こんにちは、20期生の岡田と申します。現在は企業内診断士として活動の方向性を模索中です。縁あって2年ぶりにブログリレーに参加することになりました。皆様の参考になるような書き込みを目指します。よろしくお願いいたします。
今回の話題は、最近購入した書籍で説明されていた「エフェクチュエーション」についてです。書籍を読むまではあまり馴染みのない言葉でしたが、起業に関する学術的研究ではよく知られている概念とのことでした。ちなみにこの書籍とは、吉田孟史監訳『エフェクチュアル・アントレプレナーシップ』ナカニシヤ出版、です。
この「エフェクチュエーション」という概念は、インドのサラスバシー教授が強く関与しています。「機会創造アプローチ」とも言われますが、簡単に言うと「とりあえずやれることからやってみて、その結果から生じるネットワークや偶然の産物をうまく活用して成長していく」というものであると私は理解しました。
本書では、ベテラン起業家に共通するロジックがあると書かれており、それは以下に示す4つの中核原理、それに加えて5番目の包括的な見方であるとしています。これが「エフェクチュアル」な起業家の気質のようです。
1.保有する手段で「こと」を起こす
今の自分が持っているものをもとに行動を開始する。完璧な機会を待ったりせず、自分自身、自分の知識、自分の知人をもとにまずは行動を始める。
2.アフォーダブルロス(許容可能損失)を定める
プラスを予測して、それが魅力的かどうかよりも、マイナスが許容可能かどうかに基づいて機会を評価する。つまり損失リスクに沿って行動計画の優劣を決める。
3.偶然の事態をうまく使う
既存の目標にとらわれずに柔軟な姿勢を持ち、不確実な状況から生じる驚きを受け入れる。目標を不変のものとせず、行動により問題が生じたときに、別の手段を探すのではなく、新たな目標を設定する。
4.パートナーシップを作る
未来を一緒になって創り出そうと実際に進んで関わってくれる人や組織との間にパートナーシップを作る。ここでいう未来とは製品であったり、企業であったり、市場であったりする。競争の分析や戦略的計画をあまり気にせず、パートナーシップの組み合わせが独自性や競争優位性の基盤となる。
5.機会を生み出す
自分がコントロールを及ぼせる範囲の物事および未来を、ともに創造しようと望む人たちに働きかけて未来を創り出す。これによって、「未来の予測」、「完璧なタイミングでの決定」、「最適な機会の発見」、などを気にかけなくてよくなる。
市場分析や事業計画を中心とした起業の考え方とは全く違う見方ですが、サラスバシー教授の手法でベテラン起業者の経験を抽出するとこのような概念になるそうです。
診断士として独立を考える時や、専門家として創業支援をする際に参考になりそうな書籍でした。本書ではエフェクチュアルな起業の具体例がたくさん載っています。興味がある方はお手に取ってみてはいかがでしょうか。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。