岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

映画『マルクス・エンゲルス』観ました。とても興味深い映画です。お薦めです。

2018-07-25 15:26:59 | 映画・DVD 

今となっては懐かしいお二人ですね。

この映画の主人公の一人、カール・マルクスの生誕200年だそうです。

少なくとも150年は、マルクス・エンゲルスの思想が世界をリードしたのですから、大変な思想家には違いありません。

この映画は、1840年代を描きます。

地域は、ドイツ(プロイセン王国)、フランス(パリ)、イギリス(マンチェスター、ロンドン)、ベルギー(ブルッセル)

ドイツ人(カール・マルクス)とイギリス人(フリードリヒ・エンゲルス)が、歩き飲み討論して書いた街と国です。

1840年代の欧州の政治状況が見えてきます。

イギリスでは、ビクトリア女王時代。

世界に先駆け、産業革命が進み、ブルジョアとプロレタリアが対立する。富むものは富、貧するものは路頭に迷う。

フランスでは、「レミゼラブル」の時代。

フランス革命以後、王なき国は、混迷を深めていた。

ドイツ(プロイセン王国)は政治的に後れを取っていた。

ベルギーは、小国の自由から先進的な人々が集う国となっていた。

マルクスにとって、インターナショナルとはこれらの国々のことだろう。

ロシアはまだ未開の地扱いをされていた。

プロイセンで生まれたマルクスは国内で高等教育を受け、新聞社で記事を書くことで論客として認められたが、

王国からは危険人物と見られ、パリに移る。

パリで、エンゲルスと歴史的な出会いをする。

エンゲルスはマルクスの思想家としての力量を高く評価し、天才だとまで言う。

一方、マルクスは、ブルジョワの子弟ながら、プロレタリアの街を歩き、貧困調査をしているエンゲルスの力量に驚いている。

映画は、字幕つきだったが、絶えず英語、フランス語、ドイツ語、そしてアイルランド訛りと同じ人物が複数の言語を操る。

この辺りは知識階級だと納得させる。

例えば、エンゲルス親子は、ドイツ語で会話をしていながら、話の途中で英語になる。

会話に都合の良い言語を使い分けていくのである。

マルクスは、同じユダヤ系ながら貴族の女性と結婚し、

エンゲルスは、アイルランド移民の女性と結婚する。

この対比が興味深い。

マルクスの妻は相当なインテリであり、興味深い。

当時の著名な思想家(活動家)が顔を出す。

バクーニン、プルードン、というアナーキズムの思想家がでてくる。

この二人を批判して「空想家」という。

それは、資本や所有に対して明確な理論を持たないからと。

哲学的な継承からヘーゲル、フォイルバッハの名も。

そして、行動することに意義を見出す二人は、コミュニスト党宣言に向かう。

1848年、「共産党宣言」が産声をあげる。ヨーロッパを徘徊する幽霊となって。

本を読んでもイメージできにくい人々の営みが、映像ではくっきり浮かび上がってくる。

私は楽しみ考えに耽ることができた映画だった。

見られたらいかがですか。

特にシニアにとっては、考える場となると信じます。

 

 

 

 

 

 


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