意 見 陳 述 書
原告訴訟代理人弁護士 清水 建夫
私からは本件に関連する2つの判決について述べさせていただきます。
1つは金井学園福井工大事件に関する福井地裁昭和62年3月27日判決です
(甲第25号証)。
この判決は大学助教授を解任し、事務職へ職務変更する命令を無効とした事
案です。
同判決は「被告の前示採用時における右労働契約における職種は、教育・研
究的職務に限定されたものと解すべきであり、被告の変更権も、せいぜい原告
の教育・研究的職務(当初の職務)に兼ねて一般事務を担当する程度のものに
とどまるものというべきであり、原告の助教授職を解き一般事務職員を命ずる
ような本件職務変更を正当化すべき変更権が被告にないことは明らかである。」
としました。これを本件についてみますと、准教授の原告を井頭教授の支援のもと
キャリア支援室で幼児教育学科事務への専念に職務変更する権限が被告にない
ことは明らかです。
2つ目の判決は神戸地方裁判所で5日前の平成28年5月26日に言い渡された
事案です(甲第26号証)。
同判決は、高校日本史教師を授業から外した学校法人並びに理事長、学園長
の一連の言動について「退職勧奨の手段として社会通念上相当と認められる範
囲を越えるものであり、労働者である原告の自由な意思形成を不当に妨げるよ
うな態様で行われたものといえるから、不法行為を構成する」と明確に断定し
ました。本件においては、理事長兼学長自ら退職勧奨を行っており、その手段
として准教授の原告の職務を学科事務に変更しようとするもので不法行為に該
当することは明らかです。
本件における被告の一連の対応はこれら時代の流れに相反するものと言えま
す。