One Foot In The Grave / Beck (1994)
童顔と、その童顔に似合わない骨太の音楽探求姿勢で印象深いベック(Beck)。御多分に漏れず90年代半ばのオルタナティヴ隆盛の時代に「Mellow Gold」(1994)で初めて知り、「Odelay」(1996)の完成度の高さに参ってしまった。ただその頃はビースティー・ボーイズ(Beastie Boys)などと並んで、生音の使い方やセンスの良さにばかり注目していたので、彼の音楽的背景まで突っ込んだ聴き方はしていなかった。彼はその後もコンスタントにレベルの高いアルバムを発表し、浮き沈みの激しいショービズでいまだに一線級で活躍しているのはさすが。自分はそれ以降全然聴かなくなってしまっていたので、音楽性に変化があったかは知らないのだが、中古屋でちょうど「Mellow Gold」と同じ時期にインディペンデント・レーベルから発売されていたアルバムがあったので購入してみた。
聴いてみてビックリ。こちらはどっぷりルーツ寄りの楽曲で、名曲「Loser」と同時期の録音とは思えないくらいフォークやカントリー・ブルース・スタイルの曲がクラシックなスタイルで演奏されている。一緒にやっている連中がどんな人物かの知識がないが、明らかに売れる路線ではない音楽。(当時)最新の音楽との融合から弾かれた曲をそのまま封じ込めたという感じだろうか。でも彼の当時の音楽も、他の売れ線とはちょっと違ってルーツが見え隠れしていたから、表現方法が違うということなんだろう。レッドベリー(Leadbelly)やロバート・ジョンソン(Robert Johnson)達を容易に思い起させるシンプルな演奏。これもなかなかいい。もっと早く聴いてなきゃダメだったな。
中古店にて購入(¥176)
CD (1994/6/14)
Disc : 1
Format: Import
Label : K. Records