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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

名馬の生産

2020-11-08 18:02:45 | 読んだ本

エイブラハム・S・ヒューイット/佐藤正人訳 1985年 サラブレッド血統センター
牡牝ともに無敗の三冠馬の誕生とか、GI通算8勝達成とか、めでたい話題がつづいた今年の秋競馬なんだけど。
そうなると、それにしても入場人員が極めて少数に限られるってのは、こういう歴史的イベントがあるっつーのに残念だあねという気がする。
(私自身は全然出かけてみたいなんて気にはならないんだが。)
もうここに並べてみせる競馬の本なんて持ってないだろうと思ったら、こんなのがまだ本棚にあったから油断ならない。
持ってんのは1991年の3刷だけどね、なんで当時の私がこういうの読もうと思ったんだか、もう憶えちゃあいない。
原著『THE GREAT BREEDERS AND THEIR METHODS』(偉大な生産者とその方式)は、1982年の出版で、元ネタは『ブラッド=ホース』とかの雑誌に発表したものだという。
著者は実際に生産者・馬主としてけっこう成功したひとだそうで。
競走馬の生産は、ゲノムをどうしたとか人工的に操作したりするもんぢゃないんで、生産者それぞれに理論というか信念のようなものがあって、そういうの読むのはおもしろいものではある。
ただ21世紀の今からすると、話は古いよ、ここでとり上げられてる研究対象は1835年から1982年までの生産馬だし。
でも古い時代の話のほうがおもしろかったりする、いろんな偶然に左右される要素が多いのかもしれないし、全体のレベルが高くなってないと思わぬところからヒーローが出たりする可能性があるから。
読んだのは私にとっても大昔だから、どんな内容かはおぼえてないんだけどね、この本。
やっぱフェデリコ・テシオとかには以前から興味あったし、おもしろいと思った。
「ある牝系に惚れ込んで身動きならなくなるのは愚の骨頂」だとか、自分トコの種牡馬はつけないでフランスやイギリスへアウトブリード求めて牝馬を送り込んだとか、そのへんが成功の秘訣だったらしい。
>テシオが牧場に新たな“血”を導入する際、一定の方式を守っていたことから判断すると、彼は私たちが「波動現象(ウェーヴ・モーション)」と呼ぶものを信じていた。競走能力が遺伝する場合には、上昇や下降が予想しうるというあの説である。テシオは、父から息子へというつながりで、イギリス・ダービー馬が3代を超えて続いたことはないと指摘している。(p.513)
ってあたり、なかなか重要な事実なんである。
コンテンツは以下のとおり。
第1章 アレクサンダー レキシントンを買った男
第2章 ダニエル・スウィガート ウッドバーンの実質的後継者
第3章 ベルモント 名馬は信念の外から
第4章 ジェームズ・R・キーン 成功の方程式
第5章 H・P・ホイットニー スピードによる生産とその限界
第6章 C・V・ホイットニー 袋小路からの出発
第7章 ジョン・E・マドン ターフの魔術師の魔術
第8章 E・R・ブラッドリー 職業ギャンブラー
第9章 ハンコック ビジネスとしての生産
第10章 ウィリアム・ウッドワード アメリカ的システムに抗して
第11章 グリーントリー 中庸的生産のジレンマ
第12章 カルメット その名はアメリカ・サラブレッドの代名詞
第13章 フィプス 名馬を持つゆえの悩み
第14章 E・P・テイラー 準一流国で成功する法
第15章 ジョン・ボウズ 孤独な成功者
第16章 サー・ヨセフ・ホーリー 繁殖牝馬、わずか8頭
第17章 ファルマス卿 輝かしき少数精鋭主義
第18章 ウェストミンスター公 3冠馬を2頭生産した貴族
第19章 ポートランド公 初心者の大いなる運
第20章 J・B・ジョエル 栄光の19年間
第21章 ホール・ウォーカー 偶然か必然か
第22章 ダービー卿 大躍進の3要素
第23章 アスター卿 3頭の牝馬とその子孫
第24章 アガ・カーン スピードを第1義にして
第25章 エドモン・ブラン 現代「フランス血統」の創始者
第26章 マルセル・ブサック 帝国の興亡
第27章 フェデリコ・テシオ マエストロの方法と意見

コメント
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