many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

イニシエーション・ラブ

2011-12-26 19:57:47 | 読んだ本
乾くるみ 2007年 文春文庫版
ちょっと前に読んだ、先崎学八段の『今宵、あの頃のバーで』の「流行に近いところにいる自分の気恥ずかしさ」という章で、
>文学、とくにミステリーに関しては、私はちょっぴり感度がいいのかもしれない
という一節があって、要は、世間で騒がれる前に先取りして読んでることがしばしばあるという経験を語っている。
で、そこで
>『イニシエーション・ラブ』という作品はすごい。本文約二百五十ページの文庫なのだが、これは実質五百ページの本なのである。なぜなら、この本を読んだ人は、必ずすぐに読み返すことになるからだ。
と言っている。「必ずすぐに読み返す」の部分には、傍点つきである。
んぢゃ、読んでみっかと思って、私も読んでみた。
買った文庫の帯には「必ず二回読みたくなる小説などそうそうあるものじゃない」とか、同じことが書いてある。
っつーことは、なんか仕掛けがあんだろーな、って先入観もっちゃうんだけど。
読んでると、「なんかヘンだな」感が、たしかに生じてきて、最後のページで、「おおっと?なーるほど、そーくる?」って思わされた。
なにが、どーして、そーなのかは、ネタばれなんで、書かないけどね。
でも、私は、なんか、すぐ読み返す気にはなんなかった。
なんつーかな、わざと、そーゆー技巧をもちいてんのかもしれないけど、読んでて引っ掛かりがないっつーかリズムに乗れないっつーか、あんまり気持ちよくなくて、読み返したくなる感じぢゃないんだよねー。
(村上春樹的にいうと、ビートとか“うねり”とか、そーゆーもんが、私には合わない感じっつーの?)
だからって、否定はしないですけどね。
結局、二週間くらい放置したあと、それぢゃあ読んでみますかぁって感じで、二度目の読みを試みたんだが。
ときは、国鉄がJRになったころ、男女7人ナントカ物語ってテレビドラマ(私は見たことない)をやってたころの、恋愛のはなし。
クリスマスにはプレゼントしてホテルとってとかゆーのが華やかりしころですねー。
そのへんの時代のカラクリを知りたいひとは、ホリイ氏の「若者殺しの時代」を読んでみてねー。

おそくなりましたが、メリークリスマス

※12月27日追記 そういえば『彼女は存在しない』なんかのほうが、すぐ読み返したくなったような記憶がある。(いずれにせよ、すぐには読んでないけど。)
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オリアンダーと100センチに出る

2011-12-23 22:24:18 | 馬が好き
きょうは、毎年恒例、美浦トレセン乗馬苑に集うみなさんが参加する、乗馬大会。
祝日なんで、子どもたちも学生も社会人も、参加できたと思います。
競技は、部班の初級と中級、障害の100センチ、70センチ、40センチ(クロス)。
参加したいひといっぱいいたと思うけど、指導する先生たちが、うまく割り振ってくれたようです。

んで、私は、100センチに参戦。
おととし、怖いもん知らずで言われるままに100センチ。去年は、難しいこといろいろおぼえて、おのれの分もわきまえて、60センチ。
ことしは、どーしよーかなーと思いつつも、悔いの残らないように、100センチにエントリーさせてもらった。
難しいことも分かったうえで、ことしはここで勝ちたいと思った。

11月からは、まじめに練習してたんだけど、おもしろがって“頭頸の伸展”のマネゴトばかりしてて、あまり障害の練習はしてない。まあ「飛ぶのは馬」だし、とは思ってたんで。
しかし、三日前の練習が散々だったんで、ちょっと自信がなくなってきた。
高さは「飛ぶのは馬」なんで、どーにかなるだろーと。メーター飛べない馬を使うわけないし、だいたい私がその馬の飛ぶ高さを引き上げられるわけぢゃないし。
問題は、オクサー。
もう、アタマんなかに、自分が下のぞきこむorあせって障害の向こうのぞきこむ、先飛びする、馬の肩のうえ乗っちゃう、馬ビタ止まり、人だけ前放り出される、障害のうえに落馬・横木か支柱激突、…って、イメージが、強固にできあがっちゃってる。
(これは冗談ぢゃなくて、2008年10月に札幌でやっちゃったことに由来している。)
悩んでると余計事態が悪化するんで、水曜木曜は寝ても覚めても、イメージトレーニング。(人間、目をつぶって考えることにロクなことはないので、目を見開いて考えましょう。)
幅のあるオクサーを、ちょっと遠くから踏み切って、越えてくシーンを想像する。踏切と着地のときを想像すると身体が硬くなるんで、そこは深く考えない。
空中、障害の真上、飛越の頂点で、馬が頸をのばして、肢を縮めてるようなとこで、馬の背のうえで馬の動きを邪魔しないように乗ってる自分を、主にイメージする。
腕は馬についていくし、前傾して背中が水平に近くなっちゃってもいいや、馬と一体となってく感じ。馬の背に張り付いて、ジャマしないの、馬のランドセルになれ。ポーンと上に飛び上がる瞬間ぢゃなくて、前に大きく動いて飛び越えてくとこをイメージ。
なんども繰り返してたら、当日の朝は、どーやら、「さー、飛ぶぞぉ。飛ぶ!」って精神状態に至った。
ひさしぶりの白キュロット(試合では練習よりなぜか落馬率が高いため、札幌の土とか馬事公苑の土とかが着いて汚れてる)をだして、せっかくなんで白手袋を新調してく。(これまではコンビニのドライバーズ手袋(?)だったんだけど、乗馬用のにした。)

厩舎作業がおわったら、馬場にいって、クロスになってた障害経路を100センチ用にセッティングする。
手伝いおわったら、下見。
図面もみてたしかめたけど、予想どおり、ほんとに100センチあるのは最後のふたつだけ。ラス前が95と100のオクサー、ラストが100の垂直。
前半戦のオクサーは高さたいしたことないんで、私の乗る馬なら楽勝だろうと思う。(←半分ホンネ、半分イメージトレーニング。)
3番の角度が、ちょっと小回りして向かうにはキツイ気がする。特にオクサーなんで、小回りして失速したまま向かいたくはないところ。
あとはラス前のオクサーへの入りかた。ラチから近いんで、左回転して障害を正面に見据えてからが短い。ヘンに内に入って回ったら、2歩くらいで飛ぶことになりそう、しかもそれでも斜めに。置いてある角度が微妙なんで、真っ直ぐ入る場所を探す。
大きく回転してラチ沿いを進んで、馬場の脇に立ってる一本の木を過ぎたとこで曲がってくことに決める。回転のとこで強く、強く、そうすりゃ飛ぶだろう。ラストの垂直までは、距離があるんで、問題ない。以上、下見おわり。

例年より、余裕のある一日のスケジュール。
9時半から部班競技をやって、終わった10時半くらいから、みんな障害つかう馬の馬装を始める。そして、そろって準備運動して、11時から競技開始。
いいやりかただと思った。このくらい余裕もってやったほうが、このレベルの競技会にあってると思う。
私の乗る馬は、オリアンダー。私の前にひとり乗る。
馬装を手伝う。「どんな馬ですか?」って訊かれる。乗ったことないらしい。
どんなもこんなも、こんなイイ馬いないよ、って言いたいとこ。「だいじょぶ。何でも飛んぢゃうから。最初モタれるような態度とるけど、ガンガンだして受ければ、あとは乗りやすいから」とか何とか言う、まちがってないと思うんだけど。
馬装しながら、かわいいなー、オリー(オリアンダーのことは、そう呼んでる)、と思う。

今年は、いろいろ、ホントいろいろ、あったけど、乗馬にくれば、私のなかではみんな解消された。馬たちがいなかったら発狂してたかもしれない、と思うと、めちゃめちゃ馬たちがかわいい。
さて、準備運動は、そのひとにまかせる。練習馬場で障害飛んでるけど、思ったより遠くからでも飛んでっちゃうみたい。「飛んだあと、斜め上見ろ!」みたいな指導の声がとぶ。ひとが前に行っちゃうとどーしよーもない、バランスバックしなきゃあね。
でも、あれだけは気をつけなきゃ。遠くからでも平気で飛んぢゃう、オリアンダー。でも、私がそれやられたら、ついてけなくて落ちちゃうかもしれない。出しといて待つ、そんな感じでいきたい。
競技開始。オリアンダーは2番で出ていく。ひとの乗ってんのを見るのは大事。んー、えらく慎重だな、くらいに思う。ガンガン出して、それを抑えるくらいでいーのに、って。
帰ってきたんで、乗り替わり。もう3番目のひとがスタートしてる。私は7番、もうあんまり時間がない。どのくらいで走れば基準タイムに近づけるかなんて、他人を見てる余裕はない。
馬上体操なんてしてるヒマはないよぉ。乗ってから、テキトーに2つアブミのばす。よくわかんない、2,3回飛んでみて、それから直せばいいやと思う。
軽速歩でかるく輪乗りしつつ、ハミうけを確かめる。うん、前に出てるし、いうこともきく、これならどーにかなるだろう。
駈歩する。いちど飛んできてるんで、だいじょぶだと思う。左右やって、内側の脚にこたえてくれること、確かめる。輪乗りから、半巻きみたいにして、踏歩変換を試みる、オッケーだ。
出てくまでは、あとわずかの時間しかない。練習馬場で何をしたらいいか、前は言われなきゃわかんなかったんだけど、誰もかまってくれそうにもないんで、自分で準備する。
70センチくらいの垂直が置いてあるんで、飛ばす。
すごい飛越、ポーンと飛ぶ。繰り返す。高く飛ぶ。「ホー、ホホホ、ホーッ」とか、わけわかんないことを、飛ぶたんびに、叫んでる私がいる。だって、楽しいんだもん。
すごく高くあがる。これなら、メーター、なんでもなく飛ぶと思う。
また、リズムがいい。すごく乗りやすい。なんつーかな、1・2・3で、フツーに飛ぶ。
馬によっては、1・2・のぉー、とか入ることもある。「のぉー」のとこで、重心が前いったり後ろいったり、沈んだりで上下したりすることのある馬もいる。「3」のとこで、「サーンッ!」って余計な勢いつけて飛び上がる馬もいる。でも、オリーはそうぢゃない、フツーの駈歩のリズムで、馬が自然にあがってくる。
それでいて高い。十二分な高さ。練習馬場で飛越繰り返すたびに、不安とか恐怖とか、なーんもなくなる。
楽しい、この馬で障害飛ぶのは、楽しい。
たとえば、ヘンなたとえだけど、野球にしてみたら、バット替えたら、いままでと同じスイング同じミートをしてんのに、ボールがカーンと遠くまで飛んでったら、楽しいと思わない? いいバット、手に入れたぁって、うれしくなるっしょ? なんか、そんな感じなんだよね、オリアンダー乗ってると。
おっと、オクサーもやっとかなきゃ。80センチくらいのオクサーが置いてあるんで、飛んでみる。
おおっ!軽々と飛んでくよ。もう一回、軽ぁーるぅく飛んでくよ。厳密にいえば、私の重心の位置は前にいったり後ろにいったりしてんのかもしれないけど、オリアンダーはそんなもんおかまいなしで持ち上がってくるパワーがあるように感じる。こりゃだいじょうぶと思って、出番を待つ。
直前のひとがコース走行してるんで、最後に一回、垂直をバーンと飛んどく。で、出ていこうとすると、「いちど常歩、手綱ゆるめて!」と言われる。一回オフにして、リラックスさせて、また手綱短くもって、オン。
馬場に入ったら、敬礼して、左手前の駈歩。

(↑ なんか、バカな「じょうらん」着てますけど…)
メーターなんで、とにかく元気よく出してこーと思う。出しといて、障害向いたら抑える、速かったら回転を大きくしてタイム調整する、そんな感じでいこうと思う。
オリアンダーは扶助に忠実、ただし、そのぶんちゃんと走れって言わないと、興奮した勢いの惰性で次の障害に向かうなんてことはない、回転のとこでエンジン切れないようにしてかないと。
さあ、一番に向かう。これが大事だ。動かす、動かす。イチのイチから、私の嫌いなオクサーだ。いくぞー、行け、障害にブツケてくつもりで、出していく。高い飛越で飛んでいく。
オホッ、すごいな!って、思わず笑っちゃう。「いまぐらいの勢いで、飛べって(脚とかで)言ったろ!?」って、もの言わないけど、オリアンダーの背中がいう。
「ゴメン、ゴメン」って声かける。「あとはオマエにまかせるよ」と私。
でも、このくらい元気だしてこーぜ、ってオリアンダーに話しかけて回転、2番に向かう。ポーンと飛ぶ。

楽しい、ホント楽しい。競技で、こーんな楽しいの初めてだ。
こないだの練習では小さくまわってたけど、なんか角度キツそうだし、大きくまわって、3番へ。オクサーだけど、ビビんない、前に出てるオリアンダーについていく、飛越。
すこーし、鞍の前のほうに身体が出そうになる。戻れ、座れ、起こせ、詰めろ。よし、「トーホ、ヘンカーン!」(マジで、いつもそう叫びながら踏歩変換している。)右に行く。
キツイ回転だ、右後方にある次の障害を見ながら、回転。回転のとこで、強く、強く。脚使いながら、まわる。内側の脚、外の手綱。
野球のたとえをよく出しちゃうけど、コントロールつけるのにどーしたらいーかって疑問はあるんだけど、ミット見るしか、ない。そこへ投げようと思えば、あとは身体が勝手にその方向に細かい微調整も含めて向かうんだよ。次の障害を見据えて、どこの道ふんでくかってのは、そーゆーこと。

練習で止まった連続障害。だけど、今日は、低い低い。垂直を飛ぶ。
「1・2!」で起こして、あとは任す。オクサーを飛んでく。ドンピシャの四歩だったんぢゃない!?
飛んだら、右、90度。内の脚つかって、出しながら、こんど拳つかって引き寄せる。楽勝っと思いつつ、垂直を飛越。
右に大きく回転、回転のときに強く、強く。かなりの距離あって、遠く向こうに垂直がみえる。
長い直線を障害に向かってくときに、駈歩のペースを維持するのは、ちょっとジリジリするもの。(戦闘モードのフラヴォンとかだったら、ここで俄然ペースアップすんのを抑えるところ。)
落ち着いて、駈歩のリズムを守れ、追わない、仕掛けない。障害が近づく、ちょっと高い、メーター近い、何もしない、飛越。
飛んだら、起こして、踏歩変換。
最後のここが要注意。下見んときに見といた、あの木のところから曲げ始める。100センチのオクサー、強く回転して向かう、ポーンと飛ぶ。
左に角度振ってあるけど、馬の向き微調整して、正面にターゲットとしてとらえさせる。楽勝っと思いつつ、最後の垂直をクリア。

いやー、上出来! オリアンダーにおんぶにだっこに肩車だったけど、こーんな楽しく試合でまわってきたの初めて。
たまたま、遠くからの踏切になるとこが、一度もなかったのが、ラッキー。
(どんな遠くからでもオリアンダーは飛んぢゃうんだけど、ひとがついてけない。)

しばしあって、結果発表。8人参加だったけど、堂々の1位!
規定69秒のとこ、67.47秒って、2秒以内に入ってるし、まあまあかな。
あー、どーせなら、ジャンプオフっての、やったことなかったから、やってみたかったなぁ。
(↑ 終わってからは妙に強気になる。)
うん、勝ち負けは時の運だけど、自分で納得のいく走行だった。
次回は、やっぱサラブレッドで、出たいねえ、というか乗んなきゃいかん。
(↑ 終わってからなら何とでも言える。ただ実際ほかのひとは、もっと難しい馬を乗ってるんで、公平な勝負ぢゃないから。)

(カッコつけてるけど、長靴はかないで試合でるのは反則では? 減点もの?)
オリアンダーには、ごほうびに、リンゴ2個やっといた。

先生にきいてみました。
「今日のオリアンダー? ぜーんぜん、まだ本気ぢゃないですよ。あんなもんぢゃありません。障害が百二、三十に上がると、もう少しヤル気だしますから」
…どこまでスゴイんだ、おまえは、オリー。
ふだんはただの食いしん坊なのに。

(↑ 「がんばってやったぞ、メシまだか?」のポーズ)
(ちなみに、終わった後もブヒブヒ騒いでたから、「リンゴおかわり!俺のリンゴぉ!」って言ってんのかと思ったら、どうも隣のチョコレート(馬)が帰ってきてなくて、寂しかったらしい。)

※12月29日 大幅加筆修正、写真追加しました。(あとから思い出すと、人間の記憶って捏造されてることがあるんだが…)
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砂の巨人

2011-12-22 20:49:50 | 諸星大二郎
諸星大二郎 昭和59年 朝日ソノラマ・デュオセレクション
きのうのつづき、「総特集諸星大二郎」でシナリオが公開されてた「ロトパゴイの難船」を含んでます。
収録作は、それと単行本タイトルにもなってる「砂の巨人」の二つだけなんだけど。
ふたつとも、2008年に出た「巨人譚」にも入ってます。
っていうか私は、それまでこの単行本の存在を知らなくて、「巨人譚」で読んだあとから、古本屋で探して買いました。
つまり、読みたいとかいうより、ただのコレクションですね。
ちなみに、「砂の巨人」は自選短編集である「彼方より」にも入ってて、その文庫版で読んだのが、私にとっては最初でした。
(短編集に入れた理由が、オリジナルの新書版も、その後入れた中公愛蔵版「マッドメン」も、絶版になってるから…)
「ロトパゴイの難船」は、数千年前(トロイ戦争のころ?)のギリシャとかその周辺が舞台。
「砂の巨人」は、同じく数千年前のサハラ砂漠の真ん中のタッシリ・ナジェールが舞台。
文庫版「彼方より」のあとがきによれば、
>一本の探検を軸に、『巨人伝説シリーズ』とでもいうものを構想したのだが、力不足のために二、三作しか描けなかった。
というものらしい。
ストーリーつくんの大変だし、アシスタント使わないしで、週刊連載とかしない著者だけど、ファンとしては気長に、いつ続編が出るともわからないまま、次作を待つのも、また一興なんである、としか言いようがない。
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総特集諸星大二郎

2011-12-21 20:51:01 | 諸星大二郎
文藝別冊 2011年11月 河出書房新社
サブタイトル(?)は、「異界と俗世の狭間から‐」ね。
ひさしぶりに、このての本(文藝別冊ってムックですか)が出たんで、買ってみた。
マンガは、それぞれが楽しめばいいんで、研究本みたいなのに、基本的にはあまり興味はないんだが。
なんせ、数年前のユリイカの特集号は持ってるんだけど、そのはるか前の「西遊妖猿伝の世界」は絶版だというんで(そう聞くと欲しくなる)、出たときに買っとかないと、読みたいとき手に入んない恐れもあるんで。
今回は、表紙をみると、諸星のロングインタビュー、私にとって気になる名前もあるマンガ家たちの特別寄稿、「幻の未発表マンガ」なんて文字があるんで、わりとすんなり(要るかなーとか迷わずに)買った。

コンテンツは以下のようなもの。(項目挙げて、意味わかるかな?)
・美麗イラストギャラリー(カラー8P)
・諸星大二郎二万字ロングインタビュー 「現代の神話」を語り続けて
・特別寄稿 萩尾望都、山岸涼子、星野之宣、江口寿史、吾妻ひでお、伊藤潤二、高橋葉介、藤田和日郎、高橋留美子
・リスペクトインタビュー細野晴臣
・1972年執筆、幻の未発表マンガ「恐るべき丘」
・諸星大二郎の仕事場~諸星作品の生まれる場所~(カラー8P)
・アイデアノート大公開!「Gの日記」「海神記」
・ショートマンガ「マッド・ダックス」「マッド・マルクス」「マッド・ソックス」「マッド・ボックス」
・公開対談諸星大二郎×呉智英「諸星大二郎の神話世界」
・「人類学」で読み解く諸星大二郎
・「民俗学」で読み解く諸星大二郎
・「中国文学」で読み解く諸星大二郎
・諸星マンガの貴重なシナリオ初公開!「ロトパゴイの難船」「栞と紙魚子 本の魚」「西遊妖猿伝 伊吾城の章」
・キャラクター事典60
・作品解説50+全290作品リスト

著者がマンガを描く際、まずシナリオをつくっているというのは、知らなかった一面ですね。
未発表マンガの「恐るべき丘」は、発表されて単行本にも入ってる某マンガの土台なんで、それほど目新しい発見という感じではなかったですね。
それより、「マッド・ダックス」とか「マッド・マルクス」という1ページ4段の連作マンガ、これが妙におかしくて、好き。
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ひさしぶりのエアサンタムールで、ひさしぶりの100センチ(…すぐ飛べるほど甘くない)

2011-12-20 17:36:11 | 馬が好き
朝方かなり気温が下がったみたいで、7時前には草木や土が白い。洗い場の水道が凍る日も近いかなと思いつつ、乗馬に行く。
三日後の金曜日は、うちわの競技会である。去年もおととしも出たんで、万障繰り合わせて、ことしも出る。
ことしの実施競技は、部班の中級と上級と、障害が40センチ(クロス)、70センチ、100センチである。
何に出たいかきかれて、日中マジメな顔して「空いてる馬で、空いてる競技に出させてもらえれば、けっこうです」(馬の出番のローテーションを考えるのは大変だろうから)と謙虚に言ったのがスルーされて(?)、酔っぱらった勢いで「オリアンダーでメーターに出たいんだよねー!」と言ったのが採用されてたのには、おどろいた。
かくして、きょうも障害を練習しとく必要があるんだろうな、やっぱ。(いーんだけど、べつに。飛ぶのは馬だから。)
私としては今日乗る馬はどれでもいいんだけど、「ぢゃあ、エアサンタムールで」と言われて、冗談だと思ってたら、ほんとに「エアサンタムールで、経路やりますよ」ということになる。

サンタ、乗るのは、おととしの6月以来。
こんどの大会も、サンタに乗って出ればいいじゃん、って声がないこともないんだけど、いくら「知力・体力・政治力、どんな手を使っても勝つ。馬割りも実力のうち」とホザいてる私とはいえ、「これで負けたら、馬やめたほうがいい」と思ってるんで(おととし実際に負けたんだけど)、さすがに御辞退申し上げている。
ことしは震災だなんだで中止しちゃったんだけど、本来は、今年この馬で、うちわの全国大会(言い方が矛盾してるみたいだけど、あるんだよ、そーゆーの、うちわだけで全国から集まるの)を、80センチ(私のようなヘタでも出してくれる)と100センチ(うまいひと)と120センチ(プロ)の3階級制覇、誰が乗っても勝っちゃう、「美浦にエアサンタムールあり!」と言われる予定だったんだから。

うー、乗る前から緊張する。馬装完了したつもりが、鼻革の尾錠止めてなかったりする。すでにアガッててアタマんなか真っ白かよ、俺。
またがってはみたけれど、どんな馬だったか、実は忘れてたりする。
馬場に出て常歩。ハミ、うけてくれるかなーって、恐る恐るやると、スッとうける。脚への反応もよし、拳のはたらきかけにもすぐ応じる、いいなぁ。
軽速歩でウォーミングアップ。からだの大きい馬、動きの大きい馬に乗ると、私は遅れをとっちゃうことがあるんで、後ろにバッタンと座りこまないように、アブミに立って前の方に軽く乗ってくようにする。
軽速歩で輪乗りする。いつも、ここからガッツンガッツン脚やって、手綱グイグイしたりするんだけど、あらら、いとも簡単にうけてくれるよ、サンタ。歩度つめる、うけたら、手綱伸ばす、スッと前に出る、繰り返す。
次いで駈歩。いいよ、いいよ、人間がグラングラン動かないように気をつけて、これも詰めたり伸ばしたり。ツーポイントする、座る、騎座で馬の背中押すとグッと前に進んでくれるような気がするが、そこんとこは自信ない。
でも、あんまりイイ馬に乗せてもらうと、余計なことして(馬への指示というものは本来非常に微妙なものです、私のように尻でゴー出して同時に拳でストップかけてはいけません)、馬の調教を破壊しちゃわないか、心配になる。
蹄跡を駈歩して、斜めに手前をかえて、踏歩変換を試みる。フワッとかわる、あまりに簡単にかわるんで、疑って下みちゃう。
乗りやすいよぉ、サンタ! いままでのどの馬よりも乗りやすいかもしれない。

乗りやすいってのは、個人的感覚なんで、説明できないし、ほかの人とは違うかもしれないけど。
私が言うのは、動くとかっていうんぢゃなくて、リズムがいいって感じかなー、リズムが一定のスムーズな動き。常歩⇔速歩⇔駈歩とギアチェンジするとき、スピードアップ・ダウンするとき、巻乗りに入ったり進む向きを変えるとき、ガックンガックンしないで、そのままのリズムで動いてく感じ。あくまで私の受ける感じだけど、そーゆーのが乗りやすいって思う。
だから、準備運動だいだいOKってことで、広い方へ出て行くと、「どーですか?」って言われたときに、「(こんどの競技会は)これで部班に出ればよかった!」と私が言ったのは、全然ウソぢゃない、実にそう思う。
ただ、そんなことばっか言ってられないんで、ぢゃあ障害やりますか。アブミふたつ詰める。(高いの飛ぶ気。)

(↑ すげーテキトーな絵でスイマセン。あくまでイメージです。)
さて、障害は経路状態で置いてあるんで、最初は、どれでウォーミングアップしたらよかろうと待ってると、「その馬、クロスからぢゃないですから、適当に垂直ひろって飛んでください」って、えー?
馬はいいけど人はどうなのと思いつつ(だってどれも70センチよ)、やおら1番に速歩で向かってく。だいじょぶかなー、フツーの馬だったら停止するだろうとこから、フワリと馬が上がって飛ぶ。繰り返し、トコトコトコと速歩で向かってって、フワリと飛ぶ。
駈歩。フツーの輪乗りとおなじ感じで駈歩。以前乗ったときは、よく馬がデローンと伸びたまんま、飛んぢゃって(なんでも飛んちゃう)、ダメだしされたなーと思いつつ、詰めてく感じで向かう。
障害が近づく、追ったり引っ張ったりしない、馬も勝手に急いだりしない、ポーンと飛んぢゃう。
回転して二つ目へ。ゆっくりとした駈歩のまま。ジーッとしてると、あれ?さすがにやばいかな、これぢゃ?と思ってると、一瞬、間があるように感じて、そこからフワンと飛んぢゃう。
さすがに「もうちょっと、出して!」と言われて、三つ目へ。とは言うものの、弱ーい感じで障害に近づいちゃう。飛んでよ!って思うと、フワンと越えてく。
もうちょっと前に出しながら、もういちど。フツーに助走してけば、近いとか遠いとか、そーゆー問題ぢゃなくて、何でも飛んぢゃう。
思いだしてきたぞ、これがサンタだ。すげえ。ウルトラな馬。あの踏み切って持ちあがってくる感じは、言葉では説明できない。同じ動作してんだろうけど、ほかの馬とは違う。羽、生えてんぢゃない?
少しずつ確認してくことにして、左手前で3番飛んだら、踏歩変換、右へグルっとまわって、4番5番の連続障害へ。回転のあと、ちょっと弱い、前に出てない、それでもポンと飛んぢゃう。あいだ何歩なんて数えてない、連続のふたつめへ真っ直ぐ向かう。あれ?出してかないもんだから遠い?と思ってると、ブオンッと馬が前方に飛び上がって、難なく飛び越えてく、すごいパワーだ。その飛びっぷりに、私が落ちんぢゃないかと、見てるひとたちも驚いた。乗ってる人間は飛べるか迷ってたんだけど、馬は全然迷ってない。人、反省。
んぢゃ、ぜんぶつなげて経路行きます。左手前で大きくまわりながら、ひとつめ、ふたつめ、みっつめ。踏歩変換、右へ回転、さっきの反省で回転のとこ強く。連続障害、4番、5番、こんどは普通に踏み切り合う。右へ90度行って、6番。飛んだら右後ろを振り返るように見ながら、右へ回転、わりと遠くから真っ直ぐ障害を見る形になって、7番飛越。踏歩変換、左へ回転、真っ直ぐ入ってないけど、馬の力でかるーく8番飛越。すこし左へ角度ふってあって、9番飛越で、一応一巡おわり。
全般に前に出てないよー(それでも飛んぢゃうスゴイ馬)、回転のとこで強く前に出す、そして障害向いたらもう何もしない状態で飛ぶこと、6番のあと7番に向かうときなんか真っ直ぐ向いてから走らせようとしたってダメ、ということで、そのへん気をつけて、もう一回。
障害飛んだあと勝手にダダッて走る馬ぢゃないんで、飛んだあと次の障害見ながら脚(内側の脚)つかって、駈歩のエンジンだかギアだかをスポッと切れないようにつなげてく。最後のいくつかは、馬が上がってくるのを待って、そこから随伴を意識して、タテガミつかむようにヒジの開閉を心掛けて飛ぶ。
馬、スゴ過ぎ。ウルトラ。
なんでも飛んぢゃう。ナマイキ言うつもりはないけれど(絶対ありません)、ひとがヘタに乗っても飛んでくれちゃうんで、はっきり言って、練習にならん。
心底「(こんどの競技会は)サンタで70」にしときゃよかった、と思う。べつに勝とうとさえ思わなきゃ、ハナウタ歌いながら帰ってこられる。
「上げますか」と聞かれたので、オクサーをつくってもらう。ひと(私)、オクサーに課題あり、それは自覚している。(意識しすぎだという指摘もあるが。)
「飛びやすくしときますか」と言いつつ高いのを作られちゃう。それはいくらなんでも高すぎるだろと近寄って見に行くと、たしかにメーターにすぎない。
ヤバイ、ブランクでかすぎか、最近ちっとも障害練習しなかったのは私の好き好きだけど、そんなに高かったけ、100センチって? これは飛ぶ自信なんもない。しかし「飛びやすく」って、前が100で後ろが105ってか? 前が95で後ろが100でいいのに。(←なんか小さいこと言ってる)
んぢゃ、やってみますか。飛んでくれる馬乗ってるうちに、慣れなきゃ。
左手前で3番へ。うーん、幅があるなあ、どこ目がけて飛ぶんだろうとか、マヌケなこと考えてると、止まる。
「ダメ、全然、出てない」とNG出される。そーなんだよ、何でも飛んでくれちゃうウルトラホースだから、こっちの感覚狂っちゃうんだよ、ほかの馬だったら今の調子では向かわんだろと反省する。(バカだなあ。)

もう一回。また止まる。「人間、自信なさすぎ」と指摘される。腰引けてる?
これ以上、お利口さんのサンタに、迷惑かけられないし、プライド傷つけてはいけないので、思い切って出してく。半分眼つぶって飛ぶ。
飛んだら、踏歩変換、右回転、連続障害へ向かう。あら、弱い?と思ってると、止まる。
回転のとこ強く、ってさっきから言われてんじゃん、反省してやりなおし。
オクサー飛んで、右回転、垂直飛ぶ、つぎのオクサー(105センチ)へ、高ぇと思ったら、止まる。
すいませんねえ、馬の名誉を傷つけて。サンタ、こんなの楽勝で飛べるのに。人がジャマばっかして、ちゃんとゴーサイン出すとかしないもんだから。
ほんと、乗馬、やめたほうがいいんぢゃないかな、と思う。
もっかい行くよ。左手前でスタート、オクサー、右回転、回転のとこ強く、出すんだか起こすんだかよく分かってない状態で勢いよく向かう、垂直、あいだ何歩だか知んない、飛べ、飛ぶんだ俺! 飛ぶ。
飛んだら身体起こす、っていうか勝手な加速とかしないから、それほど体勢直すのには苦労しない。大きく右へ回転、回転のとこで出す、遠くに垂直みえる、なんもしない、飛ぶ。
ハァ、ハァ、ひさしぶりに息あがっちゃったよ。余裕なくて、呼吸止めて飛んでまわってたな、今きっと。100メートル走したあとみたいだ。(と言うものの、最近やってないね、そういうの。)
対象的に、馬はケロッとしてる。これしきでは、汗もかかない、呼吸も乱れないって感じ。よくわかんないけど、私が乗ってないこの2年のあいだで、サンタのほうは心臓とかも着実にパワーアップしたんぢゃないかなという気もする。
もう、人おなかいっぱい。軽く速歩して、終わり。

終わったあと、問題になりそうな、例の連続障害、ほんとは間ナン歩なのか聞くと、4歩らしい。そこを、練習では5歩入れて飛ばすのがツボだそうで、私ももうちょっと低かったら、1・2で起こして1・2・3で飛ぶとか、やってみたいんだけど。
だいじょぶかなー、こんな高かったっけ、100センチ。この高さの障害経路、まったく完走する自信がない。
「70ならともかく、100センチは、今日くらいの勢いで行かないと」と言われる。そうだっけぇ、速くなるの抑えるくらいでちょうどよかったんぢゃなかったっけ、試合って?
思えば2年前は、夏をはさむ4カ月間まったく乗らないで、3回練習しただけで11月のクロスと80センチの競技に出た。そのあとも週イチでは乗ってたけど、障害なんか前日練習しただけで、暮れの100センチに出たんだよねー。無知というのは、強いものだ。
まあ、100センチといっても、ホントに100センチあるのは最後の1個か2個だから、と思うことにして自分を励ますというか慰める。
でもなあ、オクサーだよな、問題は。下覗きこんで、先飛びして、馬ビタッと止まって、人だけ障害の上へ落ちて、横木か支柱を撃破、ってイメージ、強固にできあがっちゃってるよ。

私のようなヘタを背負っても、クールにつきあってくれたサンタに、ひさしぶりにリンゴやる。
大好きなんだな、これが。

ところで、本番の騎乗馬は、オリアンダーの予定。
数えるほどしか乗ったことないんだけど、底が知れない感じがして、彼のホントの力を見てみたいと常々思ってるところ。
(なら見るだけにしときゃいいのに、自分で痛い目にあわないと気が済まないのか、このヘタクソは…)
しかし、昨日は「だいじょぶですか、あの馬ホンキで飛ぶと、バーンと尻ッパネしますよ」とか、今日は「そこの障害間4歩ですけど、あの馬で放しちゃうと3歩でいきますよ」とか、身の程知らずの私を脅かしてくれるんで、ますます楽しみになってきた。

↑ ふだんの彼は、こーんな顔してる、ただの食いしんぼうなんだが…。
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