「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

<抗菌薬・抗生物質・抗生剤>乳幼児は服用注意を ぜんそく・アトピー性皮膚炎・鼻炎などアレルギー発症率1.4~1.72倍 国立成育医療研究センター調査

2018-05-04 12:27:48 | 小児医療

 小児科外来の感染症診療で最も気をつけねばならないことのひとつは、抗生剤・抗菌薬の適正使用です。

 不適正な使用では、アレルギー発症への悪い影響が出ます。

 安易な抗生剤・抗菌薬の投与は避けられねばならず、抗生剤・抗菌薬が出される場合、何のために出されるのか、よく確かめるようにしてください。

 以下、研究結果報告の記事です。

*******************
https://mainichi.jp/articles/20180502/ddm/001/040/153000c

<抗菌薬>乳幼児は服用注意を アレルギー発症率1.7倍


5/2(水) 6:45配信

毎日新聞


 ペニシリンなどの抗菌薬を2歳までに服用した乳幼児は、ぜんそくやアトピー性皮膚炎など免疫異常によって起こるアレルギー疾患の発症リスクが、服用経験のない乳幼児と比べ1.4~1.72倍になるとの調査結果を、国立成育医療研究センターのチームがまとめた。抗菌薬は疾患によって必要なケースはあるが、効果の薄いウイルス性の風邪にも使われ、社会問題化している。チームは「不適切に使うと、子どもの健康を損なう恐れがある」と指摘する。

 調査は、2004年3月~06年8月に生まれた日本人の乳幼児を対象に実施。2歳までに抗菌薬を服用した436人と、服用経験のない466人を5歳時点で比べ、アレルギーのぜんそくや鼻炎、アトピー性皮膚炎の発症に差があるかを調べた。

 抗菌薬を服用した乳幼児は、服用経験のない乳幼児より、ぜんそくで1.72倍▽鼻炎で1.65倍▽アトピー性皮膚炎で1.4倍--リスクが高かった。中でも、多種類の細菌に効くタイプの第3世代セファロスポリン薬は、効く細菌の種類が少ないペニシリンと比べ、ぜんそくで1.63倍、鼻炎で3.14倍高かった。

 詳細は不明だが、抗菌薬によって免疫の制御に重要な腸内細菌がいったん死滅するため、チームは「悪化した腸内環境がアレルギー疾患の発症につながっている可能性がある」とみている。

 抗菌薬を巡っては、多用することで薬の効かない耐性菌が出現しやすくなるほか、湿疹や食物アレルギーのリスクが高まるとする海外の研究報告もある。国は抗菌薬の適正使用を推進する行動計画を16年4月に発表し、20年までに使用量を13年比で33%減らす目標を掲げている。

 調査した同センターの山本貴和子医師(アレルギー科)は「5歳以降でもアレルギーの症状が続くかは今後の検討課題だが、抗菌薬の不適切な使用はやめるべきだ」と話している。

 研究成果は、米国のアレルギー・ぜんそく・免疫学会誌で発表した。【渡辺諒】

 ◇正しく選択し使用を

 小児の感染症に詳しい国立成育医療研究センター感染症科の宮入烈医長の話 細菌によって重症化した肺炎や敗血症、細菌性髄膜炎などでは必要不可欠なケースもあるため、医師らが正しく抗菌薬を選択して使用することが重要だ。

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1歳半~3歳ごろ、自我が芽生える時期。イヤイヤ多くなりたいへんだけど、好奇心の育ちの時期でもあります。

2018-05-04 11:00:56 | 子育て・子育ち

 1歳半~3歳ごろ、自我が芽生える時期。

 そして、好奇心が育つ時期。

 しかし、実際は、なかなかたいへんです。


**********朝日新聞20180421***********************
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13460726.html 

「イヤイヤ期」、別の呼び方は? 「成長の姿、反抗と考えずに」

2018年4月21日05時00分

 2歳前後の子どもが、何をするのにも嫌がる「イヤイヤ期」――。大人が手を焼く行動も、子どもにとっては自我が芽生え、それを表現できる大切な成長過程です。本紙の「声」欄(東京本社版など)に寄せられた「前向きに捉えられる新しい呼び方を考えませんか?」との投稿を機に考えます。

     ◇

 公園から帰ろうと言うと「イヤ!」。ご飯を食べようと誘っても「イヤ!」。自分の要求が通らないと大泣きしたり、道の真ん中で寝転がったり。親はやめさせようとして強引に従わせたり、怒ったり……。永瀬さんはこんな話を聞くたび、「子どもの立派な成長なのに」と胸を痛めていた。

 そんなとき、朝日新聞の「認知症とともに 徘徊と呼ばないで」(3月25日付朝刊)の記事に目がとまった。「徘徊」は、認知症の当事者にとっては「目的を持った外出」という指摘だ。

 「記事を見たときにはっとしました。大人が考え方を変えれば、悩みが軽くなることもあると思ったんです」


 ■欲求や意思を自覚

 この時期の子どもが頻繁に「イヤ」と言うのはなぜか。

 遠藤利彦・東大教授(発達心理学)は「自分探し」と指摘する。1歳半~2歳は、歩行や手づかみが可能になり、世界が一気に広がる。だが、初体験が多すぎて「わからない」と「本当にイヤ」が区別できないため、何でも反応が「イヤ」になりがちだという。でも、感情を大人にぶつけるやりとりを通じ、自分の欲求や意思を自覚し、周囲に伝えられるようになる

 これは、他人の願望に合わせるのではなく、自分の内側の欲求に従う「本当の自分」を発達させる過程なのだという。ただ、イヤイヤ期がない子どももいる。年齢も個人差があるという。


 ■思い、言葉にさせて

 親はこの時期、どう向き合えばいいのだろう。40年以上の保育士経験を生かし、子育てに関する講演や執筆活動をする井桁容子さんは、「まずは子ども自身に理由を聞くことが大事」と話す。

 例えば、「ご飯を食べるのがイヤ」と言い出したら――。頭ごなしに「食べなさい」と言うと、子どもは親から気持ちを否定されたと受け取り、反発する可能性が大きい。一方、「どうして食べたくないの?」と聞くと「おなかがすいてないよ」など、自分の気持ちや意思を表現できる。「食べる」という結論は同じでも、思いに寄り添ってもらえた満足感が重なれば、「今回は食べてみようかな」という気持ちになることも多い。

 事前に予告することも効果的だ。井桁さんによると、遊びをやめる時間も、あらかじめ「時計の針がここに来るまでね」など具体的かつ短い言葉で伝えるとよいという

 だが、実際に家の外で子どもがかんしゃくを起こしたりすると、こうした対応が難しい時もある。井桁さんは「すぐに『良い子』になってくれる『成果』を求めない。周りの大人も温かく見守って」と呼びかける。

 (中井なつみ、田渕紫織)


 ■「声」欄への投稿(要旨)

 カウンセラー 永瀬春美(千葉県 66)

 認知症当事者の思いに添って「徘徊(はいかい)」という言葉を見直す動きがあることを知り、子どもの「イヤイヤ期」も同じ構図だと気づきました。

 2歳前後に始まるイヤイヤは、「自分で決めて自分でしたい」という素晴らしい成長の姿なのに、大人には「反抗」に見え、「言うことを聞くようにしつけなければならない」という誤解があるように思います。

 「イヤイヤ期」という大人サイドの呼び方、変えませんか。

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はしか患者、急増中 鎮静のカギは「ワクチン1回世代」

2018-05-04 10:31:07 | 小児医療

 はしか(麻しん)について、うまくまとめられています。

 予防接種がひとつのカギです。


**********朝日新聞20180502****************
https://digital.asahi.com/articles/ASL524S0GL52UEHF00G.html 

はしか患者、急増中 鎮静のカギは「ワクチン1回世代」

服部尚

2018年5月2日16時31分


 沖縄県ではしか(麻疹)に感染した患者が急増し、80人以上に上っている。台湾からの旅行者が感染源となって感染は広がり、他県でも感染例が報告されている。鎮静するのか、広がるのか。カギの一つが、一般に患者が多い20代から40代への対策だ。

はしか、GWで感染拡大の恐れ 専門家「予防接種を」

 国立感染症研究所によると、はしかは、ウイルス感染後、10~12日間の潜伏期を経て、発熱やせきなどの症状が出る。ほかに発疹や鼻水、光がまぶしいなどの結膜炎症状なども現れるという。

 感染経路は、はしかのウイルスが空気中に漂い、吸い込んだ人間が感染する「空気感染」や、せきやくしゃみで飛び散り、近くの人に感染する「飛沫(ひまつ)感染」など様々だ。感染力が「最強」と言われ、インフルエンザの10倍程度とされている

 ウイルスは免疫細胞に感染するため、感染した患者は免疫機能が落ち、約3割が合併症を起こす。肺炎などを合併して死亡することもある。2016年には、途上国の子どもを中心に約9万人が世界で亡くなったとされている

 これだけ強い感染症となると、以前は子どものころにはしかにかかるのは当たり前で、20代になるまでにだいたいの人は感染していた。だが、1978年以降に進められたワクチンの定期接種のおかげで、個人の感染への抵抗力が高まり、集団での免疫が強化され、感染者は激減した。

 こうした取り組みのおかげで、日本は2015年にWHO西太平洋地域麻疹排除認証委員会から、「麻疹排除状態」にあると認定された。昨年もこの排除状態が維持されていると認証されている

 ただ、問題がある。定期接種は2006年以降は2回になったが、以前は1回。2回に比べ、次第に免疫が弱まることがある。現在、20代後半から40歳ぐらいの世代が「1回世代」だ。確実に予防するためには2回の接種が必要だ。一方、50代、60代では患者はかなり少なくなる。

 ワクチンを打った人がはしかにかかることもあるが、その場合、症状は軽く、「修飾麻疹」と呼ばれている。はしかは伝染力が強いので、95%の人が免疫を持たないと流行を完全には止められないという。ただし、麻疹のワクチンは安全性も高く、効果も非常に優れていて、どの流行株に対しても高い効果がある。

 今回の沖縄などでの感染をどう捉えるかについて、国立感染研感染症疫学センターの駒瀬勝啓主任研究官は「患者の早期発見や適切な管理、患者の接触者などへのワクチン接種などが実施されている」としたうえで、「全国的な大流行にはならないと思う」と見ている。

 駒瀬さんによると、ワクチンは2回接種が原則だが、1回でもワクチンを打っていれば、感染リスクは減少するし、もしかかっても軽く済むことが多い。感染すれば流産、早産の恐れがある妊婦は別だが、ワクチン歴が1回でもある人(記録として)はそれほど心配しなくてもいい。ただ、今後のことを考えると、早期に2回目の接種をすべきだという。(服部尚)

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