朝方かなり気温が下がったみたいで、7時前には草木や土が白い。洗い場の水道が凍る日も近いかなと思いつつ、乗馬に行く。
三日後の金曜日は、うちわの競技会である。去年もおととしも出たんで、万障繰り合わせて、ことしも出る。
ことしの実施競技は、部班の中級と上級と、障害が40センチ(クロス)、70センチ、100センチである。
何に出たいかきかれて、日中マジメな顔して「空いてる馬で、空いてる競技に出させてもらえれば、けっこうです」(馬の出番のローテーションを考えるのは大変だろうから)と謙虚に言ったのがスルーされて(?)、酔っぱらった勢いで「オリアンダーでメーターに出たいんだよねー!」と言ったのが採用されてたのには、おどろいた。
かくして、きょうも障害を練習しとく必要があるんだろうな、やっぱ。(いーんだけど、べつに。飛ぶのは馬だから。)
私としては今日乗る馬はどれでもいいんだけど、「ぢゃあ、エアサンタムールで」と言われて、冗談だと思ってたら、ほんとに「エアサンタムールで、経路やりますよ」ということになる。

サンタ、乗るのは、おととしの6月以来。
こんどの大会も、サンタに乗って出ればいいじゃん、って声がないこともないんだけど、いくら「知力・体力・政治力、どんな手を使っても勝つ。馬割りも実力のうち」とホザいてる私とはいえ、「これで負けたら、馬やめたほうがいい」と思ってるんで(おととし実際に負けたんだけど)、さすがに御辞退申し上げている。
ことしは震災だなんだで中止しちゃったんだけど、本来は、今年この馬で、うちわの全国大会(言い方が矛盾してるみたいだけど、あるんだよ、そーゆーの、うちわだけで全国から集まるの)を、80センチ(私のようなヘタでも出してくれる)と100センチ(うまいひと)と120センチ(プロ)の3階級制覇、誰が乗っても勝っちゃう、「美浦にエアサンタムールあり!」と言われる予定だったんだから。

うー、乗る前から緊張する。馬装完了したつもりが、鼻革の尾錠止めてなかったりする。すでにアガッててアタマんなか真っ白かよ、俺。
またがってはみたけれど、どんな馬だったか、実は忘れてたりする。
馬場に出て常歩。ハミ、うけてくれるかなーって、恐る恐るやると、スッとうける。脚への反応もよし、拳のはたらきかけにもすぐ応じる、いいなぁ。
軽速歩でウォーミングアップ。からだの大きい馬、動きの大きい馬に乗ると、私は遅れをとっちゃうことがあるんで、後ろにバッタンと座りこまないように、アブミに立って前の方に軽く乗ってくようにする。
軽速歩で輪乗りする。いつも、ここからガッツンガッツン脚やって、手綱グイグイしたりするんだけど、あらら、いとも簡単にうけてくれるよ、サンタ。歩度つめる、うけたら、手綱伸ばす、スッと前に出る、繰り返す。
次いで駈歩。いいよ、いいよ、人間がグラングラン動かないように気をつけて、これも詰めたり伸ばしたり。ツーポイントする、座る、騎座で馬の背中押すとグッと前に進んでくれるような気がするが、そこんとこは自信ない。
でも、あんまりイイ馬に乗せてもらうと、余計なことして(馬への指示というものは本来非常に微妙なものです、私のように尻でゴー出して同時に拳でストップかけてはいけません)、馬の調教を破壊しちゃわないか、心配になる。
蹄跡を駈歩して、斜めに手前をかえて、踏歩変換を試みる。フワッとかわる、あまりに簡単にかわるんで、疑って下みちゃう。
乗りやすいよぉ、サンタ! いままでのどの馬よりも乗りやすいかもしれない。

乗りやすいってのは、個人的感覚なんで、説明できないし、ほかの人とは違うかもしれないけど。
私が言うのは、動くとかっていうんぢゃなくて、リズムがいいって感じかなー、リズムが一定のスムーズな動き。常歩⇔速歩⇔駈歩とギアチェンジするとき、スピードアップ・ダウンするとき、巻乗りに入ったり進む向きを変えるとき、ガックンガックンしないで、そのままのリズムで動いてく感じ。あくまで私の受ける感じだけど、そーゆーのが乗りやすいって思う。
だから、準備運動だいだいOKってことで、広い方へ出て行くと、「どーですか?」って言われたときに、「(こんどの競技会は)これで部班に出ればよかった!」と私が言ったのは、全然ウソぢゃない、実にそう思う。
ただ、そんなことばっか言ってられないんで、ぢゃあ障害やりますか。アブミふたつ詰める。(高いの飛ぶ気。)

(↑ すげーテキトーな絵でスイマセン。あくまでイメージです。)
さて、障害は経路状態で置いてあるんで、最初は、どれでウォーミングアップしたらよかろうと待ってると、「その馬、クロスからぢゃないですから、適当に垂直ひろって飛んでください」って、えー?
馬はいいけど人はどうなのと思いつつ(だってどれも70センチよ)、やおら1番に速歩で向かってく。だいじょぶかなー、フツーの馬だったら停止するだろうとこから、フワリと馬が上がって飛ぶ。繰り返し、トコトコトコと速歩で向かってって、フワリと飛ぶ。
駈歩。フツーの輪乗りとおなじ感じで駈歩。以前乗ったときは、よく馬がデローンと伸びたまんま、飛んぢゃって(なんでも飛んちゃう)、ダメだしされたなーと思いつつ、詰めてく感じで向かう。
障害が近づく、追ったり引っ張ったりしない、馬も勝手に急いだりしない、ポーンと飛んぢゃう。
回転して二つ目へ。ゆっくりとした駈歩のまま。ジーッとしてると、あれ?さすがにやばいかな、これぢゃ?と思ってると、一瞬、間があるように感じて、そこからフワンと飛んぢゃう。
さすがに「もうちょっと、出して!」と言われて、三つ目へ。とは言うものの、弱ーい感じで障害に近づいちゃう。飛んでよ!って思うと、フワンと越えてく。
もうちょっと前に出しながら、もういちど。フツーに助走してけば、近いとか遠いとか、そーゆー問題ぢゃなくて、何でも飛んぢゃう。
思いだしてきたぞ、これがサンタだ。すげえ。ウルトラな馬。あの踏み切って持ちあがってくる感じは、言葉では説明できない。同じ動作してんだろうけど、ほかの馬とは違う。羽、生えてんぢゃない?
少しずつ確認してくことにして、左手前で3番飛んだら、踏歩変換、右へグルっとまわって、4番5番の連続障害へ。回転のあと、ちょっと弱い、前に出てない、それでもポンと飛んぢゃう。あいだ何歩なんて数えてない、連続のふたつめへ真っ直ぐ向かう。あれ?出してかないもんだから遠い?と思ってると、ブオンッと馬が前方に飛び上がって、難なく飛び越えてく、すごいパワーだ。その飛びっぷりに、私が落ちんぢゃないかと、見てるひとたちも驚いた。乗ってる人間は飛べるか迷ってたんだけど、馬は全然迷ってない。人、反省。
んぢゃ、ぜんぶつなげて経路行きます。左手前で大きくまわりながら、ひとつめ、ふたつめ、みっつめ。踏歩変換、右へ回転、さっきの反省で回転のとこ強く。連続障害、4番、5番、こんどは普通に踏み切り合う。右へ90度行って、6番。飛んだら右後ろを振り返るように見ながら、右へ回転、わりと遠くから真っ直ぐ障害を見る形になって、7番飛越。踏歩変換、左へ回転、真っ直ぐ入ってないけど、馬の力でかるーく8番飛越。すこし左へ角度ふってあって、9番飛越で、一応一巡おわり。
全般に前に出てないよー(それでも飛んぢゃうスゴイ馬)、回転のとこで強く前に出す、そして障害向いたらもう何もしない状態で飛ぶこと、6番のあと7番に向かうときなんか真っ直ぐ向いてから走らせようとしたってダメ、ということで、そのへん気をつけて、もう一回。
障害飛んだあと勝手にダダッて走る馬ぢゃないんで、飛んだあと次の障害見ながら脚(内側の脚)つかって、駈歩のエンジンだかギアだかをスポッと切れないようにつなげてく。最後のいくつかは、馬が上がってくるのを待って、そこから随伴を意識して、タテガミつかむようにヒジの開閉を心掛けて飛ぶ。
馬、スゴ過ぎ。ウルトラ。
なんでも飛んぢゃう。ナマイキ言うつもりはないけれど(絶対ありません)、ひとがヘタに乗っても飛んでくれちゃうんで、はっきり言って、練習にならん。
心底「(こんどの競技会は)サンタで70」にしときゃよかった、と思う。べつに勝とうとさえ思わなきゃ、ハナウタ歌いながら帰ってこられる。
「上げますか」と聞かれたので、オクサーをつくってもらう。ひと(私)、オクサーに課題あり、それは自覚している。(意識しすぎだという指摘もあるが。)
「飛びやすくしときますか」と言いつつ高いのを作られちゃう。それはいくらなんでも高すぎるだろと近寄って見に行くと、たしかにメーターにすぎない。
ヤバイ、ブランクでかすぎか、最近ちっとも障害練習しなかったのは私の好き好きだけど、そんなに高かったけ、100センチって? これは飛ぶ自信なんもない。しかし「飛びやすく」って、前が100で後ろが105ってか? 前が95で後ろが100でいいのに。(←なんか小さいこと言ってる)
んぢゃ、やってみますか。飛んでくれる馬乗ってるうちに、慣れなきゃ。
左手前で3番へ。うーん、幅があるなあ、どこ目がけて飛ぶんだろうとか、マヌケなこと考えてると、止まる。
「ダメ、全然、出てない」とNG出される。そーなんだよ、何でも飛んでくれちゃうウルトラホースだから、こっちの感覚狂っちゃうんだよ、ほかの馬だったら今の調子では向かわんだろと反省する。(バカだなあ。)

もう一回。また止まる。「人間、自信なさすぎ」と指摘される。腰引けてる?
これ以上、お利口さんのサンタに、迷惑かけられないし、プライド傷つけてはいけないので、思い切って出してく。半分眼つぶって飛ぶ。
飛んだら、踏歩変換、右回転、連続障害へ向かう。あら、弱い?と思ってると、止まる。
回転のとこ強く、ってさっきから言われてんじゃん、反省してやりなおし。
オクサー飛んで、右回転、垂直飛ぶ、つぎのオクサー(105センチ)へ、高ぇと思ったら、止まる。
すいませんねえ、馬の名誉を傷つけて。サンタ、こんなの楽勝で飛べるのに。人がジャマばっかして、ちゃんとゴーサイン出すとかしないもんだから。
ほんと、乗馬、やめたほうがいいんぢゃないかな、と思う。
もっかい行くよ。左手前でスタート、オクサー、右回転、回転のとこ強く、出すんだか起こすんだかよく分かってない状態で勢いよく向かう、垂直、あいだ何歩だか知んない、飛べ、飛ぶんだ俺! 飛ぶ。
飛んだら身体起こす、っていうか勝手な加速とかしないから、それほど体勢直すのには苦労しない。大きく右へ回転、回転のとこで出す、遠くに垂直みえる、なんもしない、飛ぶ。
ハァ、ハァ、ひさしぶりに息あがっちゃったよ。余裕なくて、呼吸止めて飛んでまわってたな、今きっと。100メートル走したあとみたいだ。(と言うものの、最近やってないね、そういうの。)
対象的に、馬はケロッとしてる。これしきでは、汗もかかない、呼吸も乱れないって感じ。よくわかんないけど、私が乗ってないこの2年のあいだで、サンタのほうは心臓とかも着実にパワーアップしたんぢゃないかなという気もする。
もう、人おなかいっぱい。軽く速歩して、終わり。

終わったあと、問題になりそうな、例の連続障害、ほんとは間ナン歩なのか聞くと、4歩らしい。そこを、練習では5歩入れて飛ばすのがツボだそうで、私ももうちょっと低かったら、1・2で起こして1・2・3で飛ぶとか、やってみたいんだけど。
だいじょぶかなー、こんな高かったっけ、100センチ。この高さの障害経路、まったく完走する自信がない。
「70ならともかく、100センチは、今日くらいの勢いで行かないと」と言われる。そうだっけぇ、速くなるの抑えるくらいでちょうどよかったんぢゃなかったっけ、試合って?
思えば2年前は、夏をはさむ4カ月間まったく乗らないで、3回練習しただけで11月のクロスと80センチの競技に出た。そのあとも週イチでは乗ってたけど、障害なんか前日練習しただけで、暮れの100センチに出たんだよねー。無知というのは、強いものだ。
まあ、100センチといっても、ホントに100センチあるのは最後の1個か2個だから、と思うことにして自分を励ますというか慰める。
でもなあ、オクサーだよな、問題は。下覗きこんで、先飛びして、馬ビタッと止まって、人だけ障害の上へ落ちて、横木か支柱を撃破、ってイメージ、強固にできあがっちゃってるよ。

私のようなヘタを背負っても、クールにつきあってくれたサンタに、ひさしぶりにリンゴやる。
大好きなんだな、これが。
ところで、本番の騎乗馬は、オリアンダーの予定。
数えるほどしか乗ったことないんだけど、底が知れない感じがして、彼のホントの力を見てみたいと常々思ってるところ。
(なら見るだけにしときゃいいのに、自分で痛い目にあわないと気が済まないのか、このヘタクソは…)
しかし、昨日は「だいじょぶですか、あの馬ホンキで飛ぶと、バーンと尻ッパネしますよ」とか、今日は「そこの障害間4歩ですけど、あの馬で放しちゃうと3歩でいきますよ」とか、身の程知らずの私を脅かしてくれるんで、ますます楽しみになってきた。

↑ ふだんの彼は、こーんな顔してる、ただの食いしんぼうなんだが…。
三日後の金曜日は、うちわの競技会である。去年もおととしも出たんで、万障繰り合わせて、ことしも出る。
ことしの実施競技は、部班の中級と上級と、障害が40センチ(クロス)、70センチ、100センチである。
何に出たいかきかれて、日中マジメな顔して「空いてる馬で、空いてる競技に出させてもらえれば、けっこうです」(馬の出番のローテーションを考えるのは大変だろうから)と謙虚に言ったのがスルーされて(?)、酔っぱらった勢いで「オリアンダーでメーターに出たいんだよねー!」と言ったのが採用されてたのには、おどろいた。
かくして、きょうも障害を練習しとく必要があるんだろうな、やっぱ。(いーんだけど、べつに。飛ぶのは馬だから。)
私としては今日乗る馬はどれでもいいんだけど、「ぢゃあ、エアサンタムールで」と言われて、冗談だと思ってたら、ほんとに「エアサンタムールで、経路やりますよ」ということになる。

サンタ、乗るのは、おととしの6月以来。
こんどの大会も、サンタに乗って出ればいいじゃん、って声がないこともないんだけど、いくら「知力・体力・政治力、どんな手を使っても勝つ。馬割りも実力のうち」とホザいてる私とはいえ、「これで負けたら、馬やめたほうがいい」と思ってるんで(おととし実際に負けたんだけど)、さすがに御辞退申し上げている。
ことしは震災だなんだで中止しちゃったんだけど、本来は、今年この馬で、うちわの全国大会(言い方が矛盾してるみたいだけど、あるんだよ、そーゆーの、うちわだけで全国から集まるの)を、80センチ(私のようなヘタでも出してくれる)と100センチ(うまいひと)と120センチ(プロ)の3階級制覇、誰が乗っても勝っちゃう、「美浦にエアサンタムールあり!」と言われる予定だったんだから。

うー、乗る前から緊張する。馬装完了したつもりが、鼻革の尾錠止めてなかったりする。すでにアガッててアタマんなか真っ白かよ、俺。
またがってはみたけれど、どんな馬だったか、実は忘れてたりする。
馬場に出て常歩。ハミ、うけてくれるかなーって、恐る恐るやると、スッとうける。脚への反応もよし、拳のはたらきかけにもすぐ応じる、いいなぁ。
軽速歩でウォーミングアップ。からだの大きい馬、動きの大きい馬に乗ると、私は遅れをとっちゃうことがあるんで、後ろにバッタンと座りこまないように、アブミに立って前の方に軽く乗ってくようにする。
軽速歩で輪乗りする。いつも、ここからガッツンガッツン脚やって、手綱グイグイしたりするんだけど、あらら、いとも簡単にうけてくれるよ、サンタ。歩度つめる、うけたら、手綱伸ばす、スッと前に出る、繰り返す。
次いで駈歩。いいよ、いいよ、人間がグラングラン動かないように気をつけて、これも詰めたり伸ばしたり。ツーポイントする、座る、騎座で馬の背中押すとグッと前に進んでくれるような気がするが、そこんとこは自信ない。
でも、あんまりイイ馬に乗せてもらうと、余計なことして(馬への指示というものは本来非常に微妙なものです、私のように尻でゴー出して同時に拳でストップかけてはいけません)、馬の調教を破壊しちゃわないか、心配になる。
蹄跡を駈歩して、斜めに手前をかえて、踏歩変換を試みる。フワッとかわる、あまりに簡単にかわるんで、疑って下みちゃう。
乗りやすいよぉ、サンタ! いままでのどの馬よりも乗りやすいかもしれない。

乗りやすいってのは、個人的感覚なんで、説明できないし、ほかの人とは違うかもしれないけど。
私が言うのは、動くとかっていうんぢゃなくて、リズムがいいって感じかなー、リズムが一定のスムーズな動き。常歩⇔速歩⇔駈歩とギアチェンジするとき、スピードアップ・ダウンするとき、巻乗りに入ったり進む向きを変えるとき、ガックンガックンしないで、そのままのリズムで動いてく感じ。あくまで私の受ける感じだけど、そーゆーのが乗りやすいって思う。
だから、準備運動だいだいOKってことで、広い方へ出て行くと、「どーですか?」って言われたときに、「(こんどの競技会は)これで部班に出ればよかった!」と私が言ったのは、全然ウソぢゃない、実にそう思う。
ただ、そんなことばっか言ってられないんで、ぢゃあ障害やりますか。アブミふたつ詰める。(高いの飛ぶ気。)

(↑ すげーテキトーな絵でスイマセン。あくまでイメージです。)
さて、障害は経路状態で置いてあるんで、最初は、どれでウォーミングアップしたらよかろうと待ってると、「その馬、クロスからぢゃないですから、適当に垂直ひろって飛んでください」って、えー?
馬はいいけど人はどうなのと思いつつ(だってどれも70センチよ)、やおら1番に速歩で向かってく。だいじょぶかなー、フツーの馬だったら停止するだろうとこから、フワリと馬が上がって飛ぶ。繰り返し、トコトコトコと速歩で向かってって、フワリと飛ぶ。
駈歩。フツーの輪乗りとおなじ感じで駈歩。以前乗ったときは、よく馬がデローンと伸びたまんま、飛んぢゃって(なんでも飛んちゃう)、ダメだしされたなーと思いつつ、詰めてく感じで向かう。
障害が近づく、追ったり引っ張ったりしない、馬も勝手に急いだりしない、ポーンと飛んぢゃう。
回転して二つ目へ。ゆっくりとした駈歩のまま。ジーッとしてると、あれ?さすがにやばいかな、これぢゃ?と思ってると、一瞬、間があるように感じて、そこからフワンと飛んぢゃう。
さすがに「もうちょっと、出して!」と言われて、三つ目へ。とは言うものの、弱ーい感じで障害に近づいちゃう。飛んでよ!って思うと、フワンと越えてく。
もうちょっと前に出しながら、もういちど。フツーに助走してけば、近いとか遠いとか、そーゆー問題ぢゃなくて、何でも飛んぢゃう。
思いだしてきたぞ、これがサンタだ。すげえ。ウルトラな馬。あの踏み切って持ちあがってくる感じは、言葉では説明できない。同じ動作してんだろうけど、ほかの馬とは違う。羽、生えてんぢゃない?
少しずつ確認してくことにして、左手前で3番飛んだら、踏歩変換、右へグルっとまわって、4番5番の連続障害へ。回転のあと、ちょっと弱い、前に出てない、それでもポンと飛んぢゃう。あいだ何歩なんて数えてない、連続のふたつめへ真っ直ぐ向かう。あれ?出してかないもんだから遠い?と思ってると、ブオンッと馬が前方に飛び上がって、難なく飛び越えてく、すごいパワーだ。その飛びっぷりに、私が落ちんぢゃないかと、見てるひとたちも驚いた。乗ってる人間は飛べるか迷ってたんだけど、馬は全然迷ってない。人、反省。
んぢゃ、ぜんぶつなげて経路行きます。左手前で大きくまわりながら、ひとつめ、ふたつめ、みっつめ。踏歩変換、右へ回転、さっきの反省で回転のとこ強く。連続障害、4番、5番、こんどは普通に踏み切り合う。右へ90度行って、6番。飛んだら右後ろを振り返るように見ながら、右へ回転、わりと遠くから真っ直ぐ障害を見る形になって、7番飛越。踏歩変換、左へ回転、真っ直ぐ入ってないけど、馬の力でかるーく8番飛越。すこし左へ角度ふってあって、9番飛越で、一応一巡おわり。
全般に前に出てないよー(それでも飛んぢゃうスゴイ馬)、回転のとこで強く前に出す、そして障害向いたらもう何もしない状態で飛ぶこと、6番のあと7番に向かうときなんか真っ直ぐ向いてから走らせようとしたってダメ、ということで、そのへん気をつけて、もう一回。
障害飛んだあと勝手にダダッて走る馬ぢゃないんで、飛んだあと次の障害見ながら脚(内側の脚)つかって、駈歩のエンジンだかギアだかをスポッと切れないようにつなげてく。最後のいくつかは、馬が上がってくるのを待って、そこから随伴を意識して、タテガミつかむようにヒジの開閉を心掛けて飛ぶ。
馬、スゴ過ぎ。ウルトラ。
なんでも飛んぢゃう。ナマイキ言うつもりはないけれど(絶対ありません)、ひとがヘタに乗っても飛んでくれちゃうんで、はっきり言って、練習にならん。
心底「(こんどの競技会は)サンタで70」にしときゃよかった、と思う。べつに勝とうとさえ思わなきゃ、ハナウタ歌いながら帰ってこられる。
「上げますか」と聞かれたので、オクサーをつくってもらう。ひと(私)、オクサーに課題あり、それは自覚している。(意識しすぎだという指摘もあるが。)
「飛びやすくしときますか」と言いつつ高いのを作られちゃう。それはいくらなんでも高すぎるだろと近寄って見に行くと、たしかにメーターにすぎない。
ヤバイ、ブランクでかすぎか、最近ちっとも障害練習しなかったのは私の好き好きだけど、そんなに高かったけ、100センチって? これは飛ぶ自信なんもない。しかし「飛びやすく」って、前が100で後ろが105ってか? 前が95で後ろが100でいいのに。(←なんか小さいこと言ってる)
んぢゃ、やってみますか。飛んでくれる馬乗ってるうちに、慣れなきゃ。
左手前で3番へ。うーん、幅があるなあ、どこ目がけて飛ぶんだろうとか、マヌケなこと考えてると、止まる。
「ダメ、全然、出てない」とNG出される。そーなんだよ、何でも飛んでくれちゃうウルトラホースだから、こっちの感覚狂っちゃうんだよ、ほかの馬だったら今の調子では向かわんだろと反省する。(バカだなあ。)

もう一回。また止まる。「人間、自信なさすぎ」と指摘される。腰引けてる?
これ以上、お利口さんのサンタに、迷惑かけられないし、プライド傷つけてはいけないので、思い切って出してく。半分眼つぶって飛ぶ。
飛んだら、踏歩変換、右回転、連続障害へ向かう。あら、弱い?と思ってると、止まる。
回転のとこ強く、ってさっきから言われてんじゃん、反省してやりなおし。
オクサー飛んで、右回転、垂直飛ぶ、つぎのオクサー(105センチ)へ、高ぇと思ったら、止まる。
すいませんねえ、馬の名誉を傷つけて。サンタ、こんなの楽勝で飛べるのに。人がジャマばっかして、ちゃんとゴーサイン出すとかしないもんだから。
ほんと、乗馬、やめたほうがいいんぢゃないかな、と思う。
もっかい行くよ。左手前でスタート、オクサー、右回転、回転のとこ強く、出すんだか起こすんだかよく分かってない状態で勢いよく向かう、垂直、あいだ何歩だか知んない、飛べ、飛ぶんだ俺! 飛ぶ。
飛んだら身体起こす、っていうか勝手な加速とかしないから、それほど体勢直すのには苦労しない。大きく右へ回転、回転のとこで出す、遠くに垂直みえる、なんもしない、飛ぶ。
ハァ、ハァ、ひさしぶりに息あがっちゃったよ。余裕なくて、呼吸止めて飛んでまわってたな、今きっと。100メートル走したあとみたいだ。(と言うものの、最近やってないね、そういうの。)
対象的に、馬はケロッとしてる。これしきでは、汗もかかない、呼吸も乱れないって感じ。よくわかんないけど、私が乗ってないこの2年のあいだで、サンタのほうは心臓とかも着実にパワーアップしたんぢゃないかなという気もする。
もう、人おなかいっぱい。軽く速歩して、終わり。

終わったあと、問題になりそうな、例の連続障害、ほんとは間ナン歩なのか聞くと、4歩らしい。そこを、練習では5歩入れて飛ばすのがツボだそうで、私ももうちょっと低かったら、1・2で起こして1・2・3で飛ぶとか、やってみたいんだけど。
だいじょぶかなー、こんな高かったっけ、100センチ。この高さの障害経路、まったく完走する自信がない。
「70ならともかく、100センチは、今日くらいの勢いで行かないと」と言われる。そうだっけぇ、速くなるの抑えるくらいでちょうどよかったんぢゃなかったっけ、試合って?
思えば2年前は、夏をはさむ4カ月間まったく乗らないで、3回練習しただけで11月のクロスと80センチの競技に出た。そのあとも週イチでは乗ってたけど、障害なんか前日練習しただけで、暮れの100センチに出たんだよねー。無知というのは、強いものだ。
まあ、100センチといっても、ホントに100センチあるのは最後の1個か2個だから、と思うことにして自分を励ますというか慰める。
でもなあ、オクサーだよな、問題は。下覗きこんで、先飛びして、馬ビタッと止まって、人だけ障害の上へ落ちて、横木か支柱を撃破、ってイメージ、強固にできあがっちゃってるよ。

私のようなヘタを背負っても、クールにつきあってくれたサンタに、ひさしぶりにリンゴやる。
大好きなんだな、これが。
ところで、本番の騎乗馬は、オリアンダーの予定。
数えるほどしか乗ったことないんだけど、底が知れない感じがして、彼のホントの力を見てみたいと常々思ってるところ。
(なら見るだけにしときゃいいのに、自分で痛い目にあわないと気が済まないのか、このヘタクソは…)
しかし、昨日は「だいじょぶですか、あの馬ホンキで飛ぶと、バーンと尻ッパネしますよ」とか、今日は「そこの障害間4歩ですけど、あの馬で放しちゃうと3歩でいきますよ」とか、身の程知らずの私を脅かしてくれるんで、ますます楽しみになってきた。

↑ ふだんの彼は、こーんな顔してる、ただの食いしんぼうなんだが…。