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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

金の国水の国

2020-11-15 18:16:20 | マンガ

岩本ナオ 2016年 小学館フラワーコミックスαスペシャル
NHK教育テレビで「浦沢直樹の漫勉」って、すごくおもしろい番組があって、毎度みてるんだが。
最新シリーズを今やってて、前回はついについに諸星大二郎先生が登場、いつもは録画して翌日ってこと多いんだけど、放送時間にテレビの前正座して観ましたよ、ファンとしては。
感動した、手塚治虫をしてマネできないと言わしめたという、あのタッチがどういうペンの動かし方から生まれるのか見られたんだもの。
それはいいとして、今日のところは、本題はべつなので。
今回出演してるマンガ家さんのなかで、岩本ナオさんというひとの回が気になったので、何か読んでみたいと思ったわけで。
(ちなみに、顔出しNGらしく、自身の似顔絵でテレビ画面には出てたけど、かえって気になる。)
ただ、「完全に女の子に向けて描いているので 漫画って 私は」という発言があったから、理解できなかったらどうしよって、ちょっと気がかりだったんだけど。
とりあえず、完結してて、そんな長くないのがいいだろと、探してみたら、これが一冊もののようなので買い求めてみた。
隣り合う仲の悪いA国とB国の物語(どうでもいいが国名はつけてほしかった、ABは味気ない)、二国はつい最近も戦争をしたばっかり。
仲直り案として、A国の第93王女サーラの元へ「B国で一番賢い若者」が婿に来るはず、だったのに、おくられてきたのは犬。
B国の図書館長の息子で土木技師のナランバヤルのとこへ「A国で一番美しい娘」が嫁に来るはず、だったのに、おくられてきたのは猫、お互いの国の長は相手バカにしててまともに付き合う気がない。
で、サーラとナランバヤルは、当然のことながら、偶然のように森で出会うわけだが、お互いの事情は知らぬまま、婿の代わりとか嫁のふりの役を演じてくれって騒ぎに巻き込まれてく。
A国は商業国家で、市民の生活もまあ豊かそうだけど人口過多で、砂と岩ばかり、やがてオアシスが枯れていく国土。一方のB国は戦で町も荒れて国力はもう弱く、だけど水と緑の豊かな国。
ナランバヤルって男は、「あることないことペラッペラ適当にいけそうですよ」とか、「口だけは達者なんですぜ」とか、いい加減そうにみせて、戦争は避けなきゃと考えて意外とマジメ。
さらには、B国からA国へ水をひくっていう事業を立ち上げたいと思い立つんだけど、王族間とか大臣同士の確執もからんで、なんだかんだと騒動になるのを無事乗り切れるのかハラハラドキドキということになる。
いや、おもしろいっす、女の子向けかと心配したけど全然問題ない、あっし(←というのはナランバヤルの一人称)にも十分おもしろい。
相手に好意を抱いた瞬間に、顔が赤くなるって描写があるんだけど、それは浦沢直樹作品からインスパイアされたものだって「漫勉」で語られてたけど、とてもいい効果をあげていると思う。

コメント
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