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「なぜ必要なのか」の根拠を明らかにする

2013-09-21 11:26:15 | 講師田村からのメッセージ

こんにちは。田村隆一郎です。

私は、主に物流に関するコンサルティングを行っています。

だいぶ前の話しですが、あるアパレル卸の物流センターの改善提案を依頼されたことがありました。
この調査は、1日で行うように依頼されました。

その現場の写真です。


正直、この現場を最初に見たとき、『ひどいな』と思いました。

理想からすると、この現場は以下のような問題があります。
  ・何がどこにあるかわからない(表示がない)
  ・商品が床に直置きになっている
  ・通路(動線)と置場の区画線引きがされていない
  ・ピッキング時に腰をかがめなければならない
  ・先入れ先出しができない
  ・結果として、見た目も悪く、作業の生産性が低くなっている

そこで、これを改善するには、ラック(保管棚)を導入したほうが良いと考えました。
通常、このような商材の保管には、ラックを使用するのが、ある意味で当たり前です。

しかし、なぜラックを導入する必要があるのかの、根拠を明らかにしなければなりません。
(ラックを導入するにも、投資が発生します)

別に、今のままでも出荷自体は行えています。
作業の生産性が悪いのはわかるのですが、調査をしてみると、この会社では生産性を上げることの優先順位は低いと感じました。
従って、今すぐラックを導入する必要性は薄いのです。

しかし、このままでいいはずがない。

ラックを導入しないと、いつまでもこの状態が続いてしまう。
今後、この会社の売上が上がっていき、出荷量や在庫量が増えた時に、もっとひどいことになってしまう。

ラック導入の必要性を社長にわかってもらわなければいけません。

何かいい理由がないかと、再度現場をじっと見てみると、空間がムダになっていることに気づきました。

1アイテムで、在庫量が少ないと、段ボール1箱だけで一つのスペースを占有しています。
上の空間が使われていないのです。

社長に「今のままでは上の空間がムダです。今後、アイテムや出荷量が増えていくと、その分スペースを拡張しなければならなくなります。
ラックを導入すれば、高さを有効に使うことができ、不必要にスペースを広げることを抑えられます。」
と、説明しました。

社長は、「確かにそのとおりです。今後アイテムを増やすことも考えています。その時に無制限にスペースが必要になるのはよくありませんね。」
といって、理解してくれました。

コンサルティングで提案をするには、その提案一つ一つについて根拠が必要です。

「世の中の常識だから」とか、「それを導入するのが普通です」というのは根拠にはなりません。

「なぜそれが必要なのか」、それを明確にすることが大切ですね。

コメント (2)
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