1945年、第2次大戦直後のポーランドが舞台。ドイツが降伏し旧ソ連の管理下に置かれていた。
この時代のポーランド情勢には疎いので、この映画の背景がわかりにくかった。
映画に登場するのは、修道院、フランス赤十字、ソ連軍の兵隊、孤児となった子どもたちくらい。
ヒロインの女医は、ポーランドに派遣されているフランス赤十字に勤務している。
この女医が残した日記をもとに映画は作られている。
しかし、なぜ第2次世界大戦が終わったこの1945年12月にフランス赤十字が派遣されているのかわからなかった。
治療している内容は外科手術ばかりである。紛争が起きていることは確かだった。
映画の筋にはあまり関係ないことのように思えるが、実は大事なことだった。
これは映画を見たのち、wikiで調べて理解できた。
戦後、ポーランドにかつて在住していたユダヤ人が大量に戻ってきた。収容所に入れられていたのだ。
ポーランド人の中には受け入れに抵抗した人々がいた。反ユダヤ主義者だ。
そして、国内で紛争が起きていて死傷者が出ていた。フランス赤十字の派遣は人道支援だった。
結構微妙な問題なので映画の中ではあまり語られない。ただ、欧州の人々には理解できることなのだろう。
(この反ユダヤ主義がイスラエル建国の要因となる)
この紛争にソ連軍がどのように関わっていたのかはわからないが、進駐軍として支配していたことは間違いない。
そのソ連軍の兵士が、修道院に押し入り暴行を働いた。修道女たちの中には身ごもった人が7名出た。
修道院は世間から隔離された自立的な施設である。独身女性の集団であり、妊娠や出産の知識は皆無だ。
「祈り」しか解決する術がないが、一人の修道女が無断で遠くの街に助けを求めに行く。
ポーランド人やソ連人以外の医者を探す。探し出したのがフランス赤十字の女医だった。
彼女は上司に断りなく一人車を運転し修道院に向かった。
事態の深刻さを知った彼女のとった行動とは…。
この程度にします。ネタバレしてはいけません。
彼女が親しくなったフランス人の男性医師が、ユダヤ人であることをカミングアウトするシーンがある。
両親が収容所送りになっていることもわかる。
この男性医師の立場や気持ちをくみ取る必要があるのだが、われわれ日本人には基礎的な知識が欠けている。
時代背景が欧州の人には理解できていることで物語の深みが増すのだろうと思う。