戦時下のドキュメンタリー映画、それもウクライナの激戦地マリンポリの実際の映像です。
もちろん、重い映画です。とても気楽に観に行くわけにはいきません。
「行くぞ!」という覚悟が必要でした。
映画を観ている間も「きついなー、早く終わってほしいなー」と思いました。
でも、この映画は7日間の記録です。そのうちのたった2時間でこの体たらくです。
それも安全な日本の映画館です。
空から爆弾がどんどん落ちてくる恐ろしさって体験しないとわからないですね。
映画館だけでこんなに恐ろしいのですから。
撮影した時期は、ロシアがウクライナに侵攻した直後、2022年3月です。
映画の中で市民が3月4日からひどい砲撃が続いたと話しています。
撮影は市民が避難している教会を中心に行われています。
全編、砲撃音が響きます。まるで雷のような音です。
遠くでなっているときはごろごろ、近い時はバシャバシャと空気を引き裂く大音響です(たった2時間がきつい)。
ミサイルやロケット弾です。
街はすでに破壊され尽くされています。
住民は教会の地下に避難しており、地上のトイレに行くにも命がけです。
道には遺体が横たわったままです。
木材の切れ端を集めて道端で調理します。
食材がなくなってきました。
教会からは、もう出て行ってもらうしかないといわれるが、自宅は破壊され尽くされ、どこに行けばよいか嘆くばかりです。
教会の高みからは市街が見渡せます。
撮影の期間中、猛攻撃が続いている場所が見えます(見出し画像)。
激戦地となった製鉄所だと思います。
ミサイルやロケット弾も飛び交います。
製鉄所は4月中も猛攻を受けていましたから、どのような恐ろしさか想像もつきません。
この地図の海側の大きな敷地が製鉄所です。
上部中央あたりから撮影したと思われます。
人間以外の動物もおろおろしています。
特に犬は大きな音に弱いので大変です。
映画は非日常の風景を写し続けて突然終わります。
監督が3月30日に亡くなったことが遺影とともに知らされます。
以下は、ネットより
監督は、リトアニア出身で、人類学者からドキュメンタリー監督に転身したマンタス・クヴェダラヴィチウス。16年にマウリポリを訪れ、同地の人々の日々の営みを記録した『Mariupolis』(日本未公開)を発表し、高い評価を得た。本作はその続編ともいうべき作品だ。
クヴェダラヴィチウス監督は、侵攻間もない3月に現地入りし、破壊を免れた教会に避難している数十人の市民らと生活をともにしながら撮影を開始する。ところが、取材開始から数日後の3月30日、クヴェダラヴィチウス監督は同地の親ロシア分離派に拘束され、殺害されてしまう。
大切な命と引き換えに戦時下の貴重な映像が残りました。
ご冥福をお祈りいたします。
お読みいただきありがとうございました。
ウクライナに平和を!