小児科医として、課題に感じていること。
1、予防接種歴が自治体を越えると追えない、結果、自治体の麻疹・風疹接種率が95%止まりとなっている。現場の印象は、99%にも関わらず。
2、出生時からの発達や治療経過を、病院ーかかりつけ小児科医ー保育園・幼稚園・学校ー発達支援施設ー子ども家庭支援センターなどの間で共有できていない。
3、乳幼児・児童・生徒の健康状況の地区ごとでの調査、調査結果の評価そして共有ができていない。
4、引っ越しにともない、病歴・治療歴の詳細が伝わらない
5、がん、難病の希少性疾患の治験が日本で進まない
6、母子手帳の活用が、乳幼児期で止まっている。
7、妊娠ー出産ー新生児期における産婦人科ー新生児科ー小児科ー関係機関が連携したさらなる支援
8、孤育て、孤食、孤独出産
など。
電子生涯健康手帳PHRにより、それら課題の解決に向けた前進に繋がるように感じています。
そして今、成育基本法ができ、切れ目のない支援に追い風が吹いています。現在策定作業中の成育基本方針に盛り込むべき内容だと考えます。
ただし、気をつけねばならないところは、
●データと個人の名前とがつながらない・紐付けされない仕組み
●データを解釈する場合に相談できるかかりつけ小児科医や養護教諭・学校医・スクールカウンセラーなどへのアクセスの良さ
●個人の状況に応じた平均・理想の提示、それは、決して全体の平均ではない場合がある