とかが着いて汚れてる)をだして、せっかくなんで白手袋を新調してく。(これまではコンビニのドライバーズ手袋(?)だったんだけど、乗馬用のにした。)

厩舎作業がおわったら、馬場にいって、クロスになってた障害経路を100センチ用にセッティングする。
手伝いおわったら、下見。
図面もみてたしかめたけど、予想どおり、ほんとに100センチあるのは最後のふたつだけ。ラス前が95と100のオクサー、ラストが100の垂直。
前半戦のオクサーは高さたいしたことないんで、私の乗る馬なら楽勝だろうと思う。(←半分ホンネ、半分イメージトレーニング。)
3番の角度が、ちょっと小回りして向かうにはキツイ気がする。特にオクサーなんで、小回りして失速したまま向かいたくはないところ。
あとはラス前のオクサーへの入りかた。ラチから近いんで、左回転して障害を正面に見据えてからが短い。ヘンに内に入って回ったら、2歩くらいで飛ぶことになりそう、しかもそれでも斜めに。置いてある角度が微妙なんで、真っ直ぐ入る場所を探す。
大きく回転してラチ沿いを進んで、馬場の脇に立ってる一本の木を過ぎたとこで曲がってくことに決める。回転のとこで強く、強く、そうすりゃ飛ぶだろう。ラストの垂直までは、距離があるんで、問題ない。以上、下見おわり。

例年より、余裕のある一日のスケジュール。
9時半から部班競技をやって、終わった10時半くらいから、みんな障害つかう馬の馬装を始める。そして、そろって準備運動して、11時から競技開始。
いいやりかただと思った。このくらい余裕もってやったほうが、このレベルの競技会にあってると思う。
私の乗る馬は、オリアンダー。私の前にひとり乗る。
馬装を手伝う。「どんな馬ですか?」って訊かれる。乗ったことないらしい。
どんなもこんなも、こんなイイ馬いないよ、って言いたいとこ。「だいじょぶ。何でも飛んぢゃうから。最初モタれるような態度とるけど、ガンガンだして受ければ、あとは乗りやすいから」とか何とか言う、まちがってないと思うんだけど。
馬装しながら、かわいいなー、オリー(オリアンダーのことは、そう呼んでる)、と思う。

今年は、いろいろ、ホントいろいろ、あったけど、乗馬にくれば、私のなかではみんな解消された。馬たちがいなかったら発狂してたかもしれない、と思うと、めちゃめちゃ馬たちがかわいい。
さて、準備運動は、そのひとにまかせる。練習馬場で障害飛んでるけど、思ったより遠くからでも飛んでっちゃうみたい。「飛んだあと、斜め上見ろ!」みたいな指導の声がとぶ。ひとが前に行っちゃうとどーしよーもない、バランスバックしなきゃあね。
でも、あれだけは気をつけなきゃ。遠くからでも平気で飛んぢゃう、オリアンダー。でも、私がそれやられたら、ついてけなくて落ちちゃうかもしれない。出しといて待つ、そんな感じでいきたい。
競技開始。オリアンダーは2番で出ていく。ひとの乗ってんのを見るのは大事。んー、えらく慎重だな、くらいに思う。ガンガン出して、それを抑えるくらいでいーのに、って。
帰ってきたんで、乗り替わり。もう3番目のひとがスタートしてる。私は7番、もうあんまり時間がない。どのくらいで走れば基準タイムに近づけるかなんて、他人を見てる余裕はない。
馬上体操なんてしてるヒマはないよぉ。乗ってから、テキトーに2つアブミのばす。よくわかんない、2,3回飛んでみて、それから直せばいいやと思う。
軽速歩でかるく輪乗りしつつ、ハミうけを確かめる。うん、前に出てるし、いうこともきく、これならどーにかなるだろう。
駈歩する。いちど飛んできてるんで、だいじょぶだと思う。左右やって、内側の脚にこたえてくれること、確かめる。輪乗りから、半巻きみたいにして、踏歩変換を試みる、オッケーだ。
出てくまでは、あとわずかの時間しかない。練習馬場で何をしたらいいか、前は言われなきゃわかんなかったんだけど、誰もかまってくれそうにもないんで、自分で準備する。
70センチくらいの垂直が置いてあるんで、飛ばす。
すごい飛越、ポーンと飛ぶ。繰り返す。高く飛ぶ。「ホー、ホホホ、ホーッ」とか、わけわかんないことを、飛ぶたんびに、叫んでる私がいる。だって、楽しいんだもん。
すごく高くあがる。これなら、メーター、なんでもなく飛ぶと思う。
また、リズムがいい。すごく乗りやすい。なんつーかな、1・2・3で、フツーに飛ぶ。
馬によっては、1・2・のぉー、とか入ることもある。「のぉー」のとこで、重心が前いったり後ろいったり、沈んだりで上下したりすることのある馬もいる。「3」のとこで、「サーンッ!」って余計な勢いつけて飛び上がる馬もいる。でも、オリーはそうぢゃない、フツーの駈歩のリズムで、馬が自然にあがってくる。
それでいて高い。十二分な高さ。練習馬場で飛越繰り返すたびに、不安とか恐怖とか、なーんもなくなる。
楽しい、この馬で障害飛ぶのは、楽しい。
たとえば、ヘンなたとえだけど、野球にしてみたら、バット替えたら、いままでと同じスイング同じミートをしてんのに、ボールがカーンと遠くまで飛んでったら、楽しいと思わない? いいバット、手に入れたぁって、うれしくなるっしょ? なんか、そんな感じなんだよね、オリアンダー乗ってると。
おっと、オクサーもやっとかなきゃ。80センチくらいのオクサーが置いてあるんで、飛んでみる。
おおっ!軽々と飛んでくよ。もう一回、軽ぁーるぅく飛んでくよ。厳密にいえば、私の重心の位置は前にいったり後ろにいったりしてんのかもしれないけど、オリアンダーはそんなもんおかまいなしで持ち上がってくるパワーがあるように感じる。こりゃだいじょうぶと思って、出番を待つ。
直前のひとがコース走行してるんで、最後に一回、垂直をバーンと飛んどく。で、出ていこうとすると、「いちど常歩、手綱ゆるめて!」と言われる。一回オフにして、リラックスさせて、また手綱短くもって、オン。
馬場に入ったら、敬礼して、左手前の駈歩。

(↑ なんか、バカな「じょうらん」着てますけど…)
メーターなんで、とにかく元気よく出してこーと思う。出しといて、障害向いたら抑える、速かったら回転を大きくしてタイム調整する、そんな感じでいこうと思う。
オリアンダーは扶助に忠実、ただし、そのぶんちゃんと走れって言わないと、興奮した勢いの惰性で次の障害に向かうなんてことはない、回転のとこでエンジン切れないようにしてかないと。
さあ、一番に向かう。これが大事だ。動かす、動かす。イチのイチから、私の嫌いなオクサーだ。いくぞー、行け、障害にブツケてくつもりで、出していく。高い飛越で飛んでいく。
オホッ、すごいな!って、思わず笑っちゃう。「いまぐらいの勢いで、飛べって(脚とかで)言ったろ!?」って、もの言わないけど、オリアンダーの背中がいう。
「ゴメン、ゴメン」って声かける。「あとはオマエにまかせるよ」と私。
でも、このくらい元気だしてこーぜ、ってオリアンダーに話しかけて回転、2番に向かう。ポーンと飛ぶ。

楽しい、ホント楽しい。競技で、こーんな楽しいの初めてだ。
こないだの練習では小さくまわってたけど、なんか角度キツそうだし、大きくまわって、3番へ。オクサーだけど、ビビんない、前に出てるオリアンダーについていく、飛越。
すこーし、鞍の前のほうに身体が出そうになる。戻れ、座れ、起こせ、詰めろ。よし、「トーホ、ヘンカーン!」(マジで、いつもそう叫びながら踏歩変換している。)右に行く。
キツイ回転だ、右後方にある次の障害を見ながら、回転。回転のとこで、強く、強く。脚使いながら、まわる。内側の脚、外の手綱。
野球のたとえをよく出しちゃうけど、コントロールつけるのにどーしたらいーかって疑問はあるんだけど、ミット見るしか、ない。そこへ投げようと思えば、あとは身体が勝手にその方向に細かい微調整も含めて向かうんだよ。次の障害を見据えて、どこの道ふんでくかってのは、そーゆーこと。

練習で止まった連続障害。だけど、今日は、低い低い。垂直を飛ぶ。
「1・2!」で起こして、あとは任す。オクサーを飛んでく。ドンピシャの四歩だったんぢゃない!?
飛んだら、右、90度。内の脚つかって、出しながら、こんど拳つかって引き寄せる。楽勝っと思いつつ、垂直を飛越。
右に大きく回転、回転のときに強く、強く。かなりの距離あって、遠く向こうに垂直がみえる。
長い直線を障害に向かってくときに、駈歩のペースを維持するのは、ちょっとジリジリするもの。(戦闘モードのフラヴォンとかだったら、ここで俄然ペースアップすんのを抑えるところ。)
落ち着いて、駈歩のリズムを守れ、追わない、仕掛けない。障害が近づく、ちょっと高い、メーター近い、何もしない、飛越。
飛んだら、起こして、踏歩変換。
最後のここが要注意。下見んときに見といた、あの木のところから曲げ始める。100センチのオクサー、強く回転して向かう、ポーンと飛ぶ。
左に角度振ってあるけど、馬の向き微調整して、正面にターゲットとしてとらえさせる。楽勝っと思いつつ、最後の垂直をクリア。

いやー、上出来! オリアンダーにおんぶにだっこに肩車だったけど、こーんな楽しく試合でまわってきたの初めて。
たまたま、遠くからの踏切になるとこが、一度もなかったのが、ラッキー。
(どんな遠くからでもオリアンダーは飛んぢゃうんだけど、ひとがついてけない。)

しばしあって、結果発表。8人参加だったけど、堂々の1位!
規定69秒のとこ、67.47秒って、2秒以内に入ってるし、まあまあかな。
あー、どーせなら、ジャンプオフっての、やったことなかったから、やってみたかったなぁ。
(↑ 終わってからは妙に強気になる。)
うん、勝ち負けは時の運だけど、自分で納得のいく走行だった。
次回は、やっぱサラブレッドで、出たいねえ、というか乗んなきゃいかん。
(↑ 終わってからなら何とでも言える。ただ実際ほかのひとは、もっと難しい馬を乗ってるんで、公平な勝負ぢゃないから。)

(カッコつけてるけど、長靴はかないで試合でるのは反則では? 減点もの?)
オリアンダーには、ごほうびに、リンゴ2個やっといた。

先生にきいてみました。
「今日のオリアンダー? ぜーんぜん、まだ本気ぢゃないですよ。あんなもんぢゃありません。障害が百二、三十に上がると、もう少しヤル気だしますから」
…どこまでスゴイんだ、おまえは、オリー。
ふだんはただの食いしん坊なのに。

(↑ 「がんばってやったぞ、メシまだか?」のポーズ)
(ちなみに、終わった後もブヒブヒ騒いでたから、「リンゴおかわり!俺のリンゴぉ!」って言ってんのかと思ったら、どうも隣のチョコレート(馬)が帰ってきてなくて、寂しかったらしい。)

※12月29日 大幅加筆修正、写真追加しました。(あとから思い出すと、人間の記憶って捏造されてることがあるんだが…)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする