堀江でございます。
3年前、診断士の勉強を始めた時から、ハーバード・ビジネス・レビュー誌("HBR")を定期購読するようにしました。私は経営学の高等教育を受けていませんし、経営学に詳しいアカデミックな友人も殆どいません。HBRを通じて、現在何が流行っているか、それがどう評価されているかを少しでも理解するようにしています。
そのHBRが2年前、"HBR'S 10 MUST READS"というシリーズを刊行しました。HBR誌が過去掲載した論文・記事の中から、「必読10論文」を一冊のペーパーバックにしたものです。
ではどんな「10本」が選ばれているのでしょうか。最も基本とされる"The Essentials"に選ばれたのは次の10本。
1Meeting the Challenge of Disruptive Change クレイトン・クリステンセン
2Competing on Analytics トーマス・ダベンポート
3Managing Oneself ピーター・ドラッカー
4What Makes a Leader ダニエル・ゴールドマン
5Putting the Balanced Scorecard to Work カプラン、ノートン
6Innovation ロザベス・カンター
7Leading Change ジョン・コッター
8Marketing Myopia セオドール・レビット
9What is Strategy? マイケル・ポーター
10The Core Competence of the Corporation プラハラッド、ハメル
1はイノベーション、2は分析力、3はドラッカー経営論、4はEQ、5はBSC、6もイノベーション、7は企業変革、8はマーケティング、9は競争戦略、10はコア・コンピタンスとなります。
日本でも皆が注目している分野もあれば、取り上げられていない分野もあります。例えば2「分析力を武器とする企業」は、2年前にはあまり話題になっていなかったと思います。
この「必読論文集」には、分野ごと分冊があります。各巻で10論文を抜き出しています。
1Leadership
2Strategy
3Change
4Managing People
5Managing Yourself
6Making Smart Decisions
7Strategic Marketing
8Innovation
9Collaboration
10Teams
11Communication
経営=マネジメントについて重要な論文を選ぶと、所謂「戦略」はそのうち1/11に過ぎないということです。Change=イノベーション関係、意思決定のほかは、殆どが人に関する分野です。
社会に出て、知識不足を痛感し、MBA向けの教科書を乱読した時期がありました。それは既に約20年前。その頃に比べると、動機付け、組織系の重要論文が増えています。経営学というと、ポーターやらなんやらがまず頭に浮かぶ私は、確実に旧世代なのでしょう。