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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

幸運な足の娘

2015-03-12 21:01:54 | 読んだ本
E・S・ガードナー/林房雄訳 1959年 創元推理文庫版
推理小説つながり。ぼちぼち読み返そうとしてるペリー・メイスンのシリーズ。
このシリーズは、できたら順番に読んでいきたいんだけど。
なんでかっていうと、それぞれの話の最後に、次の話への導入部が書かれてるからで。(ひき?)
そういう意味では、『ビロードの爪』のつづきは、『すねた娘』のはずなんだが、どうしても見つからなかった。
どこいっちゃったんだろう、いちど全部読んだはずだったんだけどな。売ったおぼえもないし。
しかたないんで、その次にあたるこれを読むことにした。
ちなみに、本作の最後、この事件が一件落着した直後には、「あちらの部屋に、とても妙な男の人が来ています(略)彼は、吠える犬のことで、あなたに会いたがっています」と、次作『吠える犬』の予告が書かれてる。
だからって、どうしても順番に読まなかったら話がつながらないなんてことはないんだけどね。
さて、本作「THE CASE OF THE LUCKY LEGS」は、脚線美コンテストをつかった詐欺をめぐる話。
幸運な脚に選ばれた若い女性を主役に映画をつくるとかなんとかいって、あちこちからカネを集めては立ち消えにするという詐欺。
弁護士メイスンのとこにきた依頼人は、被害にあった一人の女性を救ってほしいと言ってきた、もと銀行頭取。
で、殺人事件が起きてしまうんだが、例によって例のごとく、ペリー・メイスンは、すれすれのところをわたっていく。
殺人事件の現場を発見しておきながら警察に通報しないのはいけないんだけど、成り行きでそのまま押し切っていくしかなくなっちゃう。
そのやりかたは、いつものとおり秘書のデラ・ストリートに、
「あなたは、なぜ、ほかの弁護士がするようには、なさらないの?(略)なぜ、事務所にすわっていて、事件がやってくるのを待たないのか(略)」
と言われちゃうんだが、
「(略)僕がそんなふうに生まれついているというだけのことさ。(略)僕には、警察の選定をうって事情をつかみ、実際に起こったことをだれよりも先に推理しようとして、事件の中心にとび込んでいく偏執(マニヤ)があるんだ」
と答えている。そう来なくちゃ活劇にならないからねえ。
当然、窮地に追い込まれるんだけど、
「僕は、いつもひどい立場に、立たされるよりも先に、自分でとびこんでいる(略)」
と自覚してやってんだから、そこがカッコイイわけで。
でもさすがにこのまま裁判に突入したらマズイだろ、って思ってると、法廷での対決場面がないんで、そこがちょっと意外。
関係者を集めて謎解きを語るっていう、雰囲気としてはふつうの探偵ものに近い。
コメント
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