岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『大統領の理髪師』 観ました。

2011-09-26 19:21:35 | 映画・DVD 
韓国映画は久しぶりです。
韓国の映画事情に疎いため、どの映画を観たらよいか判断がつかないのが理由です。
レンタルショップには韓流の棚がメーンに置かれています。
しかし棚の内容と言えばTVドラマの連続物が中心です。
私は映画が観たいと棚を探すのですが探すことができません。
中国映画も同じです。
名作と言われている作品が見当たりません。
近くの蔦屋が今一つなのでしょうか。

『大統領の理髪師』は評価の高い作品です。
探し当てた時はうれしかった。

2004年韓国映画 イム・チャンサン監督作品

1960年3月のイ・スンマン(李承晩)大統領による不正選挙から、
1979年10月のパク・チョンヒ(朴)大統領の暗殺までを庶民の目で描いています。
寓話的な手法です。

この20年間は韓国激動の時代です。
不正選挙、抗議のデモ、弾圧、クーデターと国内は非常に厳しく、
北の脅威も大統領暗殺部隊の侵入という形で現実のものとなります。
韓国はベトナムにも派兵にしています。
戦時下の20年といってもいいでしょう。

大統領の住む町で理髪店を開業していた主人公がたまたま大統領の髪を切ることになりました。
こんな気を使う仕事はないですね。
権力者、それも強権的な権力者ですから。

気を使う国民の代表として理髪師が主人公となったわけです。

彼には小学生の息子がいるのですが、ある時、下痢をしてしまう。
この下痢の原因は「マルクス病」だということになって、逮捕され拷問を受ける。
そして足が萎えて歩けなくなってしまう。
どうして小学生がこのような目にあうのだろうか。

もちろん、寓話ですから、この息子は何を表しているのかが重要です。
息子くんは国民なのですね。
権力者に押さえつけられて身動きできなくなった国民です。

その息子の足を治そうと名医を訪ねて全国を歩く主人公の姿に心に残ります。
私たちにとって何が大切なのか。
映画は語ります。

観てよかったと思いました。
韓国の映画のレベルも高いです。

※写真は学生デモ隊の中で右往左往する主人公夫妻。息子くんが生まれようとしている。

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