こんにちは、稼プロ!23期生の曽我剛です。今回は企画を実現する力について書きます。
私はサッカー好きで、地元のJリーグチームの川崎フロンターレのファンです。フロンターレは観戦者調査で「地域に大きな貢献をしている」クラブとして、10年連続で第1位という評価を得ています。以前から地元の商店街や小中学校をフロンターレの選手が訪問したりと地域貢献に力を入れていました。フロンターレがこのような評価を得ているのは、天野春果さんという名物社員の存在が大きいです。天野さんは1997年にフロンターレに入社してから、様々な斬新な地域密着イベントを仕掛けてきました。2023年シーズンをもってフロンターレを退社され、新たなチャレンジをされるとのことです。
フロンターレの試合があるときは、ホームスタジアムの等々力競技場の周りにキッチンカーや様々なイベントのブースが出て、サッカー好きはもちろんですが、サッカー好きでない人でも家族連れで楽しめるイベントが多く催されています。例えば昨年9月の試合では「抱きしめタイ!」というタイトルでタイ関連のイベントが多数行われました。ムエタイのパフォーマンスを見ることができたり、タイの屋台村やタイ古式マッサージのブースが出たりしました。フロンターレのイベントは、ダジャレも含めてひとひねりしたユーモアのあるイベントが多いです。
天野さんの著書「スタジアムの宙にしあわせの歌が響く街」には、2016年に行ったJAXAとの合同イベント「宇宙強大2DAYS」について記載され、その実現までの道のりが波乱万丈で興味深いです。このイベントは等々力競技場から小学生と選手が、ISS(国際宇宙ステーション)に滞在している大西卓哉宇宙飛行士と生交信を行う壮大な企画でした。天野さんは「宇宙と等々力競技場をつなげたい」という夢を描き、足掛け5年かけて実現しました。まずはJAXAとのコネ探しに困っていると、知り合いの小学校の校長先生を訪問したときに、偶然その学校で宇宙飛行士の講演会が開催されていました。そこで出会ったJAXAの職員にお願いし、後日打合せを行いました。しかしJAXAの広報部にしっかりとした企画書で提案する必要があるが広報部に紹介することはできないと言われ、壁にぶつかりました。その後天野さんは周囲に発信していくことが大事だと感じ、いろいろな場でJAXAの広報部に繋がりたいと発信し続けました。あるトークショーでも100人くらいを前に発信すると、聴衆の1人が「広報部とつながるJAXAの職員を紹介できる」とのことで、後日JAXA広報部と会うことができました。広報部と会うと「ISSとの交信は300万円必要」「1つのプロスポーツクラブとISSが交信した事例がない」など新たな難題が出てきました。前者は川崎市を巻き込むことでお金の補助を得ることができました。後者は宇宙への関心を子供たちに幅広く持たせたいというJAXAが抱えている課題を聞き出し、川崎市の小学校や教育委員会とのつながりを活用して、フロンターレが宇宙の啓蒙活動に一役買って、JAXA広報部の信頼を高めてクリアしました。その後も難題が降ってきますが、興味がある方は著書を読んでください。
天野さんはインタビュー記事で、企画するにあたって下記のことを心掛けていると話されています。
・人脈とネットワークは重要:自分が実行できない場合は、実行できる能力のある人とつながることが大事。つながったキーパーソンの人については徹底的に調べ、その人が求めていることは何なのかを必ずリサーチし、絶対にノーアイデアでは会いに行かないように心がけている。
・失敗という言葉を使わない:単にそのやり方がうまくいかなかっただけ。むしろ選択肢からそのアプローチの仕方を消去でき、三択だったものが二択になり、実は正解に近づいている。1回目でうまくいった企画は「この企画、本当に面白いか?」と逆に心配になる。
天野さんのお話は、ある企画で宇宙について調べている自分にとっては、腹落ちする内容で大変参考になりました。最後に私も天野さんに倣って発信させて下さい。今、宇宙関連について調べていて、関係者に繋がりたいと思っています。もし稼プロ!関係者でJAXAや宇宙関連の企業とつながりがある方がいましたら、是非コメント下さい。