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埼玉化

2020-02-28 12:00:00 | 19期生のブログリレー

こんにちは。稼プロ!19期の森です。

先日テレビ初放映していたのでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、

録画していた「翔んで埼玉」を観ました。ちなみに私は埼玉在住歴20年(今は都内)、職場は埼玉県内です。

正直この手の映画にお金払って観に行く気は無かったので今になりました。

映画は観る前の想像どおり、埼玉県民の自虐ネタ、ディスりネタ、あるあるネタのオンパレードで、県民なら面白いと思いますけど、それ以外の人はどうだろう?ライバルとして出てくる千葉県の方なら多少笑いどころあるかな。(つまり私はそこそこ面白かったわけです。)

映画の中で「日本埼玉化計画」という野望が出てきます。なんか聞き覚えがあると思ったら、数年前に読んだ「埼玉化する日本」(中沢明子:著)でした。

映画の「埼玉化」は、「大型ショッピングモール」や「ファミマ」、「安楽亭」、「しまむら」、そして「ガリガリ君」といった埼玉を象徴するイメージのものが全国へ広まっていくシーンで表現されています。

イオンモールがどこにでもあるように、日本全国同じような均質化(無個性化)した風景のことを評論家の三浦展さんは「ファスト風土」と名付けています。

映画の方でもそうした「ファスト風土化」を揶揄しているかどうかはわかりませんが、観る人によってはそう感じるかなという程度です。

埼玉の「何もない」イメージと、そんな均質化(無個性化)というイメージが重なって、この本の「埼玉化」という言葉が生み出されたのか、と思われますが、それだけではない、と著者は言っています。

著者の中沢氏は、元々都民ですが、わざわざ実験的に埼玉に移住し、消費に関する考察をしている、というような設定です(実際にそうなのですが)。

きっかけは、都心で最先端の消費(「高感度消費」と言うそうです)を日常にしていた著者が、たまたま埼玉の与野のイオンモールに行くことがあり、そこでの体験があまりに楽しかったため、頻繁に埼玉県内の巨大ショッピングモールへ通うようになっていきます。やがて県民と同じように、モールが日常の中にあるような環境に身をおくことで、消費生活の質がどのようになるのか(豊かになるのかそうではないのか)を実験してみたくなり、ついには移住することになります。その回答が「埼玉ってちょうどいい」ということです。

普段は地元(浦和区)で、パルコも伊勢丹もあるし、街を歩けばセンスの良いお店もそれなりにある。少し車に乗ればモールで楽しむこともできる。そしてそのような消費(マス消費)だけでは満足できない人には、電車でちょっと足を伸ばせば表参道や青山で最先端の高感度消費もできる。それが「ちょうどいい」ということだそうです。

全国を見渡せば、埼玉のようなポテンシャルを持った(特に都市として魅力はないけど、生活するにはとても便利な)都市はたくさんあると言います。さらに埼玉における東京のような、普段のマス消費とは違う高感度消費ができる場所にアクセスできること、それを地方の中心市街地や商店街に作ることができれば、地方にも豊かな消費文化ができるのではないか、そういう思いも「埼玉化」には込められているということのようです。

概念的でわかりにくいのですが、逆に言えば商店街や市街地が、郊外のモールと同じようなものを並べて売っていては衰退してゆくしかないというふうにも理解できます。そこにしかない高感度消費ができる場所を作っていく、それが市街地の再興や商店街支援に必要なのだ、という考えなら十分頷けるなと思いました。

コメント (2)
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