北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

版画家藤倉英幸さんの個展を観る

2006-05-23 23:30:39 | Weblog
 今年の初夏は寒そうです。日照不足のために各地で農作物の生育に注意が呼びかけられています。
 天気も経済も、安定が一番なのですが。
 
【藤倉英幸さんと会う】
 知人を介して、ずっとファンだった版画家の藤倉英幸さんの個展に招いていただくことができました。個展の会場は市内の中心部のビルの4階のギャラリーです。

 藤倉さんは岩内町生まれの57歳。作品の数々はここで観ていただく事にいたしましょう。

 少し前まで道内のJRの車内誌の表紙を飾り、シルクスクリーンで描かれた北海道の暖かい風景は独特の世界を醸し出していて、今や北海道を代表する芸術家のお一人になられました。

 実は私は公務員に成り立ての頃に札幌市の南区にある滝野公園で公園作りをしていたのですが。その最後の年に係長をしていて、青少年山の家という子供達の宿泊研修施設を作っていたのでした。

 その施設は斜面に埋め込まれるように建設されたのですが、斜面の土を止めるために擁壁と呼ばれるコンクリートの壁をカーブさせながら作る必要がありました。

 そしてそれが8m×30mほどの大きな壁になる事から、なにか彫刻のような造形をしてはどうかという提案があって、そのときに持ち込まれたいくつかの原画の中に当時40歳の藤倉さんのものがあったのでした。

 当時はあまり深くは考えなかったものの、子供たちの研修施設にイメージが合うような優しげな図案に惹かれてその作品に決めたのでした。

 今思えば、既にある程度の活躍をされていた方だったはずなのですが深くは考えないままに作品と出会い、それが巡り巡って出世された事を人ごとのように思えず嬉しく思うのです。

 そうして、芸術に関係するような知人にそんなことを話しているうちにひょんなことから藤倉さんに近い方にお会いする事が出来、「いつか引き合わせてくださいよ」とお願いをしていたのですが、それが今日のこの日に「個展があって、道立近代美術館の水上館長さんとの掛け合いトークもあるみたいですよ」という連絡をいただき、それに出席をさせていただいたのでした。

 藤倉さんご自身は、学校を卒業後菓子メーカーに就職したのですが26歳の時に夏の青空を見上げて「なぜこんなに天気の良い日に自分は部屋の中で働かないといけないのだろう」と疑問に感じて、独立を決心して広告代理店やデザインの仕事を始め、そこから今に至ったのだそうです。
 なかなか度胸のいる話です。

 掛け合いトークの中でご本人は「私は『愛おしい風景』を表現してきたように思います。見る人が見るとみんな自分の故郷のように感じてくださる事が多くて嬉しく思います」とのことでした。

 藤倉さんの作品は原画が色画用紙の切り絵でできていて、それをプロのシルクスクリーンの刷り師さんがシルクの版画にして行くのだそうです。

「私の原画が切り絵という事もあって、その表現に一番近づけるのがシルクスクリーンなんですよ」とのことでした。
「昨年にはこの刷り師さん札幌市の芸術貢献で表彰を受けられましたよ。原画を作った私ではなくね」と藤倉さんは笑います。

 トークの会場は50人ほどのファンが集い、壁にはシルク作品はもちろん、切り絵による原画も展示されていて、原画をシルクがどのように表現して行くのかという事が伺えて大変興味深かったのでした。

 これからも北海道の風景を暖かいタッチで切り出していただきたいものです。

「人間、何が元気になるって、人を応援するときが一番元気になるものですよ」とは水上館長さんの言葉でした。

 この北海道を元気にするためにも、人を応援する気持ちを持ち続けたいものですね。

コメント (3)
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