今から50年前の日本や水俣を描いています(ロケ地は違いますが)。
当時の写真や映像も使われています。
今を生きる日本人の多くはまだ生まれていません。
それだけにこの映画の意義は大きいと思います。
2時間という短時間に収めるために脚色があるのは当然ですが、
映画の内容は史実に近いものです。
レヴィタス監督は、被害者や支援者に敬意を払って制作したと語っています。
(現在に続く公害被害がエンドロールに映し出されます)
苦心したのは米国映画に求めらる娯楽的な要素をどう盛り込むかだったそうです。
確かに難しいことです。
ユージン・スミスは沖縄戦に従軍カメラマンとして同行、瀕死の重傷を負います。
以来、後遺症とトラウマに悩まされ日本に行くことにためらいがありました。
妻となるアイリーンや日本人との出会いが彼の背中を押したようです。
当時、水俣では被害が隠されたり過少に語られていました。
水俣はチッソの城下町であり、経済的に依存していました。
今の原発立地と同じです。
そのため、国の対応が遅れることになります。
裁判所の同様です。
矢面に立つ企業も強硬です。
撮影を続けるスミスは工場側の人間の暴行を受け、大けがをします。
数年後に死亡しますが、遠因といわれています。
有名な写真「入浴する智子と母」の撮影シーンがクライマックスです。
黒と白にこだわったスミスの代表作です。
この写真が納められた写真集が再販されるそうです。
そういえばしばらく見ることができない状況が続いていました。
ぜひ見ていただきたい映画です。
彼のカメラはライカではなくミノルタだったのですね。
初めて知りました。
お読みいただきありがとうございました。