「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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民法改正の重要部分のひとつ:民法534条買主にリスク負担が移るのはいつか。独仏日の法比較

2013-03-28 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと
 民法を学ぶ上で、なんかおかしいなと引っかかる部分が、民法534条。

 民法債権法改正でも取り上げられている条文です。


****民法534条*****
(債権者の危険負担)
第五百三十四条  特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2  不特定物に関する契約については、第四百一条第二項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。


 534条1項。

 例えば、不動産売買で、10/1に軽井沢の別荘を売買契約をし、買主に引き渡されるのが11/1とします。10/2にその別荘が火事で山火事に巻き込まれ燃えたとします。(売主原因の出火ではない。)
 まだ、不動産を利用していない買主が、それでも、別荘の代金を売主に支払うという一見不合理な条文です。
 なぜ、そんな条文があるの。
 その説明が、「利益の存するところに、リスク有り。」の説明。
 それで、無理やり納得させるのが現状。

 買主(債権者)が、焼失した別荘の損を引き受ける(債権者主義)のか、売主(債務者)が引き受けるのか(債務者主義)が、リスクの負担の問題(法律用語で、「危険負担」)。


 リスク負担と対になる概念が、果実収取権。
 別荘敷地に、柿がなっていたら、その柿は、売主買主どちらのものになるか。

 日本では、民法575条で、引き渡されるまでは、果実は、売主のもの。引き渡されると、買主のもの。
 10/31までの柿は、売主のもの。11/1引き渡し後は、買主のもの。

 買主は、リスクは、負担するのに、果実はもらえないのが日本の民法。さらにどうなのかと一見思ってしまうところ。

****民法575条*****
(果実の帰属及び代金の利息の支払)
第五百七十五条  まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。
2  買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。ただし、代金の支払について期限があるときは、その期限が到来するまでは、利息を支払うことを要しない。



 このリスクの負担と、果実収取権の考え方が、独仏日で大きな違いがあります。

 以下、比較します。(特定物売買において)



日本 リスクの負担 契約締結時 売主⇒買主へ移転。(民法534条1項)

   果実収取権  引き渡し時 売主⇒買主へ移転。(民法575条1項)


独 両者 引き渡し時 売主⇒買主へ移転。

仏 両者 契約締結時 売主⇒買主へ移転。(所有権が売主に移転ゆえ)


 債権法改正で、どうあるべきか、少なくとも今の「一見?」の状態が是正されるとよいと思っています。
 


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