皆さまこんにちは、稼プロ!23期生の佐野紳也です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
京セラは、1959年京都にてファイン・セラミックの専門メーカー「京都セラミック株式会社」として創業しました。創業当時、ブラウン管テレビに欠かせない絶縁部品(U字ケルシマ)の国産化に苦難の末、成功し、月産20万本の生産を実現したそうです。
京セラは、1966年に米国IBMからコンピュータに使われるIC用アルミナ基板の大量受注に成功。その後、半導体用セラミックパッケージ事業を確立しました。さらに1970年代から人工関節の研究開発を進め、2011年には、長寿命型人工股関節技術の実用化に成功したそうです。
京セラは、セラミック素材を応用し、絶縁部品から、半導体分野、医療分野と事業領域を拡大してきたわけですが、私は、常々、京セラは、セラミックの応用分野をどのように開拓してきたのだろうか、知りたいと思っていました。
最近、稲盛和夫著・盛和塾事務局編「稲盛和夫の実践経営塾」(PHP文庫、2002年11月刊)に回答が書かれていることを発見しました。
この本の第5章五に「新商品開発の着眼点」に、「新製品を開発したが、どうアプローチしていけば売れるか突破口が見出せない。技術屋は関心を示すが、保守的な反応で、素材置換に至らない。素材の応用分野と市場拡大の要諦を教えてください」という問いに対し、稲盛氏は、次のように答えていました。
- 開発された製品の特性を、社内の研究員、大学の先生などに徹底的に調べてもらい、製品の物性の長所、短所をよく知る。
- 産業界のあらゆる技術が分かっている知識人(工業製品から民需品、家庭用品に至るまで、技術的に製品構造を理解している人)に、製品の長所を踏まえて、用途に関する技術的アドバイスを仰ぐ。どの産業のどの分野で応用可能かを教えてもらう。
- 次に、新製品を、興味を持ちそうな会社に持っていく。技術屋は保守的でなかなか興味を示さない。ただ、一人位は興味を持つ人はいるので、その人に積極的にアプローチする。つまり、新製品に惚れ込み、情熱を傾ける技術屋をみつけ、保守的な決定権者を説得してもらう。
とのことでした。
これは素材の話ではありますが、他の製品やサービスにも適用可能と思われました。新製品の用途開発に困っている中小企業があれば、このアプローチで提案してみたいと思いました。