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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

空っぽの罐

2016-02-17 20:57:14 | 読んだ本
E・S・ガードナー/三樹青生訳 1960年 ハヤカワ・ポケット・ミステリ版
できるだけ順番に、あるだけを読みかえしてる、ペリイ・メイスンシリーズ。
持ってるのは1990年の4版。原題は「THE CASE OF THE EMPTY TIN」
件の空っぽの罐というのは、事件の舞台となる金物商の一家が住んでる家の地下室で見つかる。
食料品とかをきちんと整理してあるなかに、突如紛れこんでたラベル無しの新品のブリキ罐、いちど開けたやつをご丁寧に溶接でフタしたみたい、でも持ってみればカラ。
最初の二章は、そんな家の様子を、メイスンが出てこないで、淡々と書いてあるんで、ちょっとこのシリーズにしては珍しい感じのタッチ。
メイスンが登場するのは、その家で夜中に銃声が聞こえる事態が起きた後、上の階に住む車椅子の男に呼び出されて、事件解決を依頼されてのこと。
といっても、銃の音は多くのひとが聞いてるし、床や車には血痕があるんだけど、被害者が見つからなくて、なんの事件かはっきりしない。
空きカンに興味をもったメイスンは、調べて罐のフタに暗号が刻まれてるをの見つけ、それが互いに直接連絡をとりあえないもの同士の通信手段だと見抜く。
なんと、このシリーズに暗号の謎解きなんかが出てくるとは珍しい、こんな話あったの今回読みかえすまですっかり忘れてた。
そうこうしてるうちに、メイスンは怪しい電話に呼び出されたりして、いつものとおり、死体を発見してしまって、窮地に追い込まれてしまうんだけど。
登場人物は誰もかれもひとくせふたくせありそうで、誰がいちばんの悪人かはなかなかわからない。
でも、冒頭に、ある特徴的なキャラクターについて、その趣味と特技について触れてるとこがあって、これって何かの伏線だよなーと思わざるをえないとこが、なんとも分かりやすすぎて残念。
ま、いずれにしても、法廷シーンとか無いし、メイスンものにしては、ちょっと変わってる感じがする一作という気がする。

コメント
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