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2014年制作の映画です。
岡山県立図書館のデジタルシアターで観ました。
約80席ですが満員でした。一般公開ではありません。
カンボジア映画は初めてです。
題名通り、プノンペンにある古い映画館を中心にストーリーが進行します。
現代劇です。
軍人の父親と母親、姉と弟という4人家族が登場します。
カンボジアといえば1970年代にクメールルージュによる大虐殺が今でも脳裏から離れません。
国民の20%が虐殺されたというとんでもない事件がありました。
すでに50年近く経過しているのですが、今でも人々の傷は癒えることはありません。
wikiには以下のように書かれています。
教師、医者、公務員、資本家、芸術家、宗教関係者、その他イデオロギー的に好ましくないとされる階層のほとんどが捕らえられて強制収容所に送られた。生きて強制収容所から出られたのはほんの一握りであった。それ故、正確な犠牲者数は判明しておらず、現在でも国土を掘り起こせば多くの遺体が発掘される。なお、内戦前の最後の国勢調査が1962年であり、それ以後の正確な人口動態がつかめておらず、死者の諸推計に大きく開きが出ている。
映画関係者の多くも虐殺されました。
数少ない生存者の一人が、この家族の母親でした。
大学生である娘ソポンが、休館状態の「シアター・プノンペン」に紛れ込み、偶然母親が映画に出ていたことを知ります。
女優だった母親は農村に下放されて、兵士と集団結婚します。
その兵士が父親です。
父親はクメールルージュだったのです。
このことが分かるのは映画の終わり近くになってです。
女優だった母親が最後に出演した映画が「シアター・プノンペン」に残っていたのですが、最後のロールが無くなっていました。
映画資料保存館に探しに行きましたが破壊されていました。
(史実としても300本以上の映画フィルムの内30本程度しか残こっていないそうです)。
そこで、ソポンは最後のロールを自らが演じて再現しようとします。
かつて映画現場にいた大学教授に協力を依頼します。
監督は映画館の館主です。自らがこの映画を製作したと言いますが腑に落ちません。
何かを隠しています。
実は、映画監督は彼の兄だったのです。
その兄を、収容所の兵士だったソポンの父親が上司の命令で殺してしまっていたのです。
ある時、ソポンはなくなっていたはずのフィルムの最後のロールを「シアター・プノンペン」で見つけます。
そのラストロールを観たソポンは、彼女の考える結末へと再構成します。
古くからの結婚観から現代の恋愛観へと。
この映画は女性監督によってつくられています。
この国で差別を受けてきた女性の一人として作っておきたかった映画だったのですね。
もし観る機会がありましたら、お見逃しのないように。
お奨めです。
長文お読みいただき有難うございました。
原題は、ラストロールです。