こんにちは。塾長の鴨志田栄子です。
10月に、私が通っているボイストレーニングスクールの朗読コンサートがあります。
「コンサート」と名前がついているだけあり、チケットは有料です。つまり、聞きに見えるお客様からお金をいただくという意味で、コンサートの質も問われるということです。
朗読というと、一人の人が、何かを読むというイメージがあるかもしれませんが、朗読コンサートは、朗読に音楽や映像を加味して、1つの世界を出演者みんなで作り上げていくものなのです。
ただでさえ、「読む」というスキルが未熟な私は、「読んで聴かせる」「読んで見せる」というところまで求められるので、練習に練習を重ねなければならない状況に追い込まれています。
2年前は「乱反射」というタイトルで、宮沢賢治を取り上げました。前半は、童話「セロ弾きのゴーシュ」 を朗読劇として演じ、後半は、宮沢賢治の詩の朗読です。
今年は、「空の色は海の色でした」というタイトルで、前半は、童話「赤いソテツの実」、後半は、詩人吉野弘さんの詩を取り上げます。
童話では、ナレーション部分を読む人と、登場人物を演じる人に分かれます。ナレーションは、少しずつ分担して読みます。運動会のリレーのようにつないでいきます。そして、自分が読む部分の前段の内容を受けて、第一声でどのような声を出すのかを考えていく必要があるのです。まさに、見えないバトンをつないでいくようです。
この他に、台本を持ちながら、動きも加味し、音楽も入りますから、その間合いも感覚として身体に覚えさせる必要があります。
詩も、一人の人が単独で読む場合もありますが、多くの場合は、2人以上のグループで「群読」をします。オーケストラが音楽を演奏するのと同じように、10名強のメンバーで、1つの詩の世界をつくり上げることが要求されます。チームワーク、パートナーとの息が合っていること、何よりも正しい発音とイントネーションが大事になります。
発表会では、間違いがあっても、一生懸命に対応すれば、それでOKですが、有料のコンサートとなると、そうはいかないところがつらいところです。
個々のスキルアップと、チームワーク、そして全員で成功させるんだという思い、それは、私たちコンサルタントの仕事に通じるものがあるように思います。
読み上げた言葉から、会場のお客様に、その情景をイメージしていただけなければ、お金をいただいてご覧いただく意味がなくなってしまいます。「声」の力の重要性を感じる日々です。練習は、楽しいよりも「つらい」ことの方が多いですが、この経験は、研修講師という仕事に多いに活かすこともできると信じて、取り組んでいます。