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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

丸谷才一編・花柳小説傑作選

2020-11-07 18:08:03 | 丸谷才一

丸谷才一〈編〉 二〇一三年 講談社文芸文庫
前回のつづき、ってのは、これにも吉行淳之介が入っているから。
中古を買ったのは去年の夏ごろのはずだけど、ずっとほっといてしまって最近読んだ。
カテゴリーを「丸谷才一」に入れちゃったんだけど、丸谷さんの作品は入っていない。
それどころか、この文庫が出版される前年の2012年10月に丸谷さんは亡くなってしまったので、当初予定されていた巻末解説代わりの対談も実現しておらず、丸谷さんはこの本に登場していない。
で、その解説を見て初めて知ったのだけれど、丸谷さんは編者として、1980年に集英社文庫で『花柳小説名作選』というのを発行しているそうだ。(見たことない、またどっかで見つけなくては。)
どうでもいいけど、以前読んだ『文学全集を立ちあげる』のなかで、丸谷さんは、里見弴の小説を採るなら短編のほうがいいと言ったとこで、「やっぱり花柳小説というものは限界があるんだねえ。僕は、芸者遊びの話に興味が持てないんだよ。」と発言してたので、花柳小説に興味がないのかと思ったんだけど、そうぢゃなかったんだ。
本書の杉本秀太郎さんの巻末解説によれば、先に出された「名作選」のほうに、「花柳小説」とはなにかということについて、
>丸谷才一の説を要約すれば、花柳界を舞台とする小説だけではなく、バーのマダム、女給が一働きも二働きもする小説も、私娼が暗い陰から現れる小説も含めるという簡単な話になる。
と広義の定義がなされているんだそうである、だから「日本の近代文学の主流であるとさえいえる」ということらしい。
ちなみに、花柳という言葉は「花街柳巷(かがいりゅうこう)」の略だって、知らなかった、特に柳巷のほうね。(日本語入力しても変換もされなかったりして。)
一読したなかでおもしろかったのは、アクバル大帝の芝居をやる若い劇団の話の「極刑」と、先斗町の面白い芸者の小梅のことを書いた「てっせん」かな。
(言っちゃ何だが、志賀直哉とかホントどうでもいい。)
コンテンツは以下のとおり。
娼婦の部屋 吉行淳之介
寝台の舟  吉行淳之介
極刑 井上ひさし
てっせん 瀬戸内晴美
一九二一年・梅雨 稲葉正武 島村洋子
一九四一年・春 稲葉正武  島村洋子
母 大岡昇平
蜜柑 永井龍男
甲羅類 丹羽文雄
河豚     里見弴
妻を買う経験 里見弴
瑣事    志賀直哉
山科の記憶 志賀直哉
痴情    志賀直哉
妾宅  永井荷風
花火  永井荷風
葡萄棚 永井荷風
町の踊り場 徳田秋声
哀れ 佐藤春夫

コメント
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