岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『精神0』想田和弘監督作品を「仮設の映画館」で観ました。

2020-05-06 10:26:49 | 映画・DVD 

「仮設の映画館」は、今映画館に行けない環境の中、ネットで現在の上映映画を入場料を払って観る仕組みです。

アクセスしてみてください。

何本もの映画を観ることができます。

まず、この企画を進められた想田和弘監督の作品、『精神0』を観ました。

この作品は、2008年公開の映画『精神』の「継承」作です。

続編という表現が適切かどうか迷いました。

2016年、診療所(こらーる岡山)が閉院しました。

院長である山本昌知先生と奥さまの日々を追います。

それから4年近く経って公開された映画です。

想田監督はその間にこの作品を創り続けてきたのです。

 

監督はこの映画を純愛映画と名付けました。

映画を観てまさにその通りだと思いました。

夫婦間の純愛だけでなく、生きるすべての人に対する純愛と感じました。

時の流れ、老いも身近です。

2008年以前の映像が、モノクロで挿入されます。

12年の歳月とはなにか。

映像だけが語ります。

人間の営みへの畏敬とともに。

 

映画評をひとつ

第70回ベルリン国際映画祭 フォーラム部門〈エキュメニカル審査員賞〉受賞理由

繊細で効果的な映画的表現、とくにカメラワークとモンタージュによって、本作は精神科医である山本昌知医師が患者に対して与える影響を描き出す。そして山本医師の引退が近づくなか、彼を失う患者たちの将来への不安を描写する。医師は患者たちの悲痛を敏感に理解し、穏やかに勇気づけながら、彼らが前に進もうとするのに寄り添う。映画の後半では、医師が認知症を患う妻と時間を過ごす様子が描かれる。本作は一見シンプルな作りでありながら深い感銘を与えるもので、人間の尊厳と力を示す画期的な出来事である。慈愛と謙虚さが行為を導いている。経済的・社会的成功により重きを置く社会の中で、人間が持つ力と愛する者へのケアの価値を描いた感動的な映画である。

※エキュメニカル審査員賞:宗派を超えたキリスト教者6人の審査員により選出される賞

ぜひ、ご覧ください。

お読みいただき有難うございました。



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