many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

遙かな国遠い国

2015-06-11 20:38:08 | 読んだ本
北杜夫 昭和46年 新潮文庫版
持ってるのは昭和53年の12刷、ぼちぼち読み返している北杜夫。
昭和33年から36年ころに書かれたらしい、短編集。
どんな小説が入ってたか忘れてたんだけど、あらためて読んでみたら、ちょっと、日本の純文学のなかでは異質とも思えるような、躁状態なものを感じた。
「三人の小市民」
なにをやってもうまくいかない男がパチンコと格闘する「魔王」、空飛ぶ円盤を待つひとたちのいる「空き地」、一日の半分を寝て半分を銀紙玉をつくることしかしない男が虫に襲われる「家」の三編。
「埃と燈明」
ほんとはドイツに留学したかったが、とりあえずヒューストンに来てしまっている医者が、仲間の医者といっしょに車でメキシコにいく話。
「為助叔父」
木島綜合病院の末の息子が主人公、「ぼくのおじさん」につながる、変なおじさんの話。
バラやサボテン、黄色いトマトの栽培、七面鳥や食用蛙の飼育など、何かひとやま当てようとするんだが、どれもうまくいかない。
一族のほかの者は「整然」をモットーとした家風に沿ってるんだけど、長兄にいたっては「整然とそっぽを向いた」とか徹底してるとこが、おもしろい。
「友情」
中学校に入学した初日に、「君、これから僕んちに遊びにこいよ。いいな?」って強引に友だちになってきたヘンな少年の話。
「遙かな国遠い国」
漁師の息子である正太は出来がわるくて、周囲からは「コケ」と呼ばれている。母親は一人前の漁師にしたいのだが、なれるはずもない。
しかし、ちょっとしたタイミングで、飯炊(カシキ)としてサケマス船に乗り込むことになった。

コメント
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