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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

私とは何か

2013-04-24 21:22:15 | 読んだ本
平野啓一郎 2012年 講談社現代新書
サブタイトルは、『「個人」から「分人」へ』。
どうでもいいけど、「分人」って漢字変換されない、聞きなれない言葉。
著者の小説を読んで、そこで展開されていた分人という考え方、それをダイレクトに解説してくれてる本。
人は、唯一無二の“分割不可能な”個人ではなく、相手次第で様々な自分になれる、分割可能な分人だという。
絶対変わらない“本当の自分”みたいなものが中心にある、なんて考えるんぢゃなくて、生きてくうえでの足場を「対人関係の中で、現に生じている複数の人格に置いてみよう」という考え方が述べられている。
「人間は分人の集合体であり、重要なのは、その構成比率」とか「個性とは、分人の構成比率のこと」とか、言われてもなかなかスッとアタマに入ってはこないけどね。
具体的な例で解説してくれるんで、イメージはなんとなくわかるような気になってはくる。
相手によって自分が変わることを、主体性がないとか恐れるんぢゃなくて、肯定するのがコツかな、と。
「コミュニケーションは、他者との共同作業である。(略)コミュニケーションの成功には、それ自体に喜びがある」とかって、そういう考え方に立てば、相手にあわせて関係をつくってくのは当然だということになる。
ちなみに、『愛とは、「その人といるときの自分の分人が好き」という状態のこと』という定義は、よくわかる気がする。私なんかも、「プレゼントを買ってたりする“自分が好き”」って、よく感じたりするから。
コメント
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