北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「現場」とはなにか~NPO連携調査から

2006-05-26 23:16:47 | Weblog
 アレルギー性鼻炎の薬を飲まずにいるとやはり目がかゆくなります。後少し我慢すればシラカバ花粉のピークも終わると聞いて、薬を我慢してみているのですが。
 
【現場とは何か】
 昨年度に行ったある調査で、「NPOと行政との連携はいかにあるべきか」というテーマを勉強しました。

 アンケートやヒアリングを行って、NPOの人たちや行政はお互いに対してどのような期待や不満を持っているのか、ということも調査しました。

 NPOの人たちが行政と連携することによるによる自分たちのメリットとして「対価をもらえる事で事業が可能になった」ことが一番多く、次いで「市民の理解や信用が得られた」「知名度が向上してPRになった」などと続きます。

 ところが行政の側ではNPOが感じるであろうメリットとして「資金支援」は同じだったものの、「活動が拡大するだろう」とか「情報発信が出来るだろう」といったことを考えていて、要するに互いの認識が異なっているのです。

 同じようにNPO側では、自分たちNPOと連携して仕事をする事で「行政側のコストが下がるだろう」とか「行政にはNPOの専門性が役に立つだろう」と思っているのに対して、行政の側では「住民との信頼や協調関係ができる」ということを一番に考えていて、次には「地元の意向がつかめる」、「日常から合意形成につながる」などといった答えが続きました。

 ここでも両者の認識は大きく食い違っているのでした。

 互いがなにを課題に考えていると思うか、という問いにもやはり双方で思惑が違う事が伺えました。

 行政とNPOとの連携は、一部にシーニックバイウェイのように先駆的な試みが見られますが、大きな流れにはなっていません。

 行政側がまだNPOを業者に出すよりも安い労働力である、などと思っているうちは連携など果たす事は出来ないでしょう。

 NPOの本質は彼らの「目標達成に向けた情熱」であり「活動を楽しみながらやっている」ということですが、当然安いにせよ一定の対価は必要なのであり、お金の事を考えない活動はボランティアではあっても、正当な対価で次の事業を回し続けるNPO活動とは一線を画すべきものなのです。

 行政側の職員意識も変わらなくてはなりません。コストに対する意識はその代表的なものです。

 その次にはおそらく職員の「現場とはなにか」という意識をもう一度改革する事が必要だと思うのです。

 我々のような技術屋が現場というと実際に工事をしている工事現場のことを思い起こすのですが、地域にあって地域に貢献し、地域を幸せにするために存在している自分という事に本当に思いが至れば、ありとあらゆる地元でのふれ合いや会話のシーンがまさしく「現場である」という事に気づくはずです。

 地域のお年よりの昔話を聞いているとき、方言の本を読んでいるとき、神社で宮司さんに神様の事を訊いているとき、祭りに出ているとき、郷土料理に舌鼓を打っているとき、地酒を味わっているとき…などなどです。

 決して工事現場で現場監督と工法をどうしようか、ということだけが現場なのではなく、我々が作るもの管理するものがどのようにして地域にとけ込み、あるいは地域から不満に思われているかを察知する事が求められていて、それを知るすべての機会こそが「現場」であるのです。

 NPOとの連携や協働やコミュニケーションなどという事柄も、この現場意識があれば当然必要な事だと分かるはずなのです。

 NPOとの連携といいながら、まだまだ双方にも問題や課題を抱えている事も事実です。その溝をコミュニケーションを通じて埋めながら協働で良い地域を作って行きたいものですね。

 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする