「きしめん」にはこんなものもあるんだ、と食べて歩くようになった幅広きしめん。手打ちきしめんの麺は店により様々だが、その中でも特に最近は一部で幅の広い店が注目されるようになった。全体的に見ればきしめん自体は衰退気味と言って差し支えないと思うが、こうやって注目され、少しでも店を訪れる人が多くなることを願ってやまない。桜山のこの店「芳乃家」もそんな幅広きしめんを出すうちの1軒。創業は昭和30年(1955)とのこと。環状線沿いに建つ店の風情は昔ながらの麺類食堂。東海地方の麺類食堂ではどんな小さな店でも「手打ち」は全然珍しくないが、これひょっとして、もっと全国に誇ってもいいかも。暖簾をくぐって中に入り、土間のテーブル席に腰を下ろす。色々な品書きがあり心が揺れるが、初志貫徹で「きしめん」を注文。奥の厨房で調理が始まった。
店に流れるテレビをぼんやり見ながら待っているときしめんが運ばれた。素晴らしいつゆの香り。色濃く、出汁強く、旨い。この地方は出汁にムロアジやサバ節を使う事が多い。そして肝心の麺。笑ってしまうぐらい幅が広い。手繰るというより掴み上げるといった感じ。ものすごいインパクト。もちろんずるずるっと啜り上げることは出来ないから、口に運びムニムニと咀嚼することになる。薄っぺらなつゆだとこの時点でバランスが悪くなると思うが、つゆの出汁感が強いので問題ないどころか、もちっとした食感につゆの旨さが乗り、楽しくて止められない。上にのった蒲鉾、揚げ、ほうれん草、花かつおをアクセントにしながら、麺が無くなっていくのを惜しみつつ、つゆも飲み干した。旨かった。この麺で煮込みやカレー、ころ(冷やし)を食べたらまた面白いんだろうなァ。”冷やし”だとどんな麺になるんだろう…。もう行きたくなってきた。(勘定は¥500)
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芳の家
愛知県名古屋市昭和区桜山町2-38
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