ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

丸市 @岐阜県岐阜市 (2) (※閉店)

2016年07月21日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

”発見”なんていうと永年営業を続けてきた店に対して失礼だが、少し前まで店の存在を全く知らなかった岐阜市花沢町の「丸市」。前回は素敵なオムライスをいただいて気分が上がりまくったが、次が楽しみで仕方がなかった。店は日曜日が休みなので、平日仕事が終わった後に何とか時間を作って再訪。雨模様の空の下、店に到着。店の中の表示を見ると9時から20時と書いてあるので中休みは無いと思うが、人通りも少ない住宅街の中で、よく頑張って店を開けていらっしゃる(むしろ最近の店は休憩時間を取り過ぎだと思うゾ)。しかもこちらは朝から営業しているのがすごい。カウンターに座り、オムライスと並んでこちらも洋食の代表格「ハヤシライス」を注文した。前回と同様に老夫婦の静かな調理が始まる。

今回はゆっくりとカウンター上のプラスチック札に書かれたメニューと、壁に貼られた紙のメニューを眺める。麺類食堂らしく和・洋・中と揃っていて、東海地方の古い食堂では定番の「志の田丼」もしっかりある。そして岐阜市のごくごく一部で話のタネになっている「天ぷら入中華そば」(=「天ぷら中華」:中華そばに海老天がのったもの)もしっかりと載っている。

しばらくして紙ナプキンを巻いたスプーンと共にハヤシライスが登場。つけ合わせは福神漬。デミソースの色付きは淡い。創業が古い昔ながらの洋食屋ではメリケン粉から手造りする加減か、カレーもハヤシも最近のと違って淡い色の場合があり、期待が高まる。熱々をひと口。口当たりはマイルド、でも具材の旨味はしっかりと溶け込んでいて、絶品。旨い。中には玉ねぎはもちろん、豚の脂身も見える。ちょっとした酸味はトマトからだろうか。丁寧な仕事ぶり。最近の味が濃く分かり易い洋食とはちょっと違うが、この滋味溢れる洋食がこんな小さな食堂で、この値段でいただけるなんて…。やっぱりココ、素晴らしい。(勘定は¥480)

※とても残念なのですが、最近(7月半ば)伺った際に「高齢の為8月31日をもって閉店する」旨の貼り紙がありました…。ショック…。

前回の記事はこちら(1

この後の記事はこちら (3)(4)(5)(6

※平成28年8月末を以って閉店されました

 


 

↓ すぐ近くで目に付いた「中部電力・月岡町変電所」(建物詳細不明)。ふと通りかかっただけだが、なんとなく古さを感じさせる建物。

 

 


 

丸市 (丸市食堂)

岐阜県岐阜市花沢町3-25

 

( 岐阜市 ぎふ 花沢町 まるいち まるいち食堂 洋食 麺類食堂 大衆食堂 ハヤシ 早矢仕 中華そば 天ぷら中華 天中 ラーメン 丼ぶり 近代建築 ) 

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どての品川 @名古屋市瑞穂区・堀田

2016年07月20日 | 名古屋(昭和区・瑞穂区)

旧街道(東海道)に近いからなのかは知らないが、細い路地に家々が並んだ下町っぽさの残る堀田(ほりた)周辺を散策。自分はこの辺りに縁が無く、訪れたのは初めて。近くに大きな会社の工場があったりするので、そういった産業を支えてきた地域なんだろう。ウロウロと住宅の立ち並ぶ路地を歩いてみるが、思ったほど古い建物は多くなく、かつては賑やかな商店街だっただろう通りはあるものの、現在ではもう晩年とも言えそうな公設市場があるくらいで、趣のある建物はあまり見つからない。こういう時は自転車があればもう少し広く探れていいんだけどなァ。

もちろんそれだけを目当てにしてここまでわざわざ来た訳ではなく、お目当ては昭和34年(1959)創業の「どての品川」。名古屋の立ち呑みを語る時には外せない名店だ。いつかは来たいと思っていたが、なかなかチャンスが無く、やっと初めての訪問。開店時間だと思って来た5時にはまだ店は開いておらず、近辺をウロウロと徘徊し、もう一度戻ってきたらすでに10人ほどの行列が出来ていた(おいおい、平日の夕方だゾ)。しまったなァと列の最後尾に並ぶ。何とまだ明るいうちからタクシーで乗りつける人も(確かにあまり便利な場所じゃないんだよな、ココ)。並んでいる人達の立ち話からすると常連と思しき人は、持ち帰りを頼んである近所のお母さん達くらいで、自分のように初訪の人が多い様子。

開店してからも、奥へ行こうかどうしようか戸惑っている人を尻目に、サッとどての煮込まれている軒先の鍋の真ん前に張りつき、すぐさまお酒を注文して立ち位置を決める。まだどうしたらいいのかとウロウロとしている先客を横目に、躊躇せず、鍋の中の串に刺して煮込まれているどて煮を勝手に取って口に放り込んだ。このあたりは数々のこういうタイプの立ち呑み屋での経験値が生きたかな(笑)。升の中に入れたガラスコップに注ぎこぼしてもらった酒の銘柄は「誠鏡」(広島)だった(と思う)。なかなか旨い酒だ。次は揚がったばかりの串カツを目の前のどての鍋にドボンと自分で漬け、皿で受けてすぐさま口に放り込む。旨い旨い。追加はどて串(醤油)とレバー。

店を見回すと奥には座敷もあるようなのだがどうも予約席のよう。こういう店でよく予約なんかするなァと、客と店の人の話を聞くとはなしに聞いていると、何とある客は沖縄(!)、別の客は京都からの旅行者で、わざわざこの店を目指して来たのだそうだ。す、すごい。果たしてその価値があるかどうかはその人によるだろうが、よく考えたら自分も地元から離れて旅行したら似たような事してるか(苦笑)。こちとら1人だし、立ち呑みで長居してもしょうがないので結局一番先にお勘定。滞在時間は約10分。さぁ、駅まで歩くか。(勘定は¥950)

この後の記事はこちら

 


 

↓ 近くにあった公設の「エビス大黒市場」。残るは惣菜屋とハンコ屋のみのようで、店内も暗く…。

 


 

どての品川

愛知県名古屋市瑞穂区下坂町1-23

 

( 瑞穂区 みずほ 堀田 ほりた どてのしながわ どて どて串 どて煮 串カツ 串かつ みそ串カツ 味噌串カツ 立飲み 立ち飲み 立ち呑み 立呑み )

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平成二十八年度 松竹大歌舞伎 「鳴神」「文売り」「三社祭」 @愛知県・扶桑文化会館

2016年07月19日 | 歌舞伎・文楽

歌舞伎「松竹大歌舞伎」(7月16日・愛知県・扶桑文化会館)

今年の松竹大歌舞伎・中央コースの巡業は愛知県丹羽郡扶桑町の「扶桑文化会館」で。こちらは田舎の小さな会館ではあるが、歌舞伎をはじめ、落語や舞台、音楽でも、時に驚くような大物が出演する催し物の招聘に熱心な会館で、今までに何度か利用している。どこにでもある市営、町営の文化会館で何がこうも違うのだろうと思うのだが、やはり館長をはじめとするスタッフが芸事に熱心なのだろう。自分の知っている岐阜県のある文化会館も、館長自身が文化的な催しにとても積極的で、ジャンルを問わず、地方には贅沢過ぎるとも思えるようなラインナップの催しを開催するところがある。そういう会館の近くに住んでいる人は幸せだ。思わぬ近くでスターが見られたりするのだから、下手な都会の大会場よりいい場合だってある。今回もチケットの購入が遅れたので2階席だが、この会場は大きくないのでどこの場所でも十分楽しめる。地方の小さな会場では花道が作られないことも多いが、ここはしっかりと花道が。2階席の客の入りは正直あまり良くない。

今回は公演に先立ち、坂東亀寿と中村萬太郎が、歌舞伎の基本的な仕掛け(音楽、効果音、舞台装置など)を説明するコーナーがある。これ、とてもいい。歌舞伎は話の筋から、舞台装置から、演出から、ほとんどが「分かっている」事が前提。もちろん演じる役者によって「味」は違うが、客の側から勉強しないと分からない事も多い。現代の自分たちの生活の中には、歌舞伎が出自とされる多くの言葉が残っている。そんな豆知識も含めて、噛み砕いて実演しながら説明してくれるので、過去に何回も見ている自分でも改めて勉強になった。

「鳴神」を舞台で見るのは初めて。歌舞伎では最も有名な筋のひとつなので楽しみにしていた。ユーモラスで筋も難しくないので、飲み込み易いし、立役(松緑)の歌舞伎らしさ一杯の見栄もあるので楽しい。なんて誘惑に弱い上人だと呆れつつ(笑)、梅枝演じる美しい絶間姫を見ていると納得させられる(同じ女形でも、これが大ベテランだと説得力が…)。残念だったのは、何度も何度も注意の放送があったにも関わらず、鳴神上人と絶間姫の絡む、台詞の無い肝心な場面でアラームらしき電子音が…。絶句。あまりのタイミングに最初は何かの演出かと思ったが、やはりあの音はあり得ないでしょう。最近何を見に行っても必ず1人はそういう輩が居るな…(はっきり言って年輩の人が多い)。

時蔵の「文売り」は貫禄たっぷりの舞。「三社祭」は面白おかしいだけかと思いきや、「善」と「悪」が乗り移る演出がシュール。歌舞伎って、こういう大胆な演出があるところが本当に面白い。ただ、踊りの演目についてはどちらもあまり予習してこなかったので、少し後悔。もう少し意味が分かった上で踊りを見られたら、感じ方も変わったろう。

<演目>

一、歌舞伎の見方

解説 坂東 亀寿
      中村 萬太郎
 

二、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)

鳴神上人     尾上 松緑
雲の絶間姫  中村 梅枝
黒雲坊       中村 萬太郎
白雲坊       坂東 亀寿


三、文売り(ふみうり)
    三社祭(さんじゃまつり)

〈文売り〉
文売り       中村 時蔵

〈三社祭〉
悪玉         坂東 亀寿
善玉         中村 萬太郎

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豊広 あんどう @岐阜県多治見市

2016年07月18日 | 岐阜県(東濃・老舗)

JR多治見駅の東、中央本線の線路と土岐川に挟まれた和菓子の店「豊広あんどう」。多治見のこの辺りは「安藤」姓が多いね。大きい通りに面している訳ではないので今まで来たことが無かったが、詳しくは分からないものの、創業して80年という歴史のある店だ。店に入るとガラスのショーケースの中に菓子が並んでいる。貼り紙からすると生クリームを使った色々な種類の大福に力を入れているようだったが、バイクだったのと、帰宅時間が不明だったので、「陶の窯」と名付けられた焼き菓子と「よもぎ大福」だけにしておいた。

家に帰ってから包みを開けてみる。「陶の窯」はコーヒー色の皮が砂糖で白く色づけされ、粉が吹いている。ひび割れた感じがまるで美濃焼の陶器のよう(そういうところから名付けされたのかな)。口に含むとニッキの風味が広がる。中は白餡。実は自分、昔いちばん苦手だったのはニッキ(肉桂)味だった。今でも得意ではないが、煎茶や抹茶をいただいたりするようになって、菓子に風味が付いている事があり、だんだん慣れてきたようだ。大人になったなァ(笑)。よもぎ大福はつぶ餡。しっかりめの蓬生の風味があり、安心の美味しさ。自分の好物だから、好みでないよもぎ大福ってないと思うが、やはり生クリームを使った流行りのフルーツ大福とかよりもこういう実直な味が好きだ。(勘定は¥300程)

御菓子司 豊広 あんどう

岐阜県多治見市宮前町2-43

 

( 多治見 たじみ とよひろあんどう 豊広安藤 お菓子司 おんかしつかさ フルーツ大福 とうのかま 蓬生大福 美濃焼 陶器 )

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カレー幸 @名古屋市千種区・池下

2016年07月17日 | 名古屋(千種区・守山区)

念願の店への訪問が叶った。池下駅を北上した所にある「カレー幸(ゆき)」。休業日がはっきりしないし、平日も昼営業だけらしいので、知らずに何度も店の前まで来て振られていた。最寄り駅といっても遠く、一番近いと思われる池下駅から徒歩で強い日差しの中を延々と1キロほど歩いて到着。噂通りのインパクトある外観。ペプシの看板には穴が開き、鉢は倒れ、エアコンの室外機は錆びている。でも入口にはしっかりと「営業中」の札が。思い切ってガラス木戸を開けてみる。これも建てつけが悪く、素直には開かない年季の入りよう。いやァ、楽しいナ(笑)。開店直後にも関わらず、既に先客がおり、自分の後からも皆待ちかねたように続々と客が入ってきた。土間のテーブル席に座り、品書きを眺める。品書きは壁とエアコンに貼られた手書きの2枚があるのみ。どれも今が平成の御代だということをを疑うような信じられないような安値だ。大盛や盛々、はたまたダブル、ダブル大盛なんていうのもあるが、初訪なので、ここは大人しく並サイズのカツカレーを注文した。

給仕はご高齢の女性。厨房内には思ったよりも若い調理人が居る。店内は外観と同じく古色蒼然とはしているが、決して不潔な訳ではない(確かに古いので相応だが、最近テレビの番組を真似てか、古い店を何でもかんでも勝手に「キタ〇〇ュラン」「キタ〇トラン」などと記述してからかう輩がいるのは論外。古いのと汚いのは違う)。給仕の女性は常連客が「大盛」を注文すると「何? 仕事もしとらんのに!(笑)」と戯言を言って和ませていたりする。アクは強いが、給仕も調理人も常連以外の客には普通に愛想がいい。給仕の女性が若い客に向かって”先生”と呼んでいるのは、近所の愛工大名電の教師(たぶん)だからのようだ。学校の近くだからこの値付けはうれしいよね、先生も、学生も。テーブルに水と三角紙ナプキン、それにフォーク、スプーンが用意され、若干皿出しのテーブルを間違えつつも(笑)、カツカレーが運ばれた。

カツカレーには別にサラダも付いてくる。千切りキャベツにハム、トマト、パインにオレンジ。素晴らしい…。白い器に入ったカレーには紅生姜が添えられている。量は普通よりちょっと多めくらい。カツはカレーに埋もれて姿が見えない。さっそく口に運ぶと、今の感覚でいうと甘口になるのだろうが単調な訳ではなく、スパイシーさこそ無いものの、複雑な旨味が溶け込んでいて、旨い。とろみがあって、具材は肉を含めてしっかりと煮込まれていて形は無くなっている。値段からもっと単純なカレーかと思っていたのでビックリ。薄利に過ぎないか。カツはやや小さめだけれど、このカレーにはバッチリ合っていて、衣の甘みが旨いのなんの。あっという間に平らげた。これはハヤシライスも食べてみたくなるなァ。「盛々」を頼んだ人の配膳を見ていたら、最初から皿にはのらず、食べて減ってきてから途中で追加のカレーを後がけするようだ。スゴイ。もう既にハヤシが食べたくなっている。平日の昼にまた来られる時間はあるだろうか…。(勘定は¥450!)

 

カレー幸

愛知県名古屋市千種区若水3-5-27

 

( 池下 いけした カレーゆき カレーユキ 幸 ゆき カレー カレーライス ハヤシ ハヤシライス )

 

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The Complete Beat / The English Beat

2016年07月16日 | レゲエ・スカ

 

The Complete Beat / The English Beat (2012)

ザ・スペシャルズ(The Specials)と並んで2トーン・スカ(2 Tone Ska)ムーヴメントの雄だったザ・ビート(The Beat)。アメリカにも同名のバンドが居たとか何とかいう理由で「イングリッシュ・ビート(The English Beat)」とも名乗っていた。彼らの3枚のオリジナル・アルバムはどれも好盤でクオリティが高く、おすすめ。もちろん全てアナログで所有しているが、ここんところ本国イギリスとアメリカで、それぞれアーカイヴ編集が進んでボックス・セットが発売された。どうせなら統一企画にして欲しいもんだが、イギリスでは「Edsel」レーベル、アメリカでは「Shout! Factory」レーベルが担当しているから仕方がない。

この前うっかりベスト盤を買ったばかりというのに、こちらは「Shout! Factory」から発売された米盤5枚組。3枚のオリジナル・アルバムに加えて、別ヴァージョンやPeel Sessionsなどのスタジオ・ライヴ音源2枚を加えた豪華版だ。英版と比較してもヴォリュームで上回っており、文句ない。実は英「Edsel」では、それぞれのオリジナル・アルバムのデラックス・エディションが発売されていて、そちらにはDVDも付属しているので、本当のコンプリートを目指すにはもうひと頑張りしなければいけないが、そうも付きあっていられない(といいつつ既にひとつあるのだが…)。

往年の名曲を快活に2トーン・スカ風味でカヴァーした曲の消化具合も良く、センスの良さが感じられるし、オリジナル曲の出来もいい。 音だけ聴いているとデイヴ・ウェイクリング(Dave Wakeling)とランキン・ロジャー(Ranking Roger)の声はどちらがどちらか分からないくらい似通っている。ロング・ヴァージョンやダブ・ヴァージョンが12インチ・シングルなどで発表された当時のままのものなのか、詳しいクレジットが無いのが痛いが、どれもオリジナル・ヴァージョンに勝るとも劣らない素晴らしい出来だ。解散後、現在に至るまでは、ついたり離れたりの紆余曲折があったが、ごく最近のニュースではデイヴ側は「The English Beat」、ランキン・ロジャー側は「The Beat」と名乗り、袂を分かって別々に活動している様子。まったく、もう…(苦笑)。

オークションにて購入(¥2,430)

  • CD (2012/7/10)
  • Disc : 5
  • Format: Box set, Import
  • Label : Shout Factory
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ニュー大橋 @岐阜県大垣市 (※閉店)

2016年07月15日 | 岐阜県(西濃)

岐阜県大垣市の市役所近くにある喫茶店「ニュー大橋」。ネットでだったと思うが、ハッと目に留まった衝撃のメニュー名「とんかつ玉子包焼」(!)を求めてわざわざバイクを走らせる。周辺の近代建築を巡ったあとに店に到着。すぐ近くには市役所、税務署なんかがあるので昔から官庁職員御用達の喫茶店だったんだろう。東海地方では当り前だが、この地方のクラシックな喫茶店と言えばしっかりと食事が出来る店が大半(他所の地方の事情は知らず)。しかも洋食屋や食堂と同じような定食メニューを出す店が多く、休みの日には家族で喫茶店へというのがよくある光景だった。つまり今でいうファミリーレストランのような役割。最近では個人経営のそういう喫茶店も絶滅の危惧にあるが、この店もしっかりと食事メニューが揃っていて、メニューの先頭は「焼きそば」。それでも注文はもちろん「とんかつ玉子包焼」の一択。バーのようなカウンターもある店内は老夫婦が賄っていて、主人が調理、女将が給仕を担当している。

しばらく待っているととんかつが運ばれた。銀色のステンレス皿に盛られたとんかつは意外にも大きめサイズで、厚みはやや薄め。確かにカットされたとんかつが全面玉子で包まれている。同じ皿に盛られたつけ合わせにはサラダと共に、なぜか蒲鉾のフライが。これに大きめの茶椀に入ったご飯と漬物が付く。とんかつ(といっても外観は玉子焼き)の上からかかったソースは濃い色をしているが、サラッとしたデミソース。一片をつまみ上げて口に入れると…、うん、まさしくとんかつの玉子包み(笑)。カリッと揚げられているとんかつに巻かれた薄焼きの玉子。初めての体験なので食べていながら頭の中は混乱している(笑)。面白いっ。添えられたカラシを付けながらいただくが、玉子や衣が剥がれたり、だんだん湿気ってきたりして、ひとつとして同じ感じでは口に入らない。いかん、いかん、<せっかくカリカリのかつの衣を”あえて”玉子で包む必要性>などを考えては(笑)。ワン・アンド・オンリー。(勘定は¥850)

 

↓ 東海道本線の脇、幹線道路沿いに建つ「三甲テキスタイル株式会社(旧・後藤毛織分工場)」(事務所:大正2年・1913・建造、倉庫:大正3年・1914・建造)。

 

↓ 木造の事務所棟と煉瓦造りの倉庫が並ぶ素晴らしい敷地。「後藤毛織分工場 → 鐘紡紡績大垣工場 → 現・三甲テキスタイル(株)」という歴史があるのだそうだ。

 

↓ 「イビデン(株)西大垣変電所 エネルギー統括部」(大正10年・1921・建造)。周囲が工事中で近寄る事が出来ず、この写真しか撮れなかった。

↓ 養老鉄道・養老線の「西大垣駅」(大正2年・1913・建造)。上記「イビデン(株)」と密接な関係にもあった駅。養老鉄道は路線に古い木造駅舎を多く残していて、訪れて楽しい。

食事・コーヒー ニュー大橋

岐阜県大垣市丸の内2丁目77

 

( 大垣 おおがき ニューおおはし 喫茶 珈琲 とんかつ玉子包み焼 とんかつたまご包焼 包み焼き 軽食 洋食 定食 近代建築 養老鉄道 レンガ倉庫 廃業 ) 

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井善 @名古屋市熱田区・伝馬町

2016年07月14日 | 名古屋(熱田区・中川区 老舗)

熱田神宮の南、伝馬町の駅からすぐの天ぷら割烹「井善」。創業は明治6年(1873)とのこと。あつたさんの近くとあって木々が多く、周囲は落ち着いた雰囲気。昼営業時間ももう終わろうかという時間にお店を訪ねた。路肩と店の前に控えめな看板が出ているだけで奥ゆかしい。遅い時間なのですでに客も捌け、店に入ってすぐのカウンター席に先客は無し。腰かけて品書きを眺める。割烹と名乗るだけあって、夜は一品料理も良さそうだ。昼食向けには色々な丼ぶりがあったが、その中から「かき揚げ丼」を選んだ。主人は粛々と、そして手際良く天ぷらを揚げる準備を始めている。天ぷらを揚げる鍋は厨房の中のようで残念ながらその様子は見えない。

しばらくして丼ぶりが運ばれた。天丼だけでなく、小鉢(筍と椎茸の煮物)が付いているのがうれしい。かき揚げは海老と野菜。野菜はかぼちゃや茄子が入っていて、細かく刻まれている。サクサクに揚げられていて、口に入れるとかぼちゃ由来の甘みが感じられる。海老の調子はとても良く、プリッとした歯応えが感じられて旨い。つゆはとても上品であっさりしている。三角に切られた柚子皮の香りがアクセントになっていて、サクサクだった衣もだんだんとふやけてご飯と一体となっていく。それも旨い。香の物と浅蜊の味噌汁(こういう時に貝の味噌汁だとうれしいナ)もいただいて、ごちそうさま。夜に一品料理で酒を呑んだ後にひとつづつ揚げてもらいたいなァ。(勘定は¥1,300)

↓ 外観とお店のマッチ(写真下右)

 

天ぷら割烹 井善

愛知県名古屋市熱田区神宮2-10-11

 

( 熱田 あつた 熱田神宮 あつた神宮 神宮前 伝馬町 てんまちょう いぜん 天ぷら 天婦羅 天麩羅 天丼 かき揚げ丼 かき揚げ天丼 かきあげ丼 )

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Original Album Series / Little Feat

2016年07月13日 | クラシック・ロック

Original Album Series / Little Feat (2010)

リトル・フィート(Little Feat)の初期5枚のオリジナル・アルバムを紙ジャケで簡易ボックスに入れた廉価盤「Original Album Series」。リトル・フィートのアルバムと言えばネオン・パークス(Neon Parks)による一連のシュールなイラストのアルバム・ジャケットで有名。自分もこれらアルバム・ジャケットはよく目にしていたが、音楽自体はほとんど聴いた事がなかった。もちろんグループについての情報もあまり知らず、ザッパ一派に属していたという出自も最近になり知ったくらい(バンド名もずっと「Little Feet<小さな足>」だと思っていた・恥)。ただ小学生の頃に聴いていたサザンオールスターズ(「いとしのフィート」という曲がある)や、細野晴臣をはじめとするYMO関連の音楽から、彼らの影響を伺い知ることが出来ていたので(彼らははっぴいえんどや矢野顕子のアルバムにも参加している)、いずれは、と思っていて齢を重ねてしまっていた。

ファースト・アルバムから聴き始める。ニュー・オリンズに代表されるような米国南部特有のリズムを感じさせ、すぐにミーターズ(The Meters)、ドクター・ジョン(Dr. John)、レオン・ラッセル(Leon Russell)などが想起される雰囲気。ヴォーカルのローウェル・ジョージ(Lowell George)の声質も、けだるい歌い方も、アクこそ強くないがドクター・ジョンとよく似ている。アルバム・ジャケットからこういうタイプの音楽は連想されなかったので、喰わず嫌いだったがもっと早く手をつけるべきだったなァと後悔。ブルース・カヴァーでは迫力こそ及ばないものの、ハウリン・ウルフ(Howlin' Wolf)をしっかり真似ていて微笑ましい。スライド・ギターが効果的。

プロデュースはラス・タイトルマン(Russ Titelman)、テッド・テンプルマン(Ted Templeman)らが手掛けていて、3枚目以降はローウェル・ジョージ自身。聴き続けていくとだんだんと洗練されていくのが分かるが、曲の展開も複雑で、これっというような分かりやすい曲が少ないので、あくまでもアルバム全体で味わうという感じ。どのアルバムも収録時間こそ短いが、濃密でいて気だるく、素晴らしい。噛めば噛むほど味が出てくる。ただ後追いの宿命で、アルバム毎のイメージが重なってしまうので、聴いていてどのアルバムと特定出来ないくらいなのが悲しい。

オークションにて購入(¥1,380)

  • CD (2010/2/27)
  • Disc : 5
  • Format: Box set, CD, Import
  • Label : Warner Music
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松河屋老舗 @名古屋市中区・栄 (※閉店)

2016年07月12日 | 名古屋(中区 老舗)

文久2年(1862)創業という歴史ある名古屋の和菓子屋「松河屋老舗」。清須の国道沿いの大店しか知らなかったが、こちらは女子大小路にある本店。本店ってどこにあるのかなと探して訪問してみた。HPで調べてみたら、こちらは主に東海地方のスーパーに数多く卸しているようで、その店舗数たるや数えきれないほど。いわゆる独立した店舗ではなく、銘菓コーナーみたいな扱いの売り場なんだろうけど。そんな大規模な店にしては本店は慎ましく、地味(といってもビルだけれど)。店に入ってガラスショーケースに入った菓子を眺める。この後に用事があって持ち歩かなければいけなかったので生菓子は避けて「天守閣」と名付けられた袋入りの菓子を購入した。

淡い色をした皮は”葵の紋”が型どられていて、中には黄身餡が詰まっている。この地方に住んでいる人なら「なごやん」をもっとミルクで優しくした感じと言えば何となく想像がつくだろうか。口当たり良く、しっかりと甘めの餡。もちろん間違いのあろうはずもなく旨い。コーヒーでもいける。が、これをたぶん大きな工場でたくさん作っているんだろうなァ、と思うと途端に興味がなくなってしまうのはどうしてだろう…。(勘定は¥108/個)

松河屋老舗 本店

愛知県名古屋市中区栄4-9-27

※令和6年8月 自己破産申請を行い廃業しました

 

( 栄 さかえ 女子大小路 松河屋老舗本店 まつかわや まつかわやろうほ 天守閣 てんしゅかく 和菓子 廃業 倒産 閉店 )

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