皆さん、こんにちは。18期生の平野です。
暮に近づき、忘年会シーズンも一息ついたところですね。皆さん、あちこちの居酒屋へ行かれて、目も舌も肥えているのではないでしょうか。
さて、私は11、12月と商工会議所・商工会の経営指導員さん向けの見習い研修の講師をしていました。診断士の実務補修を経営指導員さん向けにやるような研修です。
その研修での診断先の一つに居酒屋さんがありました。社長は30代。N市内で業態の異なる2店舗と加工食品工場を運営し、業績もまずまずの会社です。
実務補修同様に受講生によるヒアリングがあるわけですが、販促について、ホームページ、SNS、グルメサイトがどうだこうだと、ひと通り話が発散したあと社長はこう発言しました。
「来てくれたお客さんを満足させることが最大の販促ですよ。」
来てくれたお客さんに満足してもらうことで、リピーターになってもらうこと、口コミを促すこと、そして新規のお客さんを連れてきてもらうことが、最も効率的で効果の高い販促活動になるという意味ですね。
私は、基本、黙って聞いている立場でしたが、心のなかで感嘆の声を挙げてしまいました。この社長は、サービスマネジメントの本質をよく理解している。理解と言うよりも、腹落ちしていると、尊敬の念を抱かずにおれませんでした。
さらに、社長は従業員の満足を高めることにも、非常に腐心していました。業種の特性上、従業員の定着率が低く、8年前の開業以来、常に人の問題に悩まされてきたそうです。社長は仕事にやりがいと誇りを持ってもらうよう、多面評価やサンクスカードを取り入れたり、宴会コンシェルジュというような肩書をつけたりとか、いろいろ工夫されていました。
ところで、皆さんはサービスプロフィットチェーンのフレームワークを覚えていますか?1次試験に出題されましたよね。サービスプロフィットチェーンとは、従業員の満足を高めることが顧客満足と顧客ロイヤリティに繋がり、それが業績へと反映され循環していくという考え方でしたね。
社長は、このフレームワークをまったく知らないのでしょうが、意図せずしてサービスプロフィットチェーンを実践していました。若くして独立し、成果を上げてきた社長は、自然とこういう考え方ができるのかと、感心するばかりです。
正直、私の意識のなかで、サービスプロフィットチェーンは忘却の彼方にありました。しかし、社長の話を聞くことで記憶の淵から蘇ってきました。そして、サービスプロフィットチェーンの考えは机上の空論ではなく、現実に立脚したフレームワークであることを納得しました。本質はシンプルです。
どこに行っても教えてもらうことばかりです。