連日、映画館通いです。まさにゴールデンウィークはゴールデンカムイ?となりました。
本日は、『カムイのうた』菅原浩志監督作品です。wikiはこちら、夕張出身なんですね。
映画について私が知っていたのは、主人公の知里幸恵さんが「ユーカラ」の収集翻訳者という程度です。
集中的に本を読むということもしていません。このブログのカテゴリーの「北海道とアイヌ」を読み直してみても
大した知識もないことがわかります。
この映画を見始めてからしばらくはいつもの映画を観る感じと変わらなかったのですが、極寒の中アイヌを強制労働させるシーンくらいから
映像の凄さに圧倒され始めました。波打ち際の凍てつくような海岸の風景と人々の姿に過酷さがダイレクトに伝わってきました。
すべてこのこの作品のために撮られた映像です。
北海道の大自然のスペクタクルさ、壮大さには過去の北海道で撮影された名作をも凌ぐほどです。
風景だけで1年間をかけたとパンフに書いてありました。
この何事も「短縮」とダイジェストの時代に素晴らしいことです。
そして特筆すべきは人々の心に寄り添う繊細さです。
上映後、監督が登場。映画製作に3年間をかけたと話されましたが、その年月で済んだのかと思うほど精緻で行き届いています。
やはり時間という「自然」が重要だとわかります。
その大自然の中で繰り広げられる日本政府の差別・同化・教化政策が事実なだけに情けなく目を覆いたくなります。
沖縄でも朝鮮半島でも台湾でも同じことをしてきましたね。
対してアイヌ民族研究の第一人者である兼田博士には救われた思いです。モデルは金田一京助です。この人もなかなか一筋縄ではいかない、
ボンボン的なところがあるのですがこの映画では触れられていません(テーマではないので)。
主人公の北里テル(吉田 美月喜)や伯母(島田歌穂)の衣装など見事なもので選び抜かれたそうです。
唄の再現も資料的価値があると文化監修の藤村久和さんが話されています。
北里テルのセリフは最低限に抑えられている印象がありました。
それだけに表情やしぐさが重要です。例えば恋人と離れ上京するときの不安さ、上野の人ごみに佇み戸惑う姿、
迎えの兼田博士を見つけての安堵。一緒に人力車に乗って観る大都会。石造りの建物が白く輝く。若い女性の高揚感。
たった数分の描写ですがすごいと思いました。手間もお金もかかっていますよ。
とにかく見どころ満載。
また北海道に行きたくなりました。映画で見られた大自然や人の営みはそう簡単には見せてくれないことはわかっていますが。
※企画・制作賛助 写真文化首都「写真の町」北海道東川町
ふるさと納税を利用しているのですね。素晴らしい!
東川町のホームページです。「カムイのうた」のメイキングも掲載されています。
監督:アイヌの映画を作りたいと話すと
映画会社:アイヌはやらない
アイヌの人:外部の人にはわからない
アイヌ人の出演:本人が希望しても家族や親族が反対する
監督自身は相当な覚悟を決めて取り込んだと話された。
稀なる作品。
お読みいただきありがとうございました。
ウクライナとガザに平和を!