岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を観ました。

2012-03-14 07:28:20 | 映画・DVD 
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』という奇妙なタイトルのアメリカ映画を観ました。
原題は、Extremely Loud & Incredibly Closeだから直訳ということになります。ジョナサン・サフラン・フォアによる同名ベストセラー小説が原作ということです。
もちろん、読んでいません。
監督はスティーブン・ダルドリー。
「リトルダンサー」「愛を読む人」はとてもよかった。
2作とも少年が成長していく日々を丁寧に追った作品です。

この作品も少年の成長する姿を描いています。
ただ、9.11を題材とするだけにより厳しい現実が待ち受けています。

11歳の少年オスカー・シェルは、最愛の父親をアメリカ同時多発テロ事件で失います。
たまたまツインタワーに出かけていて難に遭います。

オスカーと父親(トム・ハンクス)の関係はとても濃密なものでした。
それはオスカーが頭脳明晰でこだわりも強く人見知りをするという性格であり、父親は細やかな愛情と援助が必要と考えてのことでもありました。

父親の父はドイツで空襲(ドレステン大空襲)に合い両親を亡くしています。
ですから戦後に敗戦国から戦勝国に移民に来たことになります。
彼はある女性(オスカーの祖母)と出会い一人の子をもうけますが、責任ある立場から逃げてしまいます。
祖母が女手ひとつで父を育てたことになります。
父(トム・ハンクス)は研究者の道を諦め小さな宝石店を営んでいます。

父と子(オスカー)の関係は「ありえないほどほど近い」ものであり、オスカーにとって外界は「ものすごくうるさい」ものでした。

その外界に乗り出す援助を父親が行なっていたのですが、今はその父親は不在です。

オスカーは一人だけでその「ものすごくうるさい」外界に飛び出していきます。

それは「ものすごくうるさい」ものが「ありえないほど近い」ものでもあったことを知る旅となりました。

さて、具体的にはどのような旅か、映画を見てのお楽しみです。

ドレスデン大空襲、9.11 そして 3.11にもつながる長い旅の一部です。


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